郷土における社会認識の成立過程にみられる諸概念関連構造の差異と変容の究明
Project/Area Number |
23K02410
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
飯島 敏文 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80222800)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 郷土 / 経験 / 社会認識 / 多様性 / 概念間連構造 / 変容 |
Outline of Research at the Start |
社会認識の成立過程に、子どもがイメージする諸概念の関連構造を推定することが可能である。それはたとえば子どもの発話にみられる概念の構造を描き出すことで明示的に把握可能である。しかし、個々の子どもが運用する概念の意味には幅も厚みもあるし、それらによって構成される概念の構造に子どもごとの相違もある。授業の文脈や発話の文脈によっても構造の様相は変わる。諸概念間の関連を静的な構造としてではなく、動的で可塑性ある構造として記述し評価することで、認識構造の実体に迫る。郷土の事物や事象に関わることで成立する認識は、フレキシブルなものとして記述可能であるという仮説で諸概念関連構造記述のアプローチを行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子どもたちが地域社会で自己の位置を認識し、社会理解を形成する過程を探ることを目的とし、郷土がアイデンティティ発達と社会参加に果たす役割を追究することを目的とするものである。 本研究では、まず郷土の概念と特性を整理し、現代社会における郷土教育の重要性を論じる。次に、子どもたちの郷土での経験と社会認識の形成の関連性を明らかにし、地域固有の価値観や知識構造の伝承と変化を考察する。子どもたちは、情報技術の発達とグローバル化の影響を受けつつも、地域社会に根ざした経験を通じて知識を獲得し、自己のアイデンティティを構築することによって成長する。郷土を通じて得られる直接的な経験は、子どもたちが社会における自らの役割を理解し、適切に行動するための重要な基盤となるものである。このことを踏まえ、郷土の重要性を再考し、子どもたちの社会認識の成立過程を支援する新たな教育的アプローチを提案する。 郷土は物理的環境を超えた存在であり、地域の歴史、文化、価値観といった非物質的要素が複合的に結びついたものである。子どもたちは地域社会での多様な経験を通じて、社会理解を深め、社会の一員としての役割を認識し、自己の存在意義と社会との関わり方を学ぶ。研究を通じて、郷土が子どもたちの人格形成や社会性発達に寄与する過程を明らかにし、情報化社会に適応した郷土教育のあり方を模索する。研究成果は、教育実践や政策の策定における有益な知見を提供し、地域社会と教育現場の連携強化を促すことを目指すものになるはずである。 以上により、地域社会の文化や価値観が情報化社会における子どもたちの学びと成長に与える影響を考察し、郷土の意義を再確認しつつ、それを教育に組み込むための議論を深めることで、教育の質の向上と子どもたちの健全な社会参加の促進を図ることが本研究実績の概要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所期の研究目的「郷土における社会認識の成立過程にみられる諸概念関連構造の差異と変容の究明」に関わって、初年度の研究進捗状況は以下の通りである。 諸概念関連構造の整理について、本研究は郷土の概念と特質を整理し、諸概念関連構造を抽出するところまで完成している。これは、タイトルが指し示す研究の初期段階でありすでに達成されている。また、郷土教育の意義の論議であるところの郷土教育の重要性についての理論的考察は研究のアウトラインとして重要であり、リモートとなった学会の出張費等を文献収集に充てることで主要文献はかなり入手できており、追加資料を探す段階にある。経験と社会認識の関連性の探求に関しては、子どもたちの郷土での経験と社会認識の成立過程の関連性を探る作業を行っている。これにより、地域社会における社会認識の形成において、郷土特有の諸概念がどのような役割を果たしているか明示的に示すことが可能となる。また、概念関連構造の変容の考察については、郷土固有の概念関連構造の変容について考察している。この段階では、時代や文化的変遷がこれらの構造に与える影響も想定し、研究内容として一部を検討するところまで来ている。さらに、郷土の意義の再確認と教育方策の提案について、情報化社会における郷土の意義の再確認を行い、実践的な教育方策について提案を準備している段階である。これは、研究目的のの実践的応用に直結する重要な進捗である。 研究は理論的な概念構築の段階を終え、諸概念関連構造の分析、構造変容の把握、及び教育方法の提案に進む準備が整っている。全体の進捗は中盤を迎えており、ゴールに向けて順調に進んでいる。残りの期間で実証的な研究に集中し、最終的な成果を整理・公表することが可能である。本研究はまず大枠の完成後に細部の記述や構造的把握の妥当性を検証し、緻密化する必要があるが、残る3年間はその期間として十分である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の現段階では、郷土に関する概念の整理と理論的議論の概要が完成している。今後の研究期間では、実証的な研究も視野にに入れ、概念関連構造の差異と変容の具体的な分析を進め、教育実践への提案を行うことに重点化する。 まず、郷土の概念関連構造に関する質的および量的データの収集を進める。質的研究では、郷土を体験することの意義を探るために、観察やフィールドワークを実施する。量的研究では、実践記録の統計的分析などにより、概念関連構造の普遍的な特徴や変動パターンを捉える。また、異なる地域や文化背景を持つ郷土間での概念関連構造の比較研究を行う。これにより、特定の社会文化的要因が社会認識の形成にどのような影響を及ぼすかを分析する。これらはいつの時代にも同様であるわけでなく、歴史的資料や過去の研究と現在のデータを比較し、時間の経過と共に生じた概念関連構造の変化を追跡する必要がある。これによって、社会変動や教育政策が郷土の概念に与える影響を明らかにすることができる。 こうして得られた知見を、郷土教育のカリキュラム開発や教材作成に応用する可能性を検討する。なかでも、デジタルメディアやオンラインリソースを用いた郷土教育の方法を開発し、子どもたちが現代社会の情報技術を駆使して郷土を学ぶ新たな形を提案する。研究成果を学術誌や学会で発表するとともに、提案した教育方策の効果を検討する。その際、学校教育的な見地からの身ではなく社会学、心理学、歴史学、文化人類学など多様な学問領域からのアプローチを取り入れることとする。 今後は、郷土教育の方法を地域社会と連携させ、地域住民や組織との協働を通じて、教育の質と子どもたちの社会参加を促進する必要が出てくるはずである。上記の方策を実行することで、本研究は3年後に目標を達成し、郷土における社会認識の成立過程を明らかにし、教育の改善に資することができるだろう。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)