統計教育におけるシミュレーションに基づく統計的推測の教授学習過程の設計と評価
Project/Area Number |
23K02452
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小口 祐一 茨城大学, 教育学部, 教授 (70405877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 良宜 宮崎大学, 教育学部, 教授 (10218985)
青山 和裕 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10400657)
松村 初 茨城大学, 教育学部, 准教授 (60700557)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 統計教育 / データサイエンス / 教授学習過程 / シミュレーション / 統計的推測 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,シミュレーションに基づく統計的推測を利用した教授学習過程を設計し,実験授業を通して,生徒の学習過程と事前・事後調査を分析し,その効果を検証する。 まず,シミュレーションに基づく統計的推測を利用した教授学習過程を設計する。次に,先行研究であるCAOS(統計的思考力の評価)の問題とSATS(統計に対する態度)の調査票を参考にして,中等教育段階で適用するための統計的推測の評価問題,統計に対する態度の調査票を開発する。そして,実験授業を通して,生徒の学習過程の記述と,事前・事後調査の反応類型をもとに,設計した教授学習過程の効果を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「シミュレーションに基づく統計的推測を利用した教授学習過程を設計し、実験授業を通して、生徒の学習過程と事前・事後調査を分析し、その効果を検証すること」である。 令和5年度は、シミュレーション研究に関する知見やコンテンツを調査・整理し、統計的推測のコンテンツ開発を進めた。知見やコンテンツの調査・整理では、IEEE国際会議に参加し、データ駆動型問題解決の必要性とプロセス等、シミュレーションの素材を調査した。たとえば、携帯電話の台数とエネルギー消費量との関連から、温室効果ガス削減に向けて、2028年までに行う削減対策の効果を予測する素材を整理した。また、統計・データサイエンス研修集会に参加し、統計的推測のコンテンツと授業実践の事例を調査した。たとえば、猫がスピーカーの音に対する反応において、一般人の声と飼い主の声で驚きを示す評定値の差を評価し、標本平均の差の検定に関する授業実践を整理した。 コンテンツ開発では、「データリテラシーに関する基本的な4観点」(HFDフレームワーク)と対応させるようにした。「データで何をしたいのか?」の観点において、現実世界での応用志向が重要であることを確認した。「データで何ができるのか?」の観点において、統計学・数学・コンピュータ科学・情報科学による方法論としての可能性と限界の設定が重要であることを確認した。「データを使って何が許されるのか?」の観点において、データ保護・著作権・ライセンス問題など、法的規制を含めた社会的な視点が重要であることを確認した。「データをどう使うべきか?」の観点において、データは資源であり、個人と社会の利益のために使われるべきであるという規範が重要であることを確認した。これらの観点と対応させ、生徒の睡眠時間について、「標本平均が母平均と等しい」という帰無仮説を検定するコンテンツを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の目的は「シミュレーション研究に関する知見やコンテンツを調査・整理し、統計的推測のコンテンツ開発を進めること」であった。主な研究実績は、次のとおりである。 知見やコンテンツの調査・整理では、IEEE国際会議に参加し、データ駆動型問題解決の必要性とプロセス等、シミュレーションの素材を調査した。ドイツのHFD(ドイツ政府出資のシンクタンク)では、データとAIリテラシーの枠組みを提示している。ドイツでは、この枠組みに基づき、すべての市民が学べるアプリとして、「Stadt」、「Land」、「Datenfluss」が紹介され、データとAIリテラシーの学習環境が整っている。また、統計・データサイエンス研修集会に参加し、統計的推測のコンテンツと授業実践の事例を調査した。わが国でも、「なるほど統計学園」(総務省)、「科学の道具箱」など、学びを支援するサイトが充実してきた。今後は、アプリを利用した学習環境を整え、データとAIリテラシーの枠組みに基づき、体系的なデータサイエンス教育を進める重要性が示唆された。 コンテンツ開発では、「データリテラシーに関する基本的な4観点」(HFDフレームワーク)と対応させるようにした。これらの観点と対応させ、生徒の睡眠時間について、「標本平均が母平均と等しい」という帰無仮説を検定するコンテンツを開発した。このコンテンツ以外に、「好まれるみかん1個の重さの母平均を100gとしたとき、各農家から無作為抽出した50個のみかん1個の重さが100gといえるか」、「気象条件と入店客数の相関」、「映画の興行収入の母平均、母標準偏差に対して、アニメ映画の興行収入は同じといえるか」、「少子化対策における診療、所得、生活環境と出生数との関連」など、コンテンツ開発の素材を多数収集した。 このような状況のため、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度の目的は「統計的推測のシミュレーションのプログラムを作成し、シミュレーションに基づく統計的推測の授業をデザインすること」である。 データリテラシーに関する基本的な4観点について、研究協力者を含めた研究組織で共有し、理解を深める。この4観点に基づいて、中学校数学で扱う標本調査、大数の法則や、高校数学で扱う母平均・母比率の区間推定、仮説検定を中心に、シミュレーションに基づく統計的推測の教授学習過程を設計する。これらの教授学習過程で活用するシミュレーションのプログラムを作成し、研究協力校のICT学習環境において利用可能なプログラムかどうかを確認する。 データリテラシーのキー・コンピテンシーとして、知識、スキル(技能)、態度・価値観があげられる(HFDフレームワーク)。データを可視化するツールを利用して、データから導かれる知識を伝達し、新しいコンセプトを提示する資質・能力の育成が必要である。そのような資質・能力を育てるために効果的な教授学習過程を設計していく。 教授学習過程の設計(小口)、プログラムの作成(松村)の作業と並行して、中学生を対象にした統計に対する態度の調査票の作成(藤井)、統計的推測を評価する問題の作成(青山)の作業を進めて、体系的に研究を推進していく。 また、国際数学教育会議(ICME)に参加し、統計・データサイエンス教育の情報収集を行う予定である。この国際会議は、4年に1度開かれる数学教育の国際会議であり、世界から多くの研究者が集まる会議である。研究分担者の藤井が、統計教育分科会の運営メンバーとなっている。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)