Project/Area Number |
23K02561
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09050:Tertiary education-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
劉 慶紅 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 教授 (20632673)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 大学ガバナンス / 大学の情報公開 / 学際研究 / 比較研究 / 大学の社会的責任 / 企業の社会的責任 / 経営倫理 / サステナビリティ / 政策提案 |
Outline of Research at the Start |
本研究の大きな目的は、国際社会で通用する日本の大学の情報公開の適切なあり方を提示することです。教育学、公共経営学、哲学の3つの専門的知識を持つ研究代表者が異なる研究領域を俯瞰し、国内外の研究動向や実態を調査します。この研究は、学術・政策面においても応用可能な基礎理論やガイドライン策定に繋がることが期待されます。さらに、大学の透明性を強化している米国・欧州も国際比較の考察対象としています。最終的には、立命館大学を核とした社会実装的な政策提案に貢献することを目指し、USRやその経営の持続可能性に寄与する有効な大学の情報公開のあり方を国際比較から考察し、USRの理論化に向けた学際研究を主導します。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、国際比較のため、中国に出張し、2023年5月、パンデミックという極限状況における大学の情報公開の状況の調査を行い、ポストコロナ時代において大学経営を存続させるために有効な大学の情報公開の在り方について考察した。上海交通大学において李哲教授と面談し、共同執筆中の論文について討議を行うと共に、新型コロナ対策として上海がロックダウンされた際に、大学が情報公開において社会に対して果たした役割などを調査した。また李哲教授の協力のもと、学生を対象とするヒアリングを実施し、新型コロナ禍における学生諸君の困惑や学業への影響などを調査した。南昌市(江西省)の中国南昌大学において教員に対するヒアリング調査を行った。南昌市は、新型コロナが最初に蔓延した武漢市の近くということもあり、新型コロナ蔓延の初期段階から、影響を受けていたので、大学が学生や地域社会に対してどのような対応をし、情報発信を行ったのか、あるいは、政府から情報発信を制限されたのか等についてヒアリングを行った。その結果、日本の大学との違いが明らかとなり、政治国家体制の違いが影響を与えていることがわかった。その一方で学生の心情については、パンデミックにより十全な学生生活を送ることのできない、焦りや焦燥感などについては共通性があることもわかった。 大学の情報公開に関連して、配慮すべき個人情報の取り扱い、生成AIの活用、大学の知的財産権の保護といったトピックについても、研究や調査を行い、その成果を2024年6月出版予定の自著『統合戦略論;倫理人モデルで論じるTotal Value Chain』(千倉書房)において、章を設けて論じた。また、2024年4月に立命館大学から慶應義塾大学に転職することで、両大学の情報公開の状況を比較し、共通点と差異を抽出し、国際比較する前提としての国内大学の状況をより詳細に把握する環境が整ったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、国際間におけるポストコロナの大学情報公開に対する政府の姿勢、及び学界における議論の相違点」に関する理論研究、「ステークホルダーが求めるポストコロナの大学情報公開の対象及び範囲」についての実証研究を行う計画であり、概ね予定どおりの調査・研究活動を行うことができた。理論的研究に関しては日本経営倫理学会や異文化経営学会などの学会活動を通じて、国内大学の研究者と意見交換や情報交換を行い、海外大学の研究者に関しては、研究代表者の人脈を生かして意見交換や情報交換を行い、理論的研究の基礎的資料の収集を行った。 また、これまで研究代表者が行って来た経営戦略の研究に関連して、人間の認知を出発点として、倫理基準などの価値観を重視し、市場のみならず非市場に関する戦略も重視する統合戦略論を含む、経営学全般を網羅するTotal Value Chainの理論を形成した。これは大学経営に関しても適用できる理論である。特に大学の情報公開に関していえば、大学の社会的責任(USR)との関連で問題となるのであって、Total Value Chainは単なる金銭的な経済的利益のみならず、金銭に還元しにくい社会的貢献も配慮されるのであって、その文脈で大学の情報公開も論じることができる。研究代表者は、こうした理論に関して研究書『統合戦略論 倫理人モデルで論じるTotal Value Chain』(千倉書)を出版予定(2024年6月発刊予定)である。 実証研究に関しては、日本の大学と中国の大学において、大学における主たるステークホルダーである学生に対するヒアリング調査を行うほか、大学教員に対するヒアリングも行った。なお、本研究では、日中米欧の国際比較を行う予定であるが、日中に関する調査はかなり進んだが、米欧の大学の調査は、これから行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、これまでの研究成果に基づき、「ポストコロナの大学経営を存続させる為に有効な大学の情報公開の在り方」について、さらに研究を深める予定である。既に2023年度中に、骨格となる経営理論を構築したので、さらにフォーカスを情報公開に絞って、理論的な考察を深めたい。さらに日中米欧の国際比較を行うため、今後、米欧の大学調査を行う必要がある。 ヨーロッパについては、研究代表者が関わっている、「企業と社会」分野の国際的な研究機関であるCoBSという組織を通じて、欧州の大学の研究者と連携し、調査・研究を行う計画である。CoBSのワークショップ出席のため、2024年4月末、フランス・パリに出張し、欧米の研究者との交流・人脈形成を行ない、今後論文の共同執筆、共同出版を行うことになり、さらには、本研究に関連して、ヨーロッパの大学に情報公開に関する調査に協力してもらうことになった。また、アメリカの大学調査については、これまでメール等を活用して遠隔で行ってきたが、実際に渡米して、スタンフォード大学、ハーバード大学、コロンビア大学など米国を代表する大学の研究者や学生などにヒアリング調査を行いたい。 また国内の大学に関する研究を深化させるため、大学経営に実際に携わっている拓殖大学副学長の潜道文子教授を新たに研究分担者として迎え、日本の大学における情報公開について、理論的考察及び実証研究を深めていきたい。
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