Project/Area Number |
23K02809
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09080:Science education-related
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中島 啓光 埼玉大学, 理工学研究科, その他 (60399409)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
|
Keywords | コケ植物 / 光合成 / 地衣類 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、コケ植物の野外観察や計測をもとにした、分野横断的な科学研究プログラムを開発する。コケ植物を対象とすることで、扱う分野が生物学から物理学、化学、環境学へと自然に広がるだけでなく、これらの分野を関連付けて学習できる。さらに、レポート作成において多分野にわたる知識の総合的な考察を実践することで、学習者は分野横断的な研究について実例を挙げて説明ができるようになる。このような科学研究プログラムを開発することで、コケ植物が分野横断的な教育プログラムに適切な対象であることが実証される。
|
Outline of Annual Research Achievements |
コケ植物を対象とした分野横断的科学研究プログラムを開発するため、研究テーマの1つとして、ウマスギゴケが日向と日陰で色が異なる原因の解明を設定し、私自身が先行して研究を行った。その結果、ウマスギゴケに含まれる2種類の色素の濃度比(カロテノイド濃度/クロロフィル濃度)が日陰よりも日向で大きいということを見出し、これが日向と日陰で色が異なる原因であることが解明された。また、電子伝達速度(ETR)と非光化学消光(NPQ)を、光照射強度(PAR)を変えて測定したところ、日向のものは日陰のものよりETR、NPQともに大きい値を持ち、強い光に適した光合成を行っていることがわかった。このようなウマスギゴケの適応戦略を確かめるため、日陰に生育してきたウマスギゴケを日向にして、上記と同じ項目を測定した。その結果、いずれの測定値も、元から日向に生育しているものの値へと変化していくことがわかり、ウマスギゴケの日陰から日向への適応戦略が明らかとなった。これらの結果を、2023年8月に日本蘚苔類学会第52回山形県西川大会で口頭発表、2024年3月に第65回日本植物生理学会年会(2024年神戸)で口頭発表した。 研究場所の川崎市岡本太郎美術館屋上に生育するコケ植物を、服部植物研究所の木口博史氏に調査していただき、26種類のコケ植物が同定された。 ウマスギゴケの隣に生育する地衣類についても研究対象とすべく、ヤグラゴケへの黒土散布の影響を研究テーマとして、私自身が先行して研究を行った。その結果、黒土を多く散布した場所では一部の地衣類が消滅し、代わりにコケ植物の生育が見られた。これらの結果を、2023年7月に日本地衣学会第22回大会(東京)で口頭発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の遂行に必要な計測機器、照度計、クロロフィル蛍光計等を購入し、本研究の研究場所である、川崎市岡本太郎美術館屋上、埼玉大学にてそれぞれ測定を行った。 また、埼玉大学科学分析支援センターの紫外可視赤外分光光度計を用いて、コケ植物の色素分析を行った。さらに、以前私が横浜国立大学に在籍したときに科研費で購入した、地衣類の二次代謝物や植物の色素を分析することのできるHPLC装置を埼玉大学に移管し、立ち上げと点検を行った。 研究場所で行った実験の結果をもとに、3つの科学研究プログラムを立案し、テキストを作成した。タイトルは次の通り、1) ウマスギゴケが日向と日陰で色が異なる原因の解明、2) ヤグラゴケの黒土散布による枯死の原因の解明、3) コケ植物または地衣類を利用した屋上緑化によるヒートアイランド対策の検討。
|
Strategy for Future Research Activity |
過去に論文発表した、鉄を蓄積するイワマセンボンゴケの分析結果を再検討し、2024年4月にトルコで開催される国際会議11thINTERM2024において招待講演を行う。また、トルコのマルマラ大学のコバングロ教授の研究室を訪問し、地衣類を用いた環境評価に関する研究について議論するとともに情報交換を行う。 立案した3つの科学研究プログラムを、埼玉大学の学生をモニターとして実施し、レポートを提出してもらう。そのレポートと私自身の報告をもとに、プログラムの検証と改訂を行う。 これまでに得られたウマスギゴケの光適応戦略に関する研究結果をまとめ、植物分野の学術誌に投稿する。
|