認知的複雑性の醸成による職場のジェンダー・ハラスメント抑制に関する実験的研究
Project/Area Number |
23K02838
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10010:Social psychology-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田中 堅一郎 日本大学, 大学院総合社会情報研究科, 教授 (80212033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津野 香奈美 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 教授 (30713309)
山本 真菜 日本大学, 商学部, 准教授 (50781184)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ジェンダー・ハラスメント / 潜在的態度テスト / 認知的複雑性 / ステレオタイプ |
Outline of Research at the Start |
本研究では、複数の企業・組織を対象に認知的複雑性を高める研修プログラム(CCT)を実施し、研修実施の効果を測定する。CCTは講義とワークショップから構成される。講義では同僚を多面的に認知することへの理解を促す。ワークショップでは、同僚の多面性を認識することによって認知的な分化と統合を高める。このプログラムでは、最初に調査・実験を実施し、次いで企業を対象とした研修を行い、研修直後に調査を実施、さらに一定期間の後の事後調査を実施する。研修実施によって認知的複雑性が高まれば潜在的ステレオタイプが弱まり、ジェンダー・ハラスメントが抑止されるメカニズムを検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ジェンダー・ハラスメントを抑止することを目的とした研修には一定程度の抑止の効果が確認されている(小林・田中, 2012, 2013)が、一方で、固定的な性役割にとらわれている研修参加者は「ジェンダー」と聞いただけで研修に反発する可能性も指摘された。そこで当該研究の目的は、(1)認知的複雑性(Cognitive complexty; CC)が高まることでステレオタイプ的知覚が弱まり、ジェンダー・ハラスメントが抑止されるメカニズムを検証すること、(2)より多くの組織で認知的複雑性研修(Cognitive complexity training; CCT)を実施し、認知的複雑性が高まるとステレオタイプ的認知が弱まり、ジェンダー・ハラスメントが低減される効果の頑健性と汎用性を実験的に検証し、そのメカニズムを理論的に考察することである。 初年度は、従前まで用いてきたKobayashi & Tanaka (in press)によるCCTを、コロナ禍においても組織に実施可能な研修プログラムとなるように研修パッケージとしてビデオに収録して改良を行った。ビデオであればweb配信が可能となるうえ、まったく同一の内容の研修を様々な組織で実施できるため、サンプル数が確保しやすく、分析のための手法を限定しなくてもすむためである。初年度では、作成された研修パッケージを用いたCCTが複数の民間企業の職場や地方自治体において実施された。令和6年3月31日時点では、合計46名のデータが回収された。これらのデータ解析が行われ、仮説通りCCを高める研修を行うことで、潜在的ステレオタイプが軽減され、ジェンダー・ハラスメントがより否定的に評価された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
すでに研究代表者(田中)および研究協力者(小林敦子氏)は、ジェンダー・ハラスメント抑止を目的とし、その原因であるステレオタイプ的認知を弱めるために、認知的複雑性を高める認知的複雑性研修(CCT: Cognitive Complexity Training)を開発して実際に企業研修に導入した結果、参加者のジェンダー・ハラスメント抑止への効果を確認した(Kobayashi & Tanaka, in press)。研究協力者(小林氏)と彼女の研究協力者によって、CCTが複数の民間企業の職場や地方自治体において実施された。令和6年3月31日時点では、この研修のデータは、民間企業従業員;38名、病院職員;3名、地方自治体職員;5名(合計46名)が回収され、これらのデータ解析を行っている。なお、当該年度(令和5年度)の成果は、日本心理学会第87回大会において「認知的複雑性研修(Cognitive Complexity Training)の教材の開発 ―「ジェンダー」を用いずにジェンダー・ハラスメントを防止する(第2報)―」として発表された。 初年度(令和5年度)に予定していたWeb調査がCCT実施のための交渉が長引いたため、行えなかった。調査実施は次年度に実施予定である。この調査の目的は、認知的複雑性が高まることでステレオタイプ的認知が弱まることに頑健性が認められれば、CCTは女性へのジェンダー・ハラスメントのみならず、他のタイプの差別的行為の抑止にも効果があると思われるので、TCCの高さが(ジェンダー・ハラスメントのみならず)LGBTや障碍者などに対する差別行為と関連性があるかについて検討するためである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(令和6年度)も、CCTを様々な組織で実施してデータを取得し、受講者を性別に分析することにより、マイノリティ集団の成員が自己の所属集団対して行う差別的行為へのCCTの効果についても検討する。最終年度までに、CCT実施による他の差別行為(例;精神障害者、LGBT、等)への効果について検討する。また、令和6年度はこれまでの研究成果を国際学会(33rd International Congress of Psychology; ICP2024、開催地;プラハ)で発表する。 また、令和5年度、6年度に得られた研修データを総合的に分析し、最終年度までに英語論文に投稿する。これと並行して、国や地方公共団体、民間企業に向けて本研修プログラムの普及活動に努めるため、研究代表者を中心に当該研究の成果を中心としたジェンダー・ハラスメント抑止のための研修方法について学術書を纏める。また、令和6年度はこれまでの研究成果を国際学会(33rd International Congress of Psychology; ICP2024、開催地;プラハ)で発表する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)