Project/Area Number |
23K02852
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10010:Social psychology-related
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
松本 良恵 淑徳大学, 人文学部, 助教 (30772735)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 社会的ジレンマ / 二次的ジレンマ / 罰 / リーダー / 支援 / 公共財問題 |
Outline of Research at the Start |
集団内でいかにして協力行動を達成するかという学際的な問いに対して、本研究では集団のリーダーによる非協力者への罰に注目し、社会的ニッチ構築(Yamagishi, 2011; Yamagishi & Hashimoto, 2016)の観点から解決策を検討する。具体的には、リーダーによる罰と、フォロワーによるリーダーへの支援という相互作用が、互いの社会環境をどのように作り出し、協力行動を維持しうるかを、実験室実験と進化シミュレーションを用いて明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
いかにして集団内で協力行動を達成するかは学際的な問いだと言える。本研究では、集団内のリーダーの罰行動に注目し、社会的ニッチ構築(Yamagishi, 2011; Yamagishi & Hashimoto, 2016)の観点から、リーダーとフォロワーの行動が互いの社会環境をどのように作り出し集団への協力行動が維持されうるかを、実験室実験と進化シミュレーションを用いて明らかにする。罰を行使するリーダーが機能するためには、理論上、リーダーへ罰資源を提供するフォロワーの支援行動が不可欠である。しかし、罰を行使するリーダーがフォロワーからの支援を得られるとする実証的な証拠は極めて少ない。これに対して本研究では、フォロワーによる支援の阻害要因としてリーダーの専制化を挙げ、これを解消するリーダーの解任・選択プロセスを導入した実験室実験を実施する。さらに、そこで得られた解任プロセスを含むリーダー支援システムの中で、フォロワーとリーダーのどのような行動が安定して適応的になるかを進化シミュレーションで検討する。 1年目の今年度は、解任システムの探索的検討を行うため、実験室実験を行う予定だったが、研究代表者の所属変更に伴い、研究体制を十分整えられなかった。今年度は二次的ジレンマ問題に対する罰について先行研究のレビューを行い、いくつかのことを明らかにした。罰の種類に関しては、非協力者の利益を損なわせる方法(Baldassarri, D., & Grossman, G. , 2011)のほか、非協力者が公共財を使えないようにする(Fang, Y., Perc, M., & Xu, H., 2020)、報酬や辱め、嘲笑、排斥(Wiessner, P., 2005)、付き合うのをやめる(Zimmermann, M. G., & Eguiluz, V. M., 2005)などがあることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の所属変更に伴い、実験を推進できる研究体制を十分に整えられなかった。 その理由の一つ目は、本実験実施に不可欠な実験室が本務校に無かったことが挙げられる。本実験においては、集団で互いに相互作用をしてもらい、そのうえで匿名性を確保する必要がある。互いに顔が分かってしまう状況では、実験の参加者は「この相手に次に会うこと」を踏まえた振る舞いをする可能性があるが、そのことは本研究においては実験の結果に無用な影響を及ぼす剰余変数となってしまう。これを回避するためには、同じ実験室に居ながら、参加者同士が顔を合わせることなく、パーテーション等で仕切られた個室の中で、PCを操作することが可能な実験室を作る必要があった。本務校では教室数も限られていることから、こうした実験の為だけの部屋を準備することは困難であると同時に、実験の時だけPCやパーテーションを設置する方法も、それらの保管場所等も無く、実験のための環境を整えることができなかった。 理由の二つ目としては、本務校では新設学科に着任したことから、在籍している学生が少なく、実験参加者の確保が困難だったことが挙げられる。これにより、質問紙調査等も実施することが困難であった。来年度以降、その状況は徐々に改善されるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験室の確保については、2023年度から本務校で改修工事が行われ、それを契機に実験室を設置することになったため、この実験室を実験実施に向けて整備して、2023年度に実施予定だった実験を実施していく予定である。実験室が使用可能になるのは2024年度の後半になるが、学内での使用ルールや、本研究で実施予定の変動謝金(実験内での意思決定に応じて、謝金の額が異なる支払方法)の支払いルールの確認といった事務的な手続きのみならず、学内で実験の謝礼として金銭的報酬を与えることに対する教員間での合意等の確認も含め、準備を進めていく。 ただし、2023年度に行った先行研究のレビューで明らかになった最近の研究における罰行使者の評価等の知見も踏まえ、予備的な実験の前に、質問紙調査等を実施することも併せて検討が必要だと考えている。
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