Project/Area Number |
23K02897
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10020:Educational psychology-related
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
米田 英嗣 青山学院大学, 教育人間科学部, 教授 (50711595)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | アレキシサイミア / 感情失認 / 自閉スペクトラム症 / 不登校 / 文学作品 / 感覚情報処理 / 感情 / 国語科教育 / 自伝的記憶 / 共感性 / 物語理解 / 物語作成 |
Outline of Research at the Start |
自伝的記憶とは、個人が過去に経験した出来事に関する記憶である。自閉スペクトラム症(ASD)をもつ人は、自己に関する認識に問題があると考えられており、自伝的記憶において定型発達者と異なった特性をもっていると考えられている。自伝的記憶は、対人関係や他者とのコミュニケーションを促進する機能をもつことから、自伝的記憶を検討することによって、ASD者の他者理解、自己認識の特性が明らかになり、その特性に基づいた支援を行うことが可能になると考えられる。本研究では、認知心理学的実験技法、発達心理学的検討、脳科学的研究手法など多面的な観点からASD者における自伝的記憶の特性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症者の約40パーセントが、アレキシサイミアという症状を持っていると考えられている(Shah et al., 2016)。アレキシサイミアとは、感情失認とも言われ、「自分の感情を表現する言葉を見つけるのが難しい」特性である(福島, 2018; 守口, 2014;)。感情がないのではなく、自身の感情に対する気づきが弱く、他者の感情に対する注意が弱いという症状である。 本研究では、不登校の子どもを対象に、アレキシサイミアと感覚の問題を検討した。アレキシサイミアが高い子ほど、感覚の低登録が見られた。つまり、味や痛み、触覚などの五感が鈍く、刺激を感じにくい体質を持っている子ほど、アレキシサイミアの症状を示すことがわかった。不登校の原因が、アレキシサイミアによる感覚情報処理困難にあるのであれば、教室において感覚の問題に配慮した支援を行うことでアレキシサイミアが緩和し、教室に居場所を提供できる可能性がある。 研究業績として、「これからの国語科教育はどうあるべきか」という書籍の中で、「自閉スペクトラム症者の文学を通した世界との関わり」という章を執筆し、自閉スペクトラム症の方にとって、現実世界の代理表象となる文学作品が、有効な代替物となる可能性を示した。自身の感覚の問題に煩わされずに、他者の感情の問題や思考の相違、文学作品に描かれる一貫性や現実世界との整合性について論理的に考えることができることから、文学作品における圧縮された解像度の低い情報が、自閉スペクトラム症者が世界を理解する上での大きなアドバンテージになると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた1年目の研究課題を行い、成果を発表したため、おおむね順調に進展していると判断できる。さらに、現職の小学校教員との共同研究を通じて、学校教育場面に基礎研究の知見を提供することが可能になったことから、今後の研究も一層の進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
アレキシサイミア傾向の高い方に、その日にあった出来事を、時系列順に思い出してもらい、できるだけ主観的かつ感情的な体験を含んだ内容にしてもらう。こうした介入が、一貫した自伝的記憶の構築に寄与すると予測できる。さらに、感情失認の程度を測定するトロント・アレキシサイミア尺度を実施し(小牧他, 2003)、感情失認が緩和するかどうかを検討する。今後は、脳機能画像法を用いた研究を行うため、共同研究を開始する。さらに、得られた成果を国際学術誌に投稿する。
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