Project/Area Number |
23K02909
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大隅 尚広 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (50737012)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | 行為主体感 / 事象関連電位 / 社会的インタラクション / 視線認知 / 感覚抑制 / 利己性 / 共感性 |
Outline of Research at the Start |
触法精神障害者には規範逸脱行動の行為主体感の低下が疑われる。行為主体感の生起には順モデルによる行動の結果の予測が関与すると考えられる。しかし、規範逸脱行動については、その目的である直接的な結果 (不正な利益の獲得など) だけでなく、目的以外の間接的結果 (他者の反応など) が想定され、そのような結果にまで予測の範囲が広がるのかは明らかではない。そして、間接的結果に関する予測は、共感性などの社会的機能によって調整される可能性がある。そこで本研究では、行為主体感に至る情報処理過程を脳波の事象関連電位によって測定し、間接的結果の予測可能性の操作による影響および共感性との関連性を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
行為主体感の生起には、行動の感覚結果に関する潜在的かつ自動的な予測処理の関与が想定されている。しかし、規範逸脱行動については、行動の直接的な結果(自己の行為に伴う事象の感覚結果)だけでなく、それ以外の間接的結果(他者の反応などの社会的事象)が想定される。そして、間接的結果に関する予測は、共感性などの社会的機能によって調整される可能性がある。そこで本研究では、規範逸脱行動に伴う間接的結果に対する行為主体感について、情報処理過程を事象関連電位によって測定し、共感性との関連性を検討することを目的とした。 令和5年度においては、規範逸脱行動における行為主体感を検討するうえで基礎となる対人的実験パラダイムを構築し、対人行動の直接的結果と間接的結果に伴う事象関連電位の基礎動態を検討した。規範逸脱行動の検討には社会的意思決定の課題が広く用いられることから、事象関連電位を分析するために反復型独裁者ゲームを作成して予備実験を行った。しかし、独裁者ゲームにおいて他者の反応の観察は必然ではなく、いかにも実験的でわざとらしい印象を与える問題が生じた。そこで、自己の行動に他者の行動が続くことが必然となるように、ジョイント型先行手がかり課題を作成した。これは、他者がターゲットの位置に注意を向けて素早く反応する作業を行い、自己がターゲットの位置の手がかりを事前に呈示する課題である。この課題における他者の行動を顔の視線で表し、参加者がそれを観察したときの事象関連電位を検討した。この予備実験において、自己が生成した位置手がかり(直接的結果)に対しては、行為主体感の研究で検討されるN1とP2が確認された。また、他者の視線反応(間接的結果)に対しては、N1とP2の他、視線認知の研究で検討されるN170が確認された。今後、この課題におけるこれらの事象関連電位について、行為主体感との関連性を検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、規範逸脱行動の行為主体感を実験的に検討するための基礎となる実験パラダイムの作成と、脳波を測定するための環境の整備を目標とし、それを達成することができた。また、予備実験を通じて行為主体感に影響する外的要因や、今後の検討で用いる実験課題における事象関連電位を確認することができた。これにより、以降の年度からの研究の見通しを立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に実施した予備実験の結果を吟味し、研究目的に合わせて操作すべき要因と事象関連電位の成分を検討する。そのうえで、5月から10月までの間に実験を実施する。そして、11月から3月までの間に実験で得られたデータを分析し、その結果について学会発表や論文として公表する。
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