Project/Area Number |
23K02912
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
山宮 裕子 お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 研究協力員 (60575504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 美香 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50312806)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 可視的差異 / 心理教育プログラム / 社会的不安 / QoL / 対人スキル |
Outline of Research at the Start |
外見の可視的差異(以下VD)を持つ者(以下VD者)は、精神的苦痛の深刻化、過度な外見修正、対人場面の回避、本来必要な医学的治療の遅れや無益化など、様々な心理的問題を抱えていることが近年の研究で明らかにされており、国外ではすでにVD者の心理的問題の軽減をめざす介入プログラムが実施されている。しかし我が国ではこれらの問題に対応する介入法が十分検討されていない。本研究ではVD者の外見に起因する心理的問題に対応するオンライン介入プログラムの日本版を作成し効果検証をする。これにより、国内のVD者が抱える問題の緩和と、医学的治療を促す心理教育的介入構築の足掛かりになるものと考えられる。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は主に、研究代表者と研究分担者により本研究の準備が行われた。本研究の最終目的は、可視的差異を持つ者の社会的不安を軽減し、対人スキルを向上させることによりボディイメージとQoLを高めるための心理教育プログラムを作成することである。これは、外見が重視されがちな現代社会において、可視的差異を持つ者の多くが人目を気にし、したいことや行きたい場所を避け、抑うつ気分や不安、身体不満足感を抱いているためである。欧米ではこういった心理教育プログラムがすでに多数開発・実施されているが、国内ではまだ存在していないため、今年度の主な目標は欧米で開発・実施されている心理教育プログラムを参考に、国内向けプログラムのためのたたき台を作成することであった。 まずは国内の可視的差異を持つ者が抱える心理的問題に関連する情報を収集した。具体的には、国内で発表された研究論文、可視的差異を持つ者が出版した書籍、可視的差異を持つ者のサポートを行っている機関に関する情報の収集から始めた。さらに、イギリスで開発された、可視的差異を持つ者を対象としたオンラインプログラムであるFace IT@Homeの責任者にコンタクトを取り、このプログラムで使用されている資料やワークシートを手に入れ、日本文化に合わせた修正を加えつつ、新しいプログラムの参考にする許可を得た。研究代表者と研究分担者により、この資料やワークシートの日本語化を行った。現在はこの日本語化されたプログラムをたたき台とし、可視的差異を持つ者の研究や治療を行っている専門家の方々にアドバイスをいただきながら、日本版の心理教育プログラムのベータ版を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年の目標は主に、心理教育プログラム作成の準備であり、その目標は概ね達成できたと言えよう。具体的には、可視的差異を持つ者が抱く心理的問題に関連する科学的な検証論文と、当事者が書く自叙伝の収集をし、内容を網羅すること、イギリスで開発され実施されている心理教育プログラムを基にし、日本版プログラムのたたき台を作成することであったが、前者は予定通りに達成することができた。しかしながら、後者は目標としていた予定より少し遅れている。これは、手に入れた資料やワークシートの内容が想定よりも多かったため、それらの日本語訳に時間がかかってしまったためである。しかし翻訳自体はすべて終わらせることができているため、現在は専門家のアドバイスを聞きながら、文化的な修正を加えつつ、日本人の当事者に有効な心理教育プログラムを作成し始めたところである。 また、令和6年度にはプログラム内で視聴をする音声やビデオの作成をする予定でいるが、その準備は概ね整えることができた。具体的には、ビデオの台本の作成と、録音・録画に携わる人員の確保は済ませることができた。あとはビデオに出演をする、可視的差異を持つ者の役の特殊メイクをする人と、撮影場所を見つけることである。令和6年度の前半には録音・録画を終えることができると考えており、遅れも最小限に抑えることができると予測している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、研究代表者と研究分担者により、可視的差異を持つ者を対象とした日本版心理教育プログラムの完成を目指す。具体的には、プログラム内で視聴するための音声やビデオを作成し、プログラムのベータ版を完成させ、インターネット上で公開する。そして、可視的差異を持つ者の医学的治療にあたっている医療機関の協力のもと、当事者5人ほどにそのプログラムの内容を確認してもらう。プログラム内に不適切な表現や、逆効果のありそうな文言などがないかを、パネルディスカッションを通して意見を交換し、その結果によってプログラムに更なる修正を加える。令和6年度の前期にはこれらを終わらせて、実施は後期に開始することを目標としている。 令和7年度は主に、プログラムの実施とデータ収集を行う。上記にある医療機関に協力を要請し、可視的差異を持つ者30人に本プログラムに参加してもらう。参加前と参加後に、プログラム内に設置した尺度を通し、社会的不安、QoL、ボディイメージの測定をする。その後、収集したデータの予備解析を行った後、統計解析によりプログラム参加前と参加後で有意な差があったかどうか、また、時間経過による変化ではないことを示すため、本プログラムに参加をしていない当事者30人からもデータを収集する。解析は、二元配置混合計画分散分析を想定しており、統計ソフトウェアはSPSSを用いる。解析後は、解析結果にもとづき論文執筆を行う。これらは全て、研究代表者と研究分担者により行われる。そして、研究代表者と研究分担者が、これまでに得られた調査結果を取りまとめ、国内外の学会において成果発表を行うための準備をする(日本健康心理学会、Appearance Matters Conferenceを予定)。また、執筆した論文を準備・投稿する(Body Image、Journal of Burn Care & Researchを予定)。
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