Project/Area Number |
23K02960
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 見奈子 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (10435365)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | 精神分析史 / スーパーヴィジョン / 臨床心理学史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本で最初のスーパーヴィジョンの報告とされる「監督教育 Supervision としての統制分析 Control-analysis の一症例の報告」(1954-1955)を軸に、我が国のスーパーヴィジョンの成り立ちを明らかにするものである。この資料は、精神分析研究の第一巻より連載された小此木啓吾が古澤平作からスーパーヴィジョンを受けた全7回の詳細な記録であり、形成期の日本の臨床心理学に大きな影響を与えたものである。本研究を通して、スーパーヴィジョンが日本でどのように始まり、どのように受け継がれていったのかを歴史的視点から検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
我が国のスーパーヴィジョンの成り立ちと現代までの影響を明らかにするために、日本で最初のスーパーヴィジョンの報告とされる小此木啓吾の「監督教育 Supervision としての統制分析 Control-analysis の一症例の報告」(1954-1955)とされる一連の論文について関連資料を収集し、分析、検討した。これは、小此木啓吾が古澤平作にスーパーヴィジョンを受けた全7回の詳細な記録である。研究結果の一部については、「日本の精神分析におけるスーパーヴィジョンの成り立ち」(2024)(第3回精神分析史と人文科学シンポジウム)において発表した。 上記の小此木による報告だけではなく、臨床心理学全体における草創期のスーパーヴィジョンの全体像を掴むために1960年代と1970年代における精神分析以外のスーパーヴィジョンに関連した文献を検討し、日本のスーパーヴィジョンの概観を示した。この研究結果については、『心理臨床に生きるスーパーヴィジョン:その発展と実践」(2024、日本評論社、高橋靖恵・西見奈子編)に一部を収録した。また、この編集本においては多様な心理臨床におけるスーパーヴィジョンに応えるものとして編集をおこない、現代におけるスーパーヴィジョンのあり方を検討することに繋がった。 また、古澤にスーパーヴィジョンを受けた一人である西園昌久の業績について「学問は永遠の事業 : 口愛期退行論をめぐる小考」としてまとめ、発表した。 さらに日本文化における精神分析を検討するために、ベルギーの精神分析学会の元会長であり、精神分析家のルディ・ベルモートを招いて「無心」をテーマに国際シンポジウムをおこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、小此木啓吾の「監督教育 Supervision としての統制分析 Control-analysis の一症例の報告」(1954-1955)をもとに研究をおこない、発表をおこなうことができた。古澤のスーパーヴァイジーに対するインタビューも予定通り計画していたが、対象者が調査の数日前に体調不良となり、そのまま逝去された。そうした不測の事態もあったが、古澤のスーパーヴァイジーである西園昌久について、スーパーヴィジョンについての編集本の出版、日本の精神分析をテーマにした国際シンポジウムの開催などは、研究経過の中で見出された知見に基づきおこなわれ、予想以上の多くの収穫をもたらしたものであり、おおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
古澤平作側の背景に関連する資料に加えて、小此木啓吾側の背景についての調査をおこなう。その中で、特に次世代への影響、さらに日本のスーパーヴィジョンの特徴につながるものを抽出していくこととしたい。研究成果については、関連学会や研究会発表、投稿をおこなうこととする。 さらにこれまでの研究成果においては、精神分析だけではなく、臨床心理学全体の草創期のスーパーヴィジョンまで視野を広げることによって、草創期には司法関係の臨床において積極的にスーパーヴィジョンの活用が見られたことが確認された。草創期における臨床心理学と精神分析の関係性についても、我が国におけるスーパーヴィジョンの成り立ちにおける重要な背景と考えられるため、その点も注視しながら進めていきたい。
|