Project/Area Number |
23K02994
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
三好 真人 常葉大学, 教育学部, 准教授 (50758505)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | アルコール依存症 / アルコール使用障害 / 自助グループ / セルフヘルプ・グループ / 断酒会 / SBIRTS / エスバーツ / スマートフォンアプリ |
Outline of Research at the Start |
アルコール依存症者の初期発見から効果的な治療および予後の支援にはさまざまな「医療機関」で「依存症患者」が「自助グループ」につながりやすくなる仕組みが必須である。しかし,自助グループと医療機関の連携がうまくいっていないという報告は多い。特に自助グループ側は非営利活動ゆえに情報の発信に不得手なケースもある。その問題の克服に【自助グループスマートフォンアプリ】の作成を提案する。アプリには自助グループの開催場所,日時,参加記録の可視化,代表者とのアクセスを容易に行うことができる機能を搭載し医療機関とグループをつなげる。この研究は,現場と協働して新しいツールを開発し,その成果を評価するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアルコール依存症者の自助グループ活性化に寄与するスマートフォンアプリを作成し,その機能を評価するものである。 飲酒運転,うつ病,自殺,DV,認知症などさまざまな問題の背景にアルコール問題が潜んでいる。さらに,一度依存状態となると医療処置後の長期的ケアが欠かせない。そこで,当事者が連帯し回復を支え合う自助グループの存在が重要になる。内閣府が策定した「アルコール健康障害対策推進基本計画」では,自助グループとの協力や活動支援も含めた「相談から治療,回復支援に至る切れ目のない支援体制の整備」が目指されている。 さらに,SBIRT(Screening Brief Intervention Referral to Treatment:スクリーニング・早期介入・専門医療での専門治療;エスバート)」という取り組みがエビデンスをもって開発され基本計画ではSBIRTにSelf-help groups(自助グループ)を加えた「SBIRTS:エスバーツ」として推進している。一方,このSBIRTSの実施には主治医と断酒会会員との普段の連携が構築されていないと難しい。また,近年では医療機関と自助グループのつながりが弱くなっていると言われてきた。その要因はさまざまなものが考えられるが,本研究では①医療側に自助グループの開催情報を集約する手間がある,②自助グループ側の情報発信ツールが老朽化しているという問題を取り上げている。そして,この問題の解決へ,医療機関と自助グループの現代的つながりを構築する【自助グループスマートフォンアプリ】の作成へ着手した。 アプリは自助グループの開催場所,日時,参加記録の可視化,代表者とのアクセスを容易に行うことができる機能を搭載している。さらに,当事者が断酒会への参加や断酒(節酒)生活への動機を高める機能を搭載し,アルコール問題を抑止するツールとして発展させていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本で広まっているアルコール依存症自助グループのひとつに「公益社団法人全日本断酒連盟(通称,断酒会)」がある。断酒会は全国約650団体にのぼり,およそ6000人の会員がいる。本研究では研究者との連携実現性を加味し,全日本断酒連盟に加盟する「公益社団法人静岡県断酒会」(県内22支部・年1490回の例会開催)での開発と運用によってアプリを完成させていくこととした。 初年度はアプリ作成のために静岡県断酒会本部と連携しApple Developer Program(iOS)/Google Playデベロッパ(android)を取得した。アプリに搭載する機能を調整し,基本的なアイコンや画像を搭載した試作品が「2023年10月」に完成した。試作品ではスマートフォンアプリの強みを活かすための以下の機能を整備した。 ①【例会会場マップと開催日時のプッシュ通知】(日時連動と位置情報の提供)。②【例会参加者へスマホ上にて参加スタンプの提供】(コードを用いて現地にてポイント付与。参加記録が残ることで主治医や支援者と参加情報を共有できる。また,継続参加への動機づけとなる)。③【各種イベント情報】(開催情報のお知らせ)。④【意見を集約する問い合わせ機能】(フォームを通して意見や疑問に答える)。⑤【自助グループ機能の説明】。 そして,AppStoreとGooglePlayストアにてアプリをリリースした。ストアにてアプリをリリースしたことで誰でもダウンロードできる仕様になっている。アプリは2024年5月現在で「164」ダウンロードされた。なお,アプリの利用は無料であり営利目的の機能はない。 参加スタンプ機能による会場との連携については,2024年3月に県内1支部の例会に足を運び,参加者にプレゼンテーションを行い,試運用を開始した。その後も試運用にあたり代表者へのフォローを行って継続使用を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年3月にアプリをダウンロードするためのプロモーションカードの作成に取り掛かった。このアプリは,アルコール依存症への切れ目ない支援を実践するためのSBIRTS:スクリーニング・早期介入・専門医療での専門治療・自助グループ参加)を促進することに活用される。医療現場や行政・福祉の現場で当事者に気軽に手に取ってもらうためのツールを作成していく。そして,断酒会例会会場とアプリスタンプの連携が現在県内1支部であるが,2年目にはそれを全22支部に拡大していく。その上で,県内の医療機関や行政・福祉の現場にアプリの活用を周知していく。 上記の実践的研究と並行し,アプリのコンテンツ面を強化していく。例えば,未だ例会会場に足を運ぶに至っていない当事者へアプリ上で参加の動機づけを高めていくための工夫を行う。また,22支部の会長らと協働し参加にともなうアプリスタンプをトークンとしてトークンに対する即時強化が行われるようなアイテムや企画を検討していく。スタンプトークンの引き換えへの回数や,実際の例会の開催頻度と連動した仕組みをパッケージ化していく。その後,アプリの利用者数やスタンプの実施状況,実際の継続参加者数といった数量的情報をアウトカムとしアプリの評価を実施していく。 このように,本研究は自助グループとの連携ありきで推進していくものである。アルコール依存症に罹患する年齢は一般に40~50歳代といわれているが,断酒会会員の年齢構成としては60歳以上の者が全体の6割を占める。医療機関での治療後に入会し活動を継続していくと会員の年齢は上がっていくことになるわけであるが,会長や役職者として会をまとめる者となるとさらに高齢者が多い。このアプリは依存症者の受け皿として自助グループを紹介していく機能を有するが,協働で運用していく断酒会役職者にとっても分かりやすい仕組みを作っていくことが課題となる。
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