Project/Area Number |
23K03068
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田口 雄一郎 東京工業大学, 理学院, 教授 (90231399)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | クムマー忠実体 / 遠アーベル幾何学 / mono的復元 / 基本指標 / Lubin-Tate指標 / 代数体 / 函数体 / 局所体 / クムマー忠実 / ガロア表現 / 大域体 |
Outline of Research at the Start |
本研究に於いては、遠アーベル幾何学の基礎体としてどの様な体が適切であるかを明らかにする。現在の所(Grothendieckの当初の思惑を恐らくは遥かに越えて)クムマー忠実体は十分にその資格がある事は明らかになっており、さらに一般の体(TKND-AVKF体等)も有望である事が明らかになりつつある。クムマー忠実体については、既に小関氏との共同研究により分岐理論的な特徴付けが一定程度成功しているが、TKND体やAVKF体についても分岐理論的特徴付けを試みる。 また、これらの研究の函数体類似も考察する。特に、「Artin-Schreier忠実体」の良い定義を確定し、その性質を解明する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
クムマー忠実体の典型例は素体上有限生成な体やp進体上有限生成な体である。この様な体のうち、2023年度は特に混標数局所体のmono遠アーベル的復元問題、その中でも特に基本指標を絶対ガロア群から復元する問題、に取り組んだ。その結果、MLF型の群G(或る混標数局所体の絶対ガロア群と同型な群)に対しその「基本指標」χ(G)を構成し、もしGが混標数局所体Kの絶対ガロア群であればχ(G)はKの(Serreの意味の)基本指標と一致する事を示した(この研究はもう少し続きがある予定なので未だ論文には纏めていない)。さらに、研究室のメンバー(特に山口永悟氏と玄承賢氏)と共同で、望月新一氏による混標数局所体のbi遠アーベル的Grothendieck予想(Hom版)をmono化する試みを開始した。玄氏は既に、望月氏のこの定理を「m次可解商版」に一般化する事に成功しているので、今回の試みは別方向への拡張という事になる。この場合、input dataとしてMLF型の群だけではダメで、(上付き)分岐フィルトレーションも必要である事が知られている。混標数局所体のmono的復元はLubin-Tate指標の復元とほぼ同値であり、その点、基本指標の復元と少し似ているので、可能であると信じたいが、現時点では本当に可能か、何とも言えない。 もう一つの課題として、Grothendieck予想を「profinite版」から「pro-C版」や「pro-p版」へ拡張するという方向性がある。「pro-p版」のための最初のステップとして、絶対ガロア群の最大pro-p商からpro-p円分指標を復元する試みも行った。これは一見易しそうだが、実は難しく、これまでの全ての試みは失敗している。また、望月氏の論文をmono化する過程で、p進Hodge理論(の或る部分)を群論化する事が有意義であると思われるが、この研究が現在道半ばである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、大きいクムマー忠実体(特にsub-p-adicでないもの)の構成が第一の目標であったが、これは(一定程度は)アッサリ進展した(その意味では研究は非常に順調に進展している)。そのため、次の懸案問題であった「基本指標の復元」に取り組んだところ、これもそれなりに進展した。ただ、これは時間不足のため、未だ論文としては書き下していない。時間不足は研究代表者が当該年度の数学系主任であったためであり、やむを得ない。 クムマー忠実体の構成については、欲を言えば、より多様なクムマー忠実体を(或いは、クムマー忠実体だけでなく、クムマー忠実ではないが「torally Kummer-nondegenerate」乃至は「abelian variety Kummer-faithful」である様な体を)構成したいところである。その辺りが「おおむね」順調と考える所以である。
|
Strategy for Future Research Activity |
二年目以降の研究では、基本的に初年度の研究方針を継承しつつも、多様な方向に深化させる。一番直接的な方策はLubin-Tate指標のmono的復元であり、これは(多くの困難が予想されるが)現在の方向性を継承して推進する。同様に、pro-p版の円分指標の復元も考察する。次に、混標数局所体を他の様々なクムマー忠実体に一般化して考える。特に重要な例として、高次元局所体、剰余体が一般の完備離散附値体、パーフェクトイド体(大き過ぎないもの)、完備局所整域の分数体、の場合を考察したい。これらの中にはクムマー忠実であるか否かが未だ判明していないものもあるので、それらについてはその判定も同時に試みる。クムマー忠実であると判明していない(或いは、クムマー忠実でないと判明している)ものに対しては、(「元祖の」クムマー忠実体だけでなく)最近定義された「torally Kummer-nondegenerate」「abelian variety Kummer-faithful」等、より一般な(弱い)類似の条件を満たすかどうかを考察する。完備離散附値体であっても、剰余体が有限でなくなっただけで、例えば円分指標の復元すら難しくなる(昨年度まで我々の研究室でポスドクをしていた室谷氏の結果によると、法p円分指標は復元出来る)。 次いで、クムマー忠実体上の様々な数論的対象を遠アーベル幾何的に考察する。具体的には、次の二つを想定している:(1)所謂Arithmetic Dynamicsを、「多様体上の点」を「基本群の射の切断」に置き換えて考察する。(2)代数体の同型類が絶対ガロア群のアーベル化とディリクレL函数の情報で決定される、というSmitの定理のvariant(L函数という複素解析的対象をより群論的対象で置き換えた版)を考察する。これらは長期的な計画であり、三年目以降も継続して研究する必要があると思われる。
|