Project/Area Number |
23K03112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 11020:Geometry-related
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山下 靖 中央大学, 理工学部, 教授 (70239987)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 双曲幾何学 / クライン群 |
Outline of Research at the Start |
現代の位相幾何学で主要な研究対象となる図形に「多様体」とよばれるものがある。特に2次元の多様体は曲面であり、それらが幾何的にどのような形をとり得るかを調べるのは、非常に基本的な問題となる。本研究においては、このような図形の形を調べる方法として代数学的な考え方と写像の繰り返し適用から定まる力学系という分野の考え方との関係を手掛かりにすることで、位相幾何学に新たな発展をもたらそうとしている。
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Outline of Annual Research Achievements |
曲面Σの基本群πからリー群Gへの表現全体の空間Hom(π,G)には群Gが共役により作用する。この作用による幾何学的不変式論の意味での商空間Xを指標多様体という。この指標多様体を、表現の像が離散群になる部分とそうでない部分に分割すると前者はΣのG構造の変形の空間とみなすことができる。特にGがSL(2,C)の場合は双曲幾何構造の変形空間であり、重要な研究対象である。特に離散部分群はクライン群とよばれ、重要な研究対象である。また、指標多様体には曲面Σの写像類群が自然に作用し、この作用の複雑さによっても指標多様体は2つに分割される。これら2つの関係は未解明な部分が多い。 今年度は、SL(2,C)の部分群で楕円型の元2つによって生成されるクライン群で、算術的とよばれる条件をみたすものの分類のための研究を行った。楕円型の元はその位数で特徴づけることができるが、特に位数が6以下の場合において、どのような算術的クライン群が存在しうるかについて、計算機を用いた実験を行った。クライン群は指標多様体のパラメータを用いて記述され、それが算術的になるためにはそのパラメータが代数的整数であって四元数代数等に関する一定の条件をみたす必要があることが知られている。さらに、指標多様体上の写像類群作用に関して、BowditchのQ条件というものをみたさなければならないことが予想されている。そのため、これらに関する計算機実験を様々なパラメータについて進めることで、算術的クライン群の完全分類に向けた候補を与えるための研究を進展させた。 特に、Riley sliceおよび関連した空間における計算を進展させ、研究発表を行った。さらに、関連する写像類群の分類に関する計算結果について、研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 これまでSL(2, C)の部分群で楕円型の元2つによって生成されるクライン群で、算術的と呼ばれる条件をみたすものの分類のための研究を行った。楕円型の元はその位数で特徴づけることができ、特に位数が2,3,4の場合の研究をこれまで行ってきたが、これを進めて5,6の場合において、どのような算術的クライン群が存在し得るかについて、計算機を用いた実験を進展させることができた。 クライン群は指標多様体においてトレースを用いたパラメータで記述され、それが算術的なものに対応するためには、そのパラメータが代数的整数であって四元数代数等に関する一定の条件をみたす必要があることが知られている。さらに、指標体上の写像類群作用に関して、BowditchのQ条件とよばれるものをみたすことが予想されている。これらに関する計算機実験を、位数が5, 6の場合において進展させることができたため、研究は概ね順調に進呈していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた計算機実験は進展しつつあり、これによって得られた算術的クライン群の候補について、理論的な検証をさらに進めることが今後の研究の推進の中心となる。理論的な検証を進めるためには、得られたクライン群の幾何的な記述である基本領域を計算することを通じて、双曲多様体の記述を与えることが次のステップになると考えている。 この方向で研究を進展させるため、基本領域を与えるためのいくつかの方法についてさらなる検討を行い、そこで選択した方法を用いて計算を実行するための作業を行って行く。
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