Project/Area Number |
23K03127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐野 隆志 山形大学, 理学部, 教授 (20250912)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2027: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 行列解析 / 作用素論 / 函数解析学 / 基礎解析 |
Outline of Research at the Start |
データサイエンス教育では基礎的内容として「行列」の性質を学ぶことが多いと思います。一般にm×n行列とはm×n個の数を長方形の形に配し括弧をつけたものであり、特にm=nである行列をn次正方行列と呼びます。正方行列の中には実数の性質を一般化したもの(エルミート行列と呼ばれる)があり、そのような行列に対し関数を用いて新たな行列を作り出す手法(連続関数カリキュラス)が知られています。本研究では、そのような関数などの諸性質について、正方行列のサイズnに依存する差異を調べます。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では行列解析としての研究に関する取り組みに主眼を置き、作用素論としてではなくあくまで行列解析の範疇で諸々の概念の行列サイズによる「ギャップ」を考察することを目的としています。令和5年度には実施計画にもあるように、継続的な研究環境構築に向け、ノートパソコンと行列解析に関する書籍の購入を行い、また情報交換・収集のため、二度の学会そして京都大学数理解析研究所での作用素論関係などの研究集会、作用素論・作用素環論研究集会に参加しました。2つの研究集会では招待講演をそれぞれで行いました。令和5年度に実施した研究の成果としては、まずオンラインにて既に公開掲載されている Strongly convex matrix functions という論文があります。この論文では、ブラウンそしてブラウン・内山で考察された「強作用素凸関数」について、行列解析の観点から「強凸行列関数」という新たな概念を導入し、行列サイズに依存するギャップを明らかにしました。旧来の作用素論としての扱い方を詳細化したもので「強デービスシャーマン条件」などの諸々の既知の概念との関係性が明らかにされたという意味で意義のある論文として評価されると思います。また、Indian Journal of Pure and Applied Mathematics に掲載決定された論文 Inertia of Kraus matrices II は、正数べき関数に対するクラウス行列の固有値分布(いわゆる「慣性」)に関する我々の以前の論文結果を補ったもので、非整数値べき関数に対しては対応するクラウス行列の固有値が単純(重複度が1)であることを示しました。行列凸関数の特徴付けで重要な役割を果たすクラウス行列の更なる性質を明らかにした点が認められるものと思います。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、研究課題「行列解析における諸概念の行列サイズに依存するギャップ研究」にあるように、行列サイズに関する研究として強凸行列関数の特徴付けやギャップについての考察を行い、当該論文は査読付き専門誌のオンライン版に既に公開・掲載されています。また、行列凸性の議論で重要な役割を果たしたクラウス行列に関する考察として、正数べき関数に対するクラウス行列の慣性を論じた我々の以前の研究に続き、非整数べき関数に対するクラウス行列の固有値の単純性を新たに示した論文も掲載決定済みです。また、京都大学数理解析研究所での研究集会および作用素論・作用素環論研究集会ではそれぞれ招待講演を行いました。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、ポルトガルに9月コインブラ大学などに、また11月にはインドに滞在し、専門家と研究交流を行う予定です。具体的には、前者では有限次元不定値内積空間上の不等式について、また後者ではベルンシュタイン関数によるファンクショナルカリキュラスによる行列の慣性について、共同研究に向け議論を深める予定です。どちらも滞在期間中に研究集会の開催が予定されており参加・講演も行う予定です。今年度は日程の都合で京都大学数理解析研究所での研究集会、作用素論・作用素環論研究集会への直接の参加は困難かもしれませんが、学会への参加は行う予定です。行列解析に関する新書などの購入、文献複写や文献取り寄せに関わる費用にも充てる計画です。翌年度以降も、研究集会への参加や研究資料の購入等を計画します。
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