Project/Area Number |
23K03133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐久間 紀佳 名古屋市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (70610187)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 自由確率論 / 無限分解可能分布 / レヴィヒンチン表現 / ランダム行列 / 擬無限分解可能分布 / free probability / random matrix / Mexico / infinitely divisibility |
Outline of Research at the Start |
自由擬無限分解可能分布のクラスを深く理解することを主目的とする。自由擬無限分解可能分布のクラスはそのクラスがちゃんと存在することやそのクラスの分布の性質などはある程度わかったもののどのような場合にそのレヴィヒンチン型表現を持つ解析関数が確率分布のR変換になっているか全くと言っていいほどわかっていない。わかっているのは特殊な例の構成の仕方のみである。通常の確率論でも与えられた関数が確率分布のフーリエ変換になっているか、調べる手立てが古典的で機能する場合が少ない手法しか知られていない。ここに非常に大きな数学的な難しさがある。本課題ではこのような問題に対する十分条件を見つけることを究極の目標にする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前課題に引き続き、自由擬無限分解可能分布の研究やそのランダム行列モデルの研究などを行った。前課題で残ったランダム行列モデルの研究のため、ランダム行列に関する国際研究集会を京都大学で開催した。そこへOctavio Arizmendiらを招聘した際に具体的に一度メキシコへ訪問し、現地研究会で講演して欲しいとの要請を受けて、メキシコへ一ヶ月本研究課題についての研究打ち合わせと現地研究会で講演訪問を行った。 その訪問ではMarkov-Krein変換と自由擬無限分解可能分布の問題が話題となった。特に前課題で取り扱った自由ポアソン分布に関連する問題に興味が持たれ、自由ポアソン分布と確率積分表現についての共同研究がスタートして、現在研究を進めつつ、その成果をまとめている。 また、研究協力者植田優基氏との議論を進めるため、北海道教育大学旭川校への訪問とセミナー開催を行った。特に、6月にOctavio Arizmendi氏が来日した際にDaniel Pelares氏も日本を訪問してくれたため、そこで有限自由確率論についての議論を行った。有限自由確率論は自由確率論を近似するモデルであり、かつグラフ理論などに応用を持つため近年非常に注目されているが、無限分解可能分布の観点からの結果は0と言っていい。それは確率過程的な研究がほぼないことも意味している。この点から議論を行った。 またブール確率論の場合についての自己分解可能分布の問題について研究について論文を仕上げその論文がStudia Math.から出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は前課題の論文が受理・出版(Hotta, Ikkei; Mlotkowski, Wojciech; Sakuma, Noriyoshi; Ueda, Yuki On freely quasi-infinitely divisible distributions. ALEA Lat. Am. J. Probab. Math. Stat. 20 (2023))にこぎ着けたことと、ブール確率論の場合についての自己分解可能分布の問題について(T. Hasebe, K. Noba, Sakuma, Noriyoshi; Ueda, Yuki; On Boolean selfdecomposable distributions. Studia Math. 274 (2024))と2つ本研究課題に関わる問題について完了した点、および自由確率論における前島信氏と線形フラクショナル安定過程の問題、Benoit Collins氏、長谷部高広氏、藤江克徳氏、Felix Leid氏らとランダム行列の摂動問題など派生する研究課題のプレプリントを作成できた。 またその成果を2つの国際研究集会(Symposium on Probability and Stochastic Processes, メキシコ CIMATとQuantum Information Theory and Free Probability, アラブ首長国連邦NYUアブダビ)に招待され発表でき、その内容を深めることに成功した。 これらから上記のように判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は前年度課題となったMarkov-Krein変換と自由擬無限分解可能分布の問題と自由ポアソン分布に関連する確率積分の問題を継続し、研究することと新しい問題として、植田優基氏と積についての場合の自由擬無限分解可能分布の問題を検討する。前者の研究についてはある程度めどが立ち始めたので今年度の前半にはその結果をまとめたいと考えている。後者についてはまだ例が全く存在しない状態なので数値計算なども含めてその様子を探りたい。特に古典確率論の場合ですらよくわかっていないので、その部分もよく調べたい。 本研究課題に関連するプロジェクトとして日墨での共同研究をスタートさせた。これにより日本人を何名かメキシコに派遣する中でこの研究の進行スピードを上げようと試みる。実際現地で研究集会を開催するかなどのことがすでに話題となっている。またメキシコ側からの日本訪問の希望もあり、それを2025年春に実現できないかと検討しているところである。また、植田優基氏と共同で北海道教育大学旭川校や近隣で非可換確率論に関連するセミナーを開き情報収集を行うことをする予定である。これには量子ウォークの研究者も興味を示してくれており、本研究課題に関連する幅広い話題を集めて開催していきたいと考えている。また可能であればフランス・マルセイユで開催されるいくつかの自由確率論とランダム行列やランダムグラフに関わる研究会に参加し情報収集し、特に非可換調和解析の新しい手法について研究を深め研究を促進していきたい。
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