Project/Area Number |
23K03174
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
池田 正弘 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (00749690)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | シュレディンガー方程式 / 臨界指数 / 関数空間 / 解の爆発 / 解の散乱 / 力学系 / 無限次元 / 一意性 / 非線形シュレディンガー方程式 / 定在波 / 安定性 / 大域解 / 線形ポテンシャル |
Outline of Research at the Start |
様々な波動現象は, 非線形シュレディンガー方程式(NLS)の解で表現される. しかし, 初期値問題の一般解の性質は, 限定的な場合しか明らかになっていない. 本研究では, 外場(線形)ポテンシャルを有するNLSの解の性質を調べる. 特に, デルタポテンシャルの多次元版の点相互作用ポテンシャルとクーロンポテンシャルを含む逆冪ポテンシャルを扱う. これらは, 1点で強い特異性を持つので, 既存手法のみでは, 解の性質を捉えることが出来ない. 研究の第一段階として, 初期値問題の適切性を, 第二段階として, 定在波の性質を示す. 最終段階として, 定在波の近傍から出発した解の挙動を調べる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は学術論文14本が当該研究分野の権威のある査読付き国際誌及び国際会議に採録が確定した. それらのうち特に本研究課題の重要な成果の概要を述べる. 空間1次元の非斉次Besov空間及びSobolev空間上の合成作用素の有界性に関する必要十分条件を証明した. これは数学分野の権威ある国際紙Math. Annに採録されている. あるシフト写像から定まる記号力学系のPerron-Frobenius作用素の一般化スペクトルを導出, さらにその作用素の一般化スペクトル分解を示した. これは力学系分野で権威のあるSIAM Journal on Applied Dynamical Systemsに採録されている. 長距離型の外場ポテンシャルを持つ空間3次元で3次の非線形項を持つシュレディンガー方程式の基底状態未満の作用を持つ解の時間無限大での挙動(散乱)を示した. これは解析学における国際紙JMAAに採録されている. 星型グラフ上の非線形シュレディンガー方程式に対して基底状態未満の初期値を持つ解の時間挙動に関する必要十分条件を示した. これは国際紙Partial Differential Equations and Applicationsに採録されている. 空間1次元上の質量臨界シュレディンガー方程式に対して解の爆発に関する汎用的な証明を与えた. それをいくつかの重要な線形ポテンシャルを有するものに適用した. これは国際紙Differential Equations & Applicationsに採録されている. Hardy-Henon型拡散方程式に対する無条件一意性を研究した. これはMath. Annに採録が確定した. 測度距離空間上の非線形消散型波動方程式の臨界指数を導出した. これは国際紙EECTに採録が確定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は学術論文14本が当該研究分野の権威のある査読付き国際誌及び国際会議に採録が確定したので, ある程度順調に研究が進展していると言える. 以下いくつかの研究の進捗状況を述べる. Besov空間上の合成作用素の有界性に関する研究(空間1次元かつ1<s<1+1/p, s:微分指数)は, 権威ある国際紙Math. Annに採録された. シフト写像から定まる記号力学系のPerron-Frobenius作用素は, 一般に連続スペクトルを持つが, そのような状況の中で, 適切なGelfant tripletsを定めて, 一般化スペクトルを導出したことは, 当該分野に革新的な前進があったと言える. 長距離型の線形ポテンシャルを持つ非線形シュレディンガー方程式の研究は, 短距離型のポテンシャルを持つ場合より, 困難である. その中で, 基底状態未満の初期値を持つ解の時間挙動を決定したことは大きな前進があった. 星型グラフ上のシュレディンガー方程式において, 凝集コンパクト性定理の成立は長年の懸念であった. その中で, それを示したことは, 革新的な前進であった. 空間1次元上の質量臨界シュレディンガー方程式に対して解の爆発の汎用的な証明を与えたことは成果があった. Hardy-Henon型拡散方程式に対する無条件一意性の研究は, 権威ある国際紙Math. Annに採録が確定していることから分かるように, この分野にブレークスルーをもたらした. 特に, 重み付きLorentz空間に関する調和解析的な部分も明らかにしていることは特筆すべき点である. 測度距離空間上の非線形消散型波動方程式の研究は, その自己共役作用素が, 種々の楕円型作用素を包含しており, 非常に汎用性のある結果となった.
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Strategy for Future Research Activity |
上述の研究の今後の進め方は以下である. Besov空間上の合成作用素の有界性に関する研究は, 高次元の場合と微分指数がその他の未解決な場合を研究する. シフト写像から定まる記号力学系のPerron-Frobenius作用素に関する研究は, 扱われていなかった有限型シフトの場合を研究する. 長距離型の線形ポテンシャルを持つ非線形シュレディンガー方程式の研究は, 基底状態以上の初期値に関する解の時間挙動に関する研究を行う. 星型グラフ上の非線形シュレディンガー方程式の研究においても, 基底状態以上の初期値に関する解の時間挙動に関する研究を行う. Hardy-Henon型拡散方程式に関する研究は, 重み付きルベーグ空間の枠組みでは捉えることのできないデータに関する解の性質を明らかにする. また我々の用いた重み付きLorentz空間とその他の重み付きLorentz空間の関係性を明らかにする. 測度距離空間上の非線形消散型波動方程式に関する研究は, より汎用性のある時間減衰評価を導出することが次の目標である. いずれの課題も当該研究分野において, 非常に意義のある課題である.
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