Project/Area Number |
23K03175
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浜向 直 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (70749754)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 粘性解 / 完全非線形楕円型方程式 / 最大値原理 / 界面発展方程式 / 形状解析 / 比較定理 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、複雑構造を持つ界面発展方程式に対する粘性解理論の構築を目指します。1階のアイコナール方程式や2階の平均曲率方程式を、典型例として考えます。まず、新たな解概念を導入し、初期値問題の一意可解性を調べます。この際、適切な試験関数のクラスの定義と、比較定理・最大値原理の確立が鍵となります。さらに、その一意解の形状を詳しく解析し、界面運動の特徴を追跡します。最適制御や離散ゲームの理論が、有用であると期待されます。
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Outline of Annual Research Achievements |
非線形楕円型・放物型の偏微分方程式、また1階の非線形偏微分方程式を、弱解の概念の一つである粘性解の理論を用いて数学的に解析しています。方程式の典型例としては、物質の二相を隔てる曲面である界面の運動を記述する界面発展方程式、さらにその定常状態を記述する楕円型方程式を考えます。より一般の完全非線形偏微分方程式も対象とします。初期値・境界値問題の粘性解の一意存在性や、解の形状・漸近挙動などの諸性質を明らかにすることが目的です。 令和5年度は、粘性解に対する最大値原理に関連した課題を主に研究しました。最大値原理は、偏微分方程式の解の形状や挙動、正則性を解析するための基盤となる性質です。具体的に取り組んだ課題は、以下の通りです: (1)全空間上の完全非線形楕円型方程式の粘性解に対する最大値原理、特にアダマールの三円定理とリュービル型定理の確立:方程式の1階微分の項に関する増大度が、1次より大きくかつ2次以下であるような完全非線形楕円型方程式を、全空間上で考えます。この方程式の粘性優解に対するアダマールの三円定理をまず証明しました。さらにそれを応用して、粘性優解に対するリュービル型定理を導きました。本研究は、安孫子啓介氏との共同研究です。 (2)ハミルトン・ヤコビ方程式の粘性解の2階微分の下からの評価:先行研究の浜向-吉川(2023)で確立した、粘性解の1階微分(リプシッツ定数)を下から評価する方法が、2階微分(半凹定数)の評価にも応用できるかを議論しました。初期値がヘルダー連続な場合に、比較定理に基づく方法で、半凹定数の下界がヘルダー指数にどのように依存するかを求めました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の点において、一定の成果が得られたと判断したため、おおむね順調な進展としました。 (1)のアダマールの三円定理とリュービル型定理に関して:完全非線形方程式に対するこれらの定理は、方程式の1階微分の項に関する増大度がちょうど1次の場合には、Capuzzo Dolcetta-Cutri(2003)による先行研究で知られていました。証明では、方程式の球対称解と粘性優解との比較が鍵になりますが、増大度が1次でない場合は、球対称解が明示的な形では得られず、このことが解析上の困難となります。本研究では、この球対称解の適切な評価を与えることで、アダマールの三円定理からリュービル型定理を導くことができました。 (2)の2階微分の評価に関して:べき乗型のハミルトニアンを持つハミルトン・ヤコビ方程式を考えました。あるヘルダー連続関数を初期値とする粘性解に対し、その半凹定数の下からの評価を与えることができました。また、半凹定数の上からの評価と組み合わせることで、ある意味で評価が最適であることも分かりました。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)のアダマールの三円定理とリュービル型定理に関して:方程式をどこまで一般化できるかが今後の課題です。例えば、界面発展方程式にしばしば現れるような特異性を許せるか(どの程度の特異性ならば許せるか)は、検討したいと考えています。また、放物型方程式への応用についても考えます。 (2)の2階微分の評価に関して:こちらも、方程式の一般化が課題です。例えば、より一般のハミルトン・ヤコビ方程式や、2階の完全非線形放物型方程式が考えられます。ただし、方程式を一般化した場合、上からの評価に関する既知の結果も限定的なので、下からの評価と同時に、上からの評価についても検討する必要があります。
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