Project/Area Number |
23K03210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12040:Applied mathematics and statistics-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合田 隆 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50733648)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 準モンテカルロ法 / 数値積分 / 高次元問題 / 乱択化 / 一様分布性 / 数理統計学 / ロバスト統計 |
Outline of Research at the Start |
準モンテカルロ法は高次元数値積分法の一つであり、様々な自然科学・工学に応用されている。本研究では既存研究のように「良い準モンテカルロ点集合を構成」するのではなく、「様々な準モンテカルロ点集合による数値積分を(良し悪しを気にせずに)試行し、それらの結果をロバスト統計などの数理統計学の知見を応用して事後解析する」という新奇的アプローチを考究する。これにより、対象とする関数空間を想定する必要のない、ロバストな高次元数値積分法の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究では、高次元数値積分において利用される乱択化準モンテカルロ法に関する新たな成果を得た。具体的には、デジタルネットおよび格子点に対する乱択化手法に関する理論および数値実験を行い、以下の成果を得た。 1. 従来、デジタルネットはスクランブリングによって乱択化される際、推定値の分布の裾が厚いために高次元数値積分における収束速度に制限があった。本研究では、複数の独立試行を行い、その中央値を最終的な推定値とする手法を提案し、裾の影響を高い確率で取り除くことで、被積分関数の滑らかさに応じた高次の収束オーダーが達成できることを理論的および数値実験によって示した。この成果をまとめた論文が「SIAM Journal on Numerical Analysis」に受理・掲載された。 2. 格子点に対する乱択化手法では、点集合のサイズおよび生成ベクトルの乱択化によって収束オーダーを改善することが知られていたが、本研究では新たな生成ベクトルの乱択化手法を提案し、その場合の収束オーダーの最良性を理論的および数値実験によって示した。この成果をまとめた論文は現在投稿中である。 また、この他にもソボル列という準モンテカルロ点集合に関するある一様分布性や1次元求積法に関する研究も行い、これらの成果を学術論文としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.「SIAM Journal on Numerical Analysis」に掲載されたデジタルネットの乱択化に関する論文は、数理統計学(特にロバスト統計学)からの着想を受けた成果であり、これまでになかったアプローチによる新たな結果を初年度に出せた意義は大きい。この論文は、研究課題名にも含まれている「数理統計学」の観点からのアプローチが極めて重要であり、当該分野の既往研究とは一線を画す成果であると期待できる。 2. デジタルネットと並んで良く用いられる格子点についても、その乱択化に関する新たな結果を得た。この成果については、すでにプレプリントを完成・公開しており、外部共同研究者および指導学生との議論を通じて、さらなる発展を目指しているところである。 3. 当初の計画には含まれていなかったが、研究課題の中核である準モンテカルロ法や数値積分に関して、ソボル列に関する一様分布性や1次元求積法に関する新たな知見が得られた。これらの成果は、今後のより広範な展開に貢献し、研究の深化と応用の拡大に寄与すると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. デジタルネットの乱択化については、中央値以外にもロバスト統計学で扱われている統計量を使うことができると考えている。また、ロバスト統計学のより多くの知見を活かすことによって、推定量の信頼区間を構成することができないかについて議論を進める予定である。 2. 2023年度は数値積分のための乱択化準モンテカルロ法を中心に研究を進めたが、関数近似や密度推定などへの応用についても検討を進めている。決定的な方法では達成できない収束性やロバスト性を示すことが今後の展望の1つである。 3. 2024年度は国際研究集会MCQMC2024において基調講演を行うことが決まっている。2023年度の成果を中心に発表し、得られるフィードバックを今後の研究に活かす予定である。
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