Project/Area Number |
23K03243
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
溝口 知成 筑波大学, 数理物質系, 助教 (30821847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大熊 信之 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80869503)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 量子幾何テンソル / トポロジー / 分数チャーン絶縁体 / 軌道磁性 / インターバンド効果 / 量子エンタングルメント |
Outline of Research at the Start |
固体中の電子はバンドと呼ばれる状態で記述される. 異なるバンドの間の絡み合いはインターバンド効果と呼ばれ, 様々な輸送や電磁場応答に本質的な役割を担うことが古くから知られている. 本研究課題では, インターバンド効果の果たす役割について固体中電子を超えた舞台で幅広く探索し, 新奇な物理現象の発見や概念の創出に取り組む. 特に, 近年注目を集めているトポロジーや量子幾何といった知見を用いてインターバンド効果の物理の理論体系を整備する.
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Outline of Annual Research Achievements |
強束縛模型を波数空間で取り扱うとき, 副格子のサイト位置依存性をフーリエ変換の位相に含めるか否かによって2種類の定義が存在する. サイト位置の取扱いは基礎的であるが重要な問題であり, 物理量の計算の際に特に注意を要することが, ごく最近でも指摘されている. この問題に関連して以下の成果を得た. (i) 軌道磁化率の公式の一致性: サイト位置を含んだ定義を採用した際, ハミルトニアンや速度などの演算子が波数空間で逆格子ベクトル分の並進に対して周期性を満たされない. 本研究ではこの点に着目し, インターバンド効果の顕著な発現例の1つである軌道磁性について, 軌道磁化率の公式にサイト位置依存性が与える影響について深い考察を行った. その結果, 軌道磁化率を求める代表的な2つの公式の等価性が, 上述のサイト位置を取り込んだフーリエ変換の定義を用いた場合にも保証されることを証明した. (ii) 分数チャーン絶縁体に関する研究: 分数チャーン絶縁体において最近考案されたvortex関数に関する研究を行う過程で, vortex関数のサイト位置依存性が重要な役割を果たすことを見出した. この研究は、vortex関数が運動量空間において, 量子幾何テンソルにより記述される点で, 本研究計画の中心課題に深く関わるものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は諸物理量に対するサイト位置依存性に着目した深い考察を行い, 軌道磁性や分数チャーン絶縁体などインターバンド効果と密接に関係する現象についての基礎的な理解を進展させた. これらの成果については現在論文投稿準備中である. ここで得られた深い理解は今後, 軌道磁性や分数チャーン絶縁体に限らず, 様々な物理系・物理量を考察する上で重要となると考えられ,次年度以降に向けての研究の素地が形成されたため, 研究は順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた成果を論文として投稿し, また学会発表等を通じて広く周知する. 研究の推進においてはこれまでと同様, 研究代表者と分担者の間で密に議論を行い, 新奇なアイディアを着想したいと考えている. 特に今後は強相関電子系・マグノン系・非エルミート系などに研究対象を拡大し, より広範に成果を上げることを目指す. また本年度は外部招待者を含めた小規模研究会を企画し, これまでの成果の周知と新しい知見の取り込みを図りたい.
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