Project/Area Number |
23K03259
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新山 友暁 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (00583858)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 塑性変形 / ベキ乗則 / 自己組織化臨界 / アモルファス固体 |
Outline of Research at the Start |
地震や破壊現象では,ベキ分布を伴う統計法則で特徴付けられる大規模な事象が突発的に発生する。このような挙動は,固体材料の塑性変形においても本質的な役割を果たしている(臨界塑性挙動)。しかしながら,有限温度下では熱揺動に起因するノイズが塑性イベント抽出の障害となっており,正確な解析の妨げとなっている。本課題では,アモルファス固体塑性の中間スケールモデルに kinetic Monte Carlo 法を適用することで,熱揺動の効果を観測量と完全に分離する。このようなモデルを用いてシミュレーションによって,臨界塑性挙動に対して熱揺動がどのような影響を及ぼすのかを明らかにしていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
空間粗視化モデルにおいてひずみ速度一定の kinetic Monte Carlo (kMC) シミュレーションの実装を行い,シミュレーションの実行結果から定常的な流動が再現できるようにスキームを修正しその確立に取り組んだ。 遷移状態理論に従った熱活性化型の塑性イベント発生とその連鎖のみを取り入れたスキームでは,イベントの連鎖が終了しないケースや応力の不自然な周期的変動が発生することが確認された。これらの原因は時間スケールの分離が大きすぎることおよび塑性イベント発生時の固有ひずみ付加ルールの設定にあると考えられた。このため,個別イベントに所要時間を設定し,時間スケールの分離を緩和した。また,固有ひずみの付加については,いくつかの異なる分配規則を導入したシミュレーションを実行し,その結果をもとに妥当な結果を生み出す分配規則を決定した。この結果,自然な流動挙動をえることができた。また,この流動領域で塑性規模分布を計算したところベキ的な統計分布がえられることが確認できた。さらに,塑性イベント発生を規定する活性化エネルギーに時間スケールを調節可能な時間的緩和モデルを設定し,様々なひずみ速度でひずみ速度一定のシミュレーションを実行した。この結果から,特定のパラメーターにおいて負のひずみ速度依存性が自然な形で再現されることが確認できた。また,アモルファス材料とは質的な相違があるが,遅延力学系の解析によって,臨界性を顕著にする条件についての知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
kMC モデルを実装してシミュレーションした結果からいくつかの不具合が発見されたが,固有ひずみ分配規則と時間スケール分離について修正を加えることで,妥当な結果を与えるシミュレーションの実行に成功した。また,このシミュレーション結果においてベキ乗則にしたがう臨界的な塑性挙動が再現できていることも確認できた。このことからおおむね順調時進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度で空間粗視化モデルをもちいた塑性シミュレーションの基礎スキームが確立されたため,これをもちいたシミュレーションを実行していく。 ひずみ速度一定のシミュレーションを実行し,塑性変形イベントの規模・持続時間・発生時間間隔を抽出し,それぞれの統計分布の特徴を解析し,シミュレーションのスキームの妥当性を検証する。さらに,異なる温度でのシミュレーションを実行し温度ごとのデータを蓄積する。この結果に対して,特徴指数やカットオフサイズおよび分岐率に注目して解析することで,臨界性への温度の影響を調査する。また,付随的に,時間的な緩和・回復因子を加えたガラスモデルに対してひずみ速度一定のシミュレーションを行うことで,塑性流動における負のひずみ速度依存性の発生因子を明らかにしていく。
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