Project/Area Number |
23K03282
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13020:Semiconductors, optical properties of condensed matter and atomic physics-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蓑輪 陽介 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (50609691)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
|
Keywords | レビトダイナミクス / 浮揚オプトメカニクス |
Outline of Research at the Start |
本研究では、光を使って微小なマイクロ粒子の運動を制御する新しい方法を提案・実証します。特に、微小球内に閉じ込められた光の共鳴を利用して、微小球の重心運動を冷却することを目指します。誘電体の微小球には、共鳴散乱スペクトルが微小球の大きさに応じて変化するWhispering Gallery Modeが存在します。この共鳴散乱が微小球の重心運動に与える影響を詳細に研究します。
|
Outline of Annual Research Achievements |
真空中でシリカのマイクロ微小球の捕捉・浮揚をさせるためにPaul trap実験系を構築した。実際に真空チャンバー内に構築されたPaul trapを用いて、シリカのマイクロ微小球の大気圧中および真空中での浮遊に成功している。また、周囲の環境の意図しない帯電による電場の悪影響を補正するための補償電極も稼働させることができた。さらに、予備的実験段階ではあるが、このPaul trap実験系を用いることで、浮遊した状態のシリカ微小球の加熱実験にも取り組んだ。Paul trap中に捕捉したシリカ微小球に波長10.6 μmのCO2レーザーを照射することで、光吸収による加熱が可能である。レーザー照射の結果、シリカ微小球のもつ電荷が変化する可能性が示唆された。
以上の実験と同時に、基板の上に設置されたシリカ微小球のWhispering Gallery Modeの評価も行った。波長可変レーザーを急峻に集束し、微小球に照射することで、Whispering Gallery Modeを励起可能であることを示した。特に、基板の影響を可能な限り除去するために、基板の形状や励起位置を最適化した。この集束光照射の際の後方散乱の強度から、Whispering Gallery Modeを評価することに成功した。その結果、測定されたWhispering Gallery ModeのQuality factorは当初想定されていた値よりも小さいことが分かった。これは微小球内部に光が閉じ込められた際の光散乱や光吸収が想定よりも大きいことを意味しており、微小球表面の平滑性や、内部の不均一性、あるいは水酸基の存在などが影響していると考えられる。
さらに、予備的な実験段階ではあるが半導体シリコン微粒子を真空中に捕捉するための実験系についても構築を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シリカマイクロ微小球を真空中に捕捉するためのPaul trap実験系を構築できたこと、また予備的段階ではあるものの浮遊状態の微小球の加熱に着手できたことは大きな進展である。また、基板の上に置かれたシリカ微小球のWhispering Gallery Modeを測定可能な系を構築したことも、研究が順調に進展していることを示している。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度までの結果により、シリカ微小球のWhispering Gallery ModeのQuality factorが想定よりも小さいことがわかってきた。そこで、その原因の詳細を明らかにするために、微小球の表面の平滑性や微小球内部の均一性の評価に取り組む。具体的には、電子顕微鏡による観察と、イオンビームによる微小球の切断を試みる。切断後に断面を詳細に評価することで、微小球内部の材料の均一性を明らかにすることができる。また、シリカ微小球のWhispering Gallery ModeのQuality factorを高めるために、浮遊状態のシリカ微小球の加熱実験に取り組む。シリカ微小球を加熱することができれば、不純物の除去や表面平滑性の向上などにつながる可能性が期待できる。
同時に、シリカに代わる材料として半導体シリコンの利用にも取り組む。まず、種々のシリコン微粒子・微小球を用意し、大気圧中・真空中でPaul trap中に捕捉することを目指す。そのために、シリコン微粒子のエレクトロスプレーイオン化や、レーザー誘起脱離などの、新たな技術開発を行う。その後、光散乱を通じた微粒子の光共鳴構造の測定など、シリコン微粒子の光学的評価を行う。
また、前年度までの結果から、浮遊している微粒子を光加熱すると、その電荷量が変化することが示唆された。電荷量の変化はPaul trapの不安定化に繋がる可能性があり、加熱による微小球Whispering Gallery Modeの高Quality factor化を阻む大きな問題となりうる。そこで、本年は電荷量の変化があっても捕捉が不安定化されにくいような実験系の構築・実験パラメータの最適化に取り組む。
|