Project/Area Number |
23K03286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13020:Semiconductors, optical properties of condensed matter and atomic physics-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉本 高大 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (70756072)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 一次元拡張ハバード模型 / モット絶縁体 / ポンプ・プローブ分光 / 直流電場 / ワニエ・シュタルク効果 / シュタルク分裂 / テンソルネットワーク / 光学伝導度 / 超高速分光 / 強相関電子系 / 量子ダイナミクス |
Outline of Research at the Start |
超高速分光技術の発展により、系を非平衡状態に誘起することで基底状態の物性を明らかにしたり、平衡状態では得られない量子相を実現したりする試みが近年盛んに行われている。本研究課題では、強相関量子物質に対するポンプ・プローブ分光などの超高速分光のテンソルネットワークを用いた数値シミュレーションを実現し、実験との比較や提案を行う。具体的な対象として、一次元の電子・フォノン結合系や二次元の強相関電子系を扱う。また、よく制御された人工ゲージ場によるフェルミ系・ボース系のダイナミクスも対象とする。これにより、新しい物性探索手法の創出や新規な量子現象の発見を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
物質に高強度の光を照射することによって、その非線形応答から系の基底状態を明らかにしたり、平衡状態では見られなかった新奇な量子相を実現したりすることができる。実験技術の飛躍的な向上により、この分野の研究は近年急速に進展している。本研究課題では、特に低次元強相関電子系が光励起によってどのような振る舞いを示すのか、テンソルネットワークによる量子ダイナミクスの時間発展シミュレーションによって明らかにするものである。 本年度は、強相関電子系の代表的模型の一つである一次元拡張ハバード模型に無限系行列積状態を用いたアルゴリズムを用いることで、熱力学極限でのポンプ・プローブ分光による光学伝導度および一粒子励起スペクトルの解析を行った。光学伝導度については、拡張ハバード模型に含まれるサイト間相互作用によって特徴的なギャップ内状態が出現することがわかった。また一粒子励起スペクトルを見ると、光誘起の新たな分散構造が出現することがわかった。この新たな分散は光学伝導度に新たに現れたピークと対応し、非平衡状態におけるこれらスペクトルを相補的に理解できることを示した。 また、直流電場下における一次元拡張ハバード模型の光学伝導度スペクトルも明らかにした。直流電場のような傾斜ポテンシャルによってワニエ・シュタルク局在が発生し、連続準位が離散化する。また、サイト間相互作用があるときは光学伝導度に励起子吸収ピークが形成されるが、このピークがシュタルク分裂を起こすことも明らかにした。これらの結果はポンプ光としてテラヘルツ光を用いることで観測が可能であり、今後の実現が期待されるものである。 また、派生する成果として、解析的手法とテンソルネットワーク等の数値計算手法を組み合わせることで、4体相互作用を持つスピン1/2梯子模型の基底状態相図を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、無限系行列積状態を用いた拡張ハバード模型のポンプ・プローブ分光のスペクトルの計算を実施できた。また同時に、この模型の直流電場下における光学伝導度のスペクトルも明らかにすることができた。現在は、これらの研究で得た知見を発展させて直流電場下における一次元モット絶縁体の一粒子励起スペクトルの研究を行い、その成果を学術雑誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
行列積状態を用いた数値計算は様々な一次元系の強相関模型に適用することできて、汎用性が高い。作成した数値計算コードを引き続き使用し、改良を重ねる。本年度は拡張ハバード模型のようなフェルミ粒子系を主たる研究対象として取り扱ったが、今後はフェルミ・ボーズ混合系やスピン系などの量子多体模型へ研究の対象を広げる予定である。特に次年度はフラストレートスピン系への展開に注力したい。
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