Project/Area Number |
23K03287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13020:Semiconductors, optical properties of condensed matter and atomic physics-related
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
東條 賢 中央大学, 理工学部, 教授 (30433709)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | レーザー冷却 / 量子エレクトロニクス / 近接場光学 / 冷却原子輸送 / 光学禁制遷移 / 光磁場 |
Outline of Research at the Start |
直接測定が困難な光磁場測定に対して,操作性が高く光磁場分布に高感度応答するボース凝縮体を光定在波内にて薄膜状に保持し,未開拓領域のナノ領域の光磁場を探索する。位相のそろった波の性質を有するボース凝縮体に,特異な光磁場を有するラゲールガウス光を転写し,光磁場プローブの実現を目指す。光磁場分布や位相のねじれいよって生成する光磁場の量子渦の観測が可能であり,独創的な研究への発展が期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまで制御性の高いレーザー冷却原子を”原子波プローブ”として利用し,誘電体表面近傍に誘起される近接場領域の光磁気的相互作用の探索を研究してきた。本研究では,薄膜状のボースアインシュタイン凝縮体(BEC)によるナノ領域の光磁場プローブを実現し,応答が微小で直接測定が困難な局所的な光磁場を探索することを目的としている。2023年度は全光学的BECの生成の確認および超低温冷却原子の誘電体表面近傍領域への導入の安定化を実現し,表面相互作用探索のための新たな光源の準備を行ってきた。 通常の自由空間である磁気光学トラップ領域で交差型光トラップ(1064 nm,10 W)へ10μK程度,2x10^6個程度の冷却原子を安定的に導入した後,光トラップ強度を適宜減じることで蒸発冷却を施し,50 nK程度および原子数10^4程度の状態でBECを実現することを再実験により確認した。 次に,冷却原子を自由空間から誘電体表面近傍までの15 mmの距離を輸送させるが,トラップ領域の100μm程度の交差領域を維持しながら輸送することが可能ではあるものの非常に困難であることを実験的に示し,代わりに新たな近共鳴光トラップを併用し,表面領域で新規に交差領域を生成することで 原子数4x10^5個および20μKの原子集団を安定的に用意できている。また誘電体自身の振動によりプローブ光の干渉が無視できず観測が困難だったが,新たなCCDカメラを導入し安定的に観測することができた。これにより原子数8x10^3個,温度50 nKで位相空間密度が1を超え,表面近傍でのBEC生成まであと少しの状態まで実現した。 一方,相互作用探索の光源についてはまず現有の5P-6P遷移で用いる911nmレーザー光源および空間移送変調器を利用しラゲールガウス光の生成を確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,誘電体表面近傍での薄膜状のBECの実現と磁気双極子遷移を用いた光磁場の転写の実現を目指してきた。まず予備冷却領域で従来方法である交差型光トラップを利用したBEC生成であらためて実現できることを確認している。また表面領域への輸送については,輸送とともに交差領域のずれが生じることがすぐにわかり,その対策として電動アクチュエータを用いて補正しながら運用し,原子数10^5個程度の冷却原子の輸送を実現した。表面領域のトラップ光の作る光定在波内に原子を閉じ込めることを確認できたが,一方でトラップ光が透過から反射に転ずることで捕獲領域に迷光が入り込み不安定化することがわかった。また初期条件では光定在波領域が微小のため交差型光トラップは不必要としたが,トラップ光強度を減じる過程で効率よく速度の速い原子をうまく逃がすことができておらず,より多くの初期原子数の実現と独立した交差型光トラップが必須であることがわかった。 新たな近共鳴光トラップを導入して初期原子数の向上を狙い,輸送用光トラップの光路改良により表面領域での交差型トラップの実現を図った。近共鳴トラップにはRb原子の共鳴よりわずかに波長の長い782 nmを用い光増幅器によって300 mW程度まで増幅したレーザー光を用意し,現有の光トラップと同軸で入射する。近共鳴光ではより広い領域かつ深いポテンシャルを実現し,その結果,表面領域では原子数4x10^5個かつ20μKと低温度の原子数を交差領域に用意することができた。またFrame Transfer機能を有するCCDカメラを導入し,高速撮影が可能になり,微小振動の影響を抑えた撮影ができるようになった。光源についても当初760 nm光を光増幅することを予定していたが,この光源を近共鳴光トラップへ転用し,またすでに整備している911nm光源を用いたラゲールガウス光生成も確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで実現した誘電体表面領域の交差型光トラップによって超低温薄膜状冷却原子波を生成している。輸送シーケンスや近共鳴光トラップをさらに改良して初期原子数の向上を施したうえで蒸発冷却を実施し薄膜状BECを実現する。 表面相互作用の探索のため,薄膜状BECに照射するラゲールガウス光による特異な光磁場の原子波への転写の実現を目指す。その後,表面領域近傍の空間操作および重力落下を用いた表面最近傍領域での顕微分光を試みる。観測装置の整備については5S-5P(780 nm)および磁気双極子励起である5P-6P励起(911 nm)を用い、緩和過程である6P-5S遷移(420 nm)の測定を引き続き確立する。特に,これまで整備してきた911 nmレーザー光の光増幅器の安定運用と、5P-6P励起の高効率化および高強度光磁場生成による光磁場転写実験の高安定化を行う。 2024年度は表面近傍の特異な薄膜状BECと表面との相互作用により影響の出た光磁場をBECに転写および生成したラゲールガウス光と薄膜状BECとの相互作用の観測法を確立する。前年度から計画してきたBECを用いた量子原子波と特異な光電場との相互作用について発展させ,量子気体への特異な量子操作の実現を目指す。 現在,初期状態で従来の光トラップと近共鳴光トラップの同軸の同時照射によって初期原子数を向上しているが,一方向のシングルトラップのため局所的に原子を集めて高密度化できたいない。そのため初期状態で水平型交差型光トラップを実現し初期原子数向上と局所化を実現し,輸送後に高密度化した超低温原子集団に高効率冷却を行う。誘電体表面近傍での全光学的なBEC生成に,特異なラゲールガウス光の光磁場とBECとの相互作用による光磁場転写を利用し、量子渦生成や表面励起の観測が期待できる。表面交差領域に保持した薄膜BECを用いた新奇相互作用の探索を目指す。
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