Project/Area Number |
23K03338
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13040:Biophysics, chemical physics and soft matter physics-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長尾 秀実 金沢大学, 数物科学系, 教授 (30291892)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 膜タンパク質 / チラコイド膜 / 形態形成 / 分子動力学シミュレーション / 粗視化モデル / パターン形成 / グラナチラコイド / シミュレーション / 生物物理 |
Outline of Research at the Start |
葉緑体内のチラコイド膜は光環境によりダイナミックに形態を変化させる。近年チラコイド膜を曲げる機能を持つ膜タンパク質が発見され、チラコイド形態形成に関する分子機構の解明に向けて大きく前進した。本研究の目的は、葉緑体内のチラコイドの形態形成や光環境変化による形態変化に関する分子機構を理論的側面から検討することである。最新のシミュレーション技術を駆使して、チラコイド膜中に挿入した膜タンパク質複合体構造を予測し、チラコイド膜屈曲に必要な膜タンパク質配置パターンを見出す。グラナチラコイド形態形成論争に対して理論的な観点から検討し、パターン形成の物理への貢献として植物の形態形成パターンの一例を示す。
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Outline of Annual Research Achievements |
葉緑体内のチラコイドの形態形成や光環境変化による形態変化に関する 分子機構を物理学的および理論的側面から検討することを目的として、初年度は細胞膜を曲げる膜タンパク質CURT1と脂質分子との親和性を探るために全原子分子動力学シミュレーションを実施した。また、CURT1タンパク質の粗視化モデルの検討も実施した。CURT1タンパク質は近年発見された細胞膜形態形成に関わる重要なタンパク質であるが、その構造安定性に関わる分子論的機構はまだわかっていない。 全原子分子動力学シミュレーションには、アミノ酸配列アラインメント法などを用いたホモロジーモデリングで予測されたCURT1構造を用い、チラコイド膜の主成分である脂質分子はガラクト脂質のMGDGとDGDGを用いた。水溶液中にCURT1タンパク質と脂質分子をランダムに配置した状態から構造安定化を実施し、脂質分子の密度分布からCURT1タンパク質と脂質分子との相互作用形態を解析した。45%が疎水性残基で形成されるCURT1タンパク質の全体に脂質分子の分布を確認することができた。CURT1タンパク質は脂質分子の尾部と親和性があることが確認できた。現在、脂質膜状形態とCURT1タンパク質との全原子分子動力学シミュレーションを準備している。また、脂質分子及びCURT1タンパク質を4粒子とする粗視化モデルを検討している。 CURT1タンパク質と脂質分子とのシミュレーションにおいて、脂質分子の会合構造をさらに解析する必要がある。CURT1タンパク質に対して脂質分子の配位構造を見るために、脂質分子数を大幅に増やした大規模全原子分子動力学法を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画に上げている初年度の研究項目に取り組んだ。 まず初めに、膜形態形成に寄与するCURT1タンパク質と細胞膜を形成する脂質分子との全原子分子動力学シミュレーションを実施した。CURT1タンパク質と膜構造を持たない状態での脂質分子の構造安定性を評価するために、水溶液中にランダムに配置した脂質分子を始状態として構造安定性を検討した。現在、さらに脂質分子数を増やしたシミュレーションを実施している。 また、CURT1タンパク質を4粒子と見做した粗視化モデルを検討中である。 このように、初年度の研究は、計画通りにおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度では、CURT1タンパク質と脂質分子との全原子分子動力学シミュレーションを実施した。令和6年度では、前年度で得られたシミュレーションのノウハウを活用して、(1) 脂質分子数を増やした大規模全原子分子動力学シミュレーションを実施する。CURT1タンパク質周りの脂質分子の振る舞いを解析する。(2) CURT1タンパク質の脂質膜状態との構造安定性を検討する。膜構造とCURT1タンパク質の全原子分子動力学シミュレーションを試みる。同時にCURT1タンパク質同志の構造安定性に関するシミュレーションも検討する。(3) CURT1タンパク質と脂質分子の粗視化モデルを構築する。CURT1タンパク質に対して4粒子を検討している。
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