Project/Area Number |
23K03355
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 14010:Fundamental plasma-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福山 隆雄 長崎大学, 教育学部, 准教授 (20403800)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | プラズマ / 同期現象 / カオス制御 / 電離波動 / プラズマジェット |
Outline of Research at the Start |
本研究は、科研費課題「カオス理論を応用したプラズマの安定化に関する研究(20K03895)」の最終年度前年度応募によって採択された課題であり、その課題を発展的に再構築して、継続するものである。プラズマ科学分野に、普遍的な非線形物理現象である「同期現象」の知見を新たに導入して学術の進展に挑むためには、未解明な課題として残されているプラズマ中における同期現象の機序解明が重要となる。本研究は、同期現象に対する独自の実験的アプローチで、この機序解明を図り、さらに独自のカオス制御によるプラズマの新しい制御法を開拓することを目的として遂行される。
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Outline of Annual Research Achievements |
実験室プラズマにおけるグロー放電下の陽光柱内の電離波動において,時間遅れフィードバックによって引き起こされる間欠的なカオス現象に関する実験的な研究を遂行した。時間遅れフィードバックを周期的なリミットサイクルに適用したとき,適切な遅れ時間を選択しないと,フィードバック信号の強度が増加するにつれて,層流(ラミナー)を妨害するバーストが出現し,周期的な振動系が間欠性を経てカオスに移行することが明らかとなった。得られた時系列を解析した結果,フィードバックを適用して乱れた系はカオス的な特性を持ち,リカレンス・プロットを用いて解析したところ,その形状がフィードバックを適用しない乱流状態とは異なることが明らかになった。また,時間・空間構造を観測することで,時間的にも空間的にも周期的な状態にある系が,フィードバックを印加することで,時空カオス状態に遷移することが明らかになった。これまでの研究実績としては,非線形リミットサイクル振動に,時間遅れフィードバックを印加すると,遅れ時間のパラメータによっては,系が間欠性を経てカオス状態になることを観測した,ということが挙げられる。今後,本研究で観測された間欠的カオスの種類を理論的背景に基づいて分類することが望まれる。 続いて,大気圧中において発生させたプラズマジェットをハイスピードカメラで撮影すると,プラズマを発生させるために用いる電源の周波数に応じた明滅が観測されるが,その明滅リズムに着目した研究を進めた。その結果,大気圧中において2つのヘリウムプラズマジェットを発生させて,それらを近づけて相互作用させた場合,ジェット間の距離が小さくなるほど明滅の一致の割合が大きくなり,同期することを現象論的に見出したが,その機序の解明など,更なる研究が望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
査読付の国際誌(Plasma and Fusion Research 誌),および,日本物理学会やプラズマ・核融合学会で報告されるような成果が得られており,これまで,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
カオス状態を呈する電離波動の系に,外力として周期信号を印加して,位相同期状態へと遷移させる。続いて,印加信号の強度や周波数をコントロールパラメータとして変化させる。結果としては,位相同期が外れて元の状態(カオス状態)に戻る過程において,位相差の時間発展をグラフとして表すと,悪魔の階段(カントール関数)の構造が観測されると予想される。さらに,系を支配するパラメータ(外力の周波数・強さ)を変化させながら,位相同期状態の継続時間の平均値を調べる。位相同期状態の継続時間は,位相差の時間発展グラフの傾きの逆数によって見積もる。結果としては,パラメータと位相同期状態の継続時間との関係において,カオス理論に基づくところの,スケーリング則が見出されると予想される。 続いて,2つの大気圧プラズマジェットの明滅リズムの相互作用を調べる。大気圧で生成された2つの He プラズマジェットを近接させた場合の明滅リズムの違いを,明滅リズムの一致率から詳しく解析する。また,明滅リズムの同期のメカニズムが電磁相互作用による誘導結合によるものであることを明らかにするための研究に取り組む。
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