Project/Area Number |
23K03413
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
棚橋 誠治 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (00270398)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 有効場の理論 / 電弱対称性の破れ / 素粒子現象 / 低エネルギー有効理論 / ヒッグス |
Outline of Research at the Start |
広い範囲の素粒子標準模型を超える物理における新粒子の生成断面積等の素粒子現象をその輻射補正を含めて系統的に計算することができ、なおかつ、標準模型粒子の精密測定に使用される標準模型有効理論(SMEFT)やヒッグス有効理論(HEFT)との親和性も高い有効理論を構築し、なるべく簡便な形で新粒子の生成断面積等の計算を実行可能な理論形式を確立することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
その起源が量子色力学の次元変性であることが知られているQCDスケールと異なり、電弱対称性の破れのスケール、つまり素粒子質量の起源はいまだ明らかになっていない。素粒子標準理論における説明はツリーレベルのヒッグスポテンシャルのパラメータ調整によるものであるが、QCDの場合とは異なり、この説明での電弱対称性の破れのスケールは古典的に禁止されておらず、巨大な量子補正を受けてしまう。したがって、電弱対称性の破れのスケールの小ささを説明するためには、パラメータの微調整が必要となる。この問題を解決するため、これまで多くの素粒子標準理論を超える物理の可能性が検討されてきた。本研究は、これらの素粒子標準理論を超える物理を個々に調べるのではなく、統一的な有効理論を構築することで、模型の詳細によらない制限を得ようとするものである。有効理論を用いて素粒子標準理論を超える物理に含まれる新粒子を調べるには、これらの新粒子を含む有効理論を構築せねばならない。クォークレプトンの複合模型や、レプトクォーク模型は、有効理論を用いた解析が特に有用であることが知られている。研究代表者は、パーティクルデータグループ共同研究において、クォークレプトンの複合模型とレプトクォーク模型の解説記事の執筆を担当しており、本研究課題の研究で得た知見をもとに、これらの模型の有効理論構築についてと、現在までに行われた素粒子実験によるこれらの模型への制限についての解説記事の執筆を行った。さらに高階微分を含む有効場の理論の構築とその輻射補正の構造を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パーティクルデータグループにおけるクォークレプトンの複合模型とレプトクォーク模型についての解説記事の執筆を遅滞なく進めることができ、その成果はすでにウェブで公開されている。また、2024年夏にはこれらの解説記事が査読つきジャーナルで出版される予定になっている。これらと並行して高階微分項をふくむ有効場の理論の構築をすすめており、補助場の方法を用いた具体的構成法の研究をすすめている。ヒッグスポテンシャルに含まれる質量パラメータは、素粒子標準理論の基礎的ツリーレベルパラメータのなかで唯一の質量次元を持つパラメータであり、現在までに知られているすべての素粒子質量を決定する電弱エネルギースケールの起源となるパラメータである。一方、ヒッグスラグランジアンには、ポテンシャル以外に運動項が存在し、ここからヒッグス内部空間(ヒッグス多様体)の計量テンソルを読み取ることができる。この見方に立つと、ヒッグスラグランジアンは ヒッグス多様体上の非線形シグマ模型に他ならない。ヒッグス場を点変換することでラグランジアンの見かけの形が変化することに注意が必要であり、とくに、有効ラグランジアンが高階微分を含む時の解析はこれまでにほとんどなされていなかった。本研究ですすめている補助場を用いた方法はこの欠点を解消するものであり、本研究課題は順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、任意の量子数をもつ新素粒子をヒッグス有効理論に導入したときの有効理論、つまり、一般化されたヒッグス有効理論の構造が、高階微分ラグランジアンの影響まで含めて明らかになりつつある。しかし、高階微分ラグランジアンを補助場をもちいて記述する方法には複数の手法が存在するため、お互いの関係を調べる必要がある。これまでの研究はまた、有効場の理論の手法開拓に関するものであり、これらの手法を実際に、拡張ヒッグス模型、レプトクォーク模型、ダイクォーク模型、ダイレプトン模型、クォークレプトンの複合模型にどのように適用し、コライダー物理やフレーバー物理への影響を定量的に調査するところまでは至っていない。これらの状況を鑑み、当面は、複数の有効場の理論の間の関係を理論的に調査する研究に注力するものの、徐々に実際の素粒子現象への応用研究にシフトしていきたいと考えている。具体的には、LHC実験や将来の加速器実験における新素粒子の生成断面積や、フレーバー物理への新素粒子の影響を、一般化されたヒッグス有効理論の枠組みで評価する研究を進めたいと考えている。
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