Investigation of the supermassive black hole growth mechanism with high resolution multiphase gas observations
Project/Area Number |
23K03462
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
泉 拓磨 国立天文台, アルマプロジェクト, 准教授 (40792932)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 活動銀河核 / ALMA / 超巨大ブラックホール / ブラックホール進化 / 質量降着 / サブミリ波 / 活動銀河中心核 / 高解像度観測 / 星間物質 |
Outline of Research at the Start |
ALMA望遠鏡を用いた分子・原子・プラズマの全ての相における高解像度観測から、超巨大ブラックホールへの降着流と、銀河核からの噴出流の分布と運動を測定し、活動銀河中心核における物質流の完備な理解を得る。降着流については、明るい活動銀河中心核を背景光源とした吸収線観測で調査する。ブラックホール周辺の高密度ガス円盤の質量と運動の測定から、円盤内の重力不安定性が質量降着を駆動しうるかどうかも調べる。さらに、得られた知見を整理して、次世代の大型干渉計計画実現に向けたサイエンスケースの提言も行なう。
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Outline of Annual Research Achievements |
活動銀河中心核(質量降着中の超巨大ブラックホール)の成長機構の解明を目指して、ALMA望遠鏡を用いた多相星間物質(分子、原子、プラズマ)の高解像度観測を実施した。観測対象は最近傍活動銀河核であるCircinus銀河で、達成した空間解像度は最高で3光年程度である。これは、これまでの同種の研究の数十光年から数千光年という解像度を圧倒する値であり、実際に本研究は多相星間物質の観測としてはこれまでで最高解像度のものである。
観測の結果、Circinus銀河中心部では中密度の分子ガスが渦巻状に収束して高密度分子ガス円盤を形成していることが分かった。この高密度分子ガス円盤の厚みは薄く、円盤上空の領域には中心核からの強力なX線放射が透過しやすい。これにより、円盤上空の領域では、分子が破壊されて原子ガスに変換されていることも分かった。また、プラズマガスは銀河核付近から(周囲の分子・原子ガスに絞り込まれる形で)円盤の鉛直方向にコーン状に分布していた。運動の解析から、これは活動銀河核に駆動されたアウトフローの根本に相当することも分かった。
高密度分子ガス円盤の大きさは銀河中心の10光年以内である。ガス質量と運動の解析から、この円盤は重力不安定という物理状態にあることが判明した。これは、円盤ガスが自重を支えきれずに崩壊することを意味し、それによって角運動量の輸送が進む。よって、この重力不安定性が、ブラックホールへの質量降着がトリガーする機構だと解明できた。本成果は、これまで研究が進んでいなかった銀河中心部分での星間物質の多彩な動的構造を解明しただけでなく、ブラックホールへの直接的な質量降着の物理過程をも解明したものとして、Science誌から出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ALMA望遠鏡の最高解像度の観測データを効率良く解析できたことで、多相ガスの動的構造の観測的理解が大きく進んだ。単に空間分布やダイナミクスを調べるだけでなく、物理的な考察を深めることで、重力不安定性という質量降着の鍵となる機構を解明できたことは大きい。査読者との厳しいやりとりを経て、Science誌に成果を掲載できたことも大きな進捗となった。総合的に見て、当初の計画以上に大きな成果を生むことに成功していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Circinus銀河の観測で得た知見を、他の様々な活動銀河核に適用して研究を拡大することを考えている。たとえば、光度やエディントン比の異なる銀河核を網羅的に観測し、重力不安定性が普遍的な質量降着機構なのかどうかを調査したい。そのための基礎データとして、近傍宇宙の活動銀河核に対する分子ガスサーベイ観測を実施した。現在はそのデータを解析中である。
また、ALMA望遠鏡の主な観測波長であるサブミリ波帯には、プラズマガスのプローブとして水素やヘリウム等の再結合線が多数存在する。その微弱さから、再結合線はこれまであまり注目されていなかったが、ALMA望遠鏡の高い感度によりその検出も可能となった。我々の研究でも、電離ガスの探査には再結合線を用いている。今後は、活動銀河核における素性が観測的に未解明のサブミリ波再結合線観測も強力に推進し、ブラックホール周辺の物質構造について理解を深める予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(26 results)