Project/Area Number |
23K03528
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野坂 俊夫 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (80252948)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 海洋コアコンプレックス / 変質作用 / 斑れい岩 / かんらん岩 / 蛇紋岩 / アトランティス・マッシフ / 岩石 / 海洋リソスフェア / コアコンプレックス |
Outline of Research at the Start |
海洋コアコンプレックスは低速拡大海嶺の近傍に多数分布するドーム状隆起岩体である。これらの岩体の隆起は大規模な断層と連動しており,また岩体上部から噴出する熱水は,噴出孔周囲の生態系を支えるエネルギー源となっている。このような海洋底のテクトニックな変動と環境の変化は,海洋リソスフェアを循環する熱水の活動に起因するものである。本研究は,海洋コアコンプレックスを構成する岩石中に生成した変質鉱物の分布と産状および化学組成を分析することによって,変質作用の物理化学的条件とその変遷を明らかにし,海洋リススフェアにおける熱水活動の履歴を解き明かそうとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は海洋コアコンプレックス(OCC)を構成する下部地殻斑れい岩類と最上部マントルかんらん岩における変質作用の物理化学的および地質学的要因を明らかにすることにある。 この目的を達成するために,本研究代表者は令和5年4月から6月にかけて実施された国際深海科学掘削計画(IODP)第399次航海に乗船研究者として参加した。この航海では典型的なOCCの一つである大西洋中央海嶺近傍のアトランティス・マッシフにおいて海底下1200mを超える掘削に成功した。採取試料の約70%が蛇紋岩化かんらん岩,約30%が斑れい岩類であった。この掘削孔は,海洋底のマントルかんらん岩を主とする岩盤の掘削孔としては史上最大深度に達するものであり,いまだかつて人類が目にしたことのない深部の岩石が採取できたことによって世界的に注目を集めている(例えば Science:2023年5月,USA Today:2023年6月のニュース記事)。学術的には,これらの岩石の分析によって地球の進化や生命の起源に関する重要な情報が得られるものと期待されている。 本研究代表者は船上において,蛇紋岩化かんらん岩と斑れい岩の相互関係,変形構造,熱水脈の分布とクロスカット関係,および変質鉱物の分布と産状などをつぶさに観察することができた。その成果はIODPの報告書(IODP Preliminary Report)の一部として2024年3月に公表され,また国際学術誌に投稿された(現在査読中)。さらにより詳細な報告書(IODP Proceedings)を2024年内に公表すべく準備中である。掘削試料は乗船研究者に優先的に配分されるのがIODPのルールであり,航海後に各国の研究室で詳細な分析が行われる。岡山大学においても配分された試料の分析を始めたところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IODP 第399次航海では,アトランティス・マッシフの斑れい岩と蛇紋岩化かんらん岩を海底下1260mまで掘削することに成功し,詳細な岩石記載を実施することができた。また下船後に配分された試料の顕微鏡観察と化学分析も順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続きIODP第399次航海で得られた掘削試料の顕微鏡観察と化学分析を進め,必要に応じてラマン分光分析を行う。アトランティス・マッシフでは過去の航海でも掘削が行われており,本研究代表者の手元には第305次航海の掘削孔から採取された試料がある。これら新旧の掘削試料を分析し比較することで,アトランティス・マッシフにおける変質作用の空間的・時間的変化を捉える。さらにこれまでに研究されてきた他のOCC(例えば南西インド洋海嶺近傍のアトランティス・バンク)における変質作用との比較を行う。
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