Project/Area Number |
23K03541
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 利典 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (70222015)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | スロースリップ / 絶対応力値 / 海底圧力計 / 海洋モデル / 房総沖 / 豊後水道 |
Outline of Research at the Start |
地震発生を理解し地震の予測に繋げる上で、地下の応力場を把握することは重要なことである。地震学では、応力の変化分はわかるが、絶対量は推定できていなかった。地震がいつ発生するかは、応力の絶対量の把握が必要である。本研究の学術的「問い」は、「地震が発生する10-40 kmの深さでの応力の絶対量を求める方法はないか?」であり、これに対して、「スロースリップのような準静的変動の観測からその場の応力の絶対量が求められる」という「答え」を提案するものである。研究では、海底圧力計による房総沖スロースリップの観測と解析の精緻化、房総沖スロースリップから応力の絶対量の導出、他地域への応用を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
地震発生を理解し地震の予測に繋げる上で、地下の応力場を把握することは基本的に重要なことである。地震学では、応力の変化分はわかるが、絶対量は推定できていなかった。本研究の学術的「問い」は、「地震が発生する10-40 kmの深さでの応力の絶対量を求める方法はないか?」である。これに対して、本研究では、その突破口の1つとして「スロースリップのような準静的変動の観測からその場の応力の絶対量が求められる」という「答え」を提案している。本年度は以下の研究を行った。 海底圧力計による房総沖の観測:令和4年度に設置した海底圧力計の観測を続けた。スロースリップ(SSE)が発生すれば回収する予定であったが、年度末の令和6年2月から3月に発生したので、回収・再設置は次年度にすることとした。 海底圧力計解析の精緻化:海底圧力計の変動には、海底の上下変動以外に、潮汐や海洋変動、季節変動等が含まれる。これらを適切に取り除く方法として観測データと海洋モデルに対して、信号解析の手法であるマルチチャンネル特異スペクトル解析を適用して、海洋変動の除去を試みた。この際、観測データと海洋モデルの各成分で相関がよいもののみを用いて海洋モデルを再構築した。これは、海洋モデルの不完全さを観測データで測ったことに相当する。2018年の房総沖SSEの期間のデータに適用した結果、観測値から海洋変動を効率よく取り除くことができ、数mm程度の精度で上下変動を取り出すことができた。 他地域への応用:SSEから有効法線応力を求める方法を房総沖SSE以外にも適用した。房総沖SSEと同程度の規模である、豊後水道のSSEについてGNSSのデータを用いて解析を進めた。2018年に発生したSSEに対してすべりの時空間分布、剪断応力変化を求めた結果、房総沖SSEと同様な関係が見られ、有効法線応力は20-30MPaと推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、海底圧力計を用いた房総沖スロースリップの観測とマルチチャンネル特異スペクトル解析による海洋モデルを用いた海洋変動の除去、すべりの時空間分布解析を通して、「スロースリップのような準静的変動の観測からその場の応力の絶対量が求められる」という提案の正しさを示し、この推定方法の確立をめざすところにある。 上記「5.研究実績の概要」に書いたように、スロースリップの発生が令和6年2月から3月となったため、回収・再設置は次年度にしたが、観測そのものは順調に行われている。次年度の回収・再設置のための観測船は既に用意してある。海洋変動の除去も順調に進んでいる。すべりの時空間分布解析も豊後水道のスロースリップに適用し、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度については、海底圧力計の回収・再設置を6月と7月に行う。6月には東京海洋大学の神鷹丸、7月は海洋研究開発機構の新青丸(これは、東京大学大気海洋研究所の共同利用に応募し、採用されたもの)は使用できるので、この2航海で6台の回収・再設置を行う。回収したデータを用いて、2024年の房総沖スロースリップのすべりの時空間分布の解析を進める。 海底圧力計解析の精緻化については、令和5年度に開発した方法の改良、検証を進める。2018年房総沖スロースリップ時期以外のデータにも当てはめて、その有用性や改良点について研究を進める。 他地域のスロースリップへの応用は、豊後水道について進める。2018年以外のスロースリップについても解析を進める。
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