Experimental evaluation of flexomagnetism and creation of bending type nano magneto-thermoelectric device
Project/Area Number |
23K03589
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18010:Mechanics of materials and materials-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安部 正高 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (50582623)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澄川 貴志 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (80403989)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | フレクソマグネティック効果 / ナノ薄膜 / 圧縮負荷 / その場観察 / 圧電応答顕微鏡 / 磁気力顕微鏡 / 局所ひずみ勾配 / フレクソマグネティック現象 / 反強磁性体 / ナノ力学 / 磁気熱電 / 異常ネルンスト効果 |
Outline of Research at the Start |
エネルギー利用の高効率化に大きく貢献する廃熱利用発電の有力な技術の一つとして磁気熱電素子がある。しかし、発電効率の飛躍的向上を目的とした高集積化のために磁気熱電素子をナノレベルまで小型化すると、素子材料の磁化が不安定となり発電効率が下がる問題がある。本研究では、反強磁性体にひずみ勾配を与えると自発磁化するという“フレクソマグネティック効果”に着目し、ナノ材料における安定的かつ力学的な自発磁化の発現と磁気熱電素子への応用を試みる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、反強磁性体ナノ薄膜のフレクソマグネティック効果を実験評価可能なその場観察力学負荷機構の開発を実施した。具体的には、Si基板上にナノ薄膜を製膜した試料に対して、 (1)基板にくさび型の貫通スリットを導入し、両側からスリットが閉じる方向に圧縮負荷を加えることでスリット先端部に安定的に大きなひずみ勾配を引き起こす機構、(2)基板のみに(1)と同様の貫通スリットをエッチングにより導入することでスリット上に自立薄膜を形成し、両側からスリットが閉じる方向に圧縮負荷を加えることで、自立薄膜の座屈により薄膜上に大きなひずみ勾配を引き起こす機構、の2つを開発した。本機構は同一の負荷装置で実現可能である。本年度は、原子間力顕微鏡内で使用可能かつ、負荷をコントロールできる送りねじを使用したスライド式の微小負荷機構を設計、開発した。 また、所望のひずみ勾配の発生と原子間力顕微鏡内でのその場観察が可能かを確認するため、Si基板単体について(1)の負荷機構によって、スリット先端部で発生することが予測される電気分極(フレクソマグネティック効果と同様にひずみ勾配によって生じるフレクソエレクトリック効果に由来)を原子間力顕微鏡内で測定した。その結果、所望の負荷(スリット部の閉口)は実現できたが、スリット先端での電気分極は測定できなかった。これは、エッチングにより作製したスリット先端の曲率半径が、設計上の曲率半径に達していなかったことが原因であった。その解決策として、エッチング後にさらに集束イオンビーム装置で追加工する手法を提案した。 本手法によって、従来では不安定破壊が生じる恐れがあるナノクラックの開口負荷などによってのみ創出可能であった大きさの局所ひずみ勾配を、不安定破壊の恐れが低い閉口負荷によって安定的に創出し、フレクソマグネティック効果をその場測定することが可能となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現状は、反強磁性体ナノ薄膜のフレクソマグネティック効果を実験評価可能なその場観察力学負荷機構について、負荷機構の改良と検証を進めている段階であり、実現の見通しは立っているものの、手法の確立には至っていない。これは、当初予定していたSi基板のエッチングによる加工精度が想定よりも低かったためであり、集束イオンビーム装置による追加工などにより解決可能であると考えている。また、反強磁性体ナノ薄膜についても実際に負荷および測定を行うことが未だ出来ていない。これは、使用を想定していたMn3Sn薄膜の入手が困難であったことが主な理由であるが、現在はサンプルを入手することが出来ており、製膜方法も判明したため、研究室の現有装置による製膜についても検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度開発、検証した負荷機構を完成させ、反強磁性体ナノ薄膜のフレクソマグネティック効果により生じる磁気分極の原子間力顕微鏡内その場観察を実現することを当面の目標とする。一方で、自立薄膜の座屈を利用した負荷機構についてはまだ検証できていないため、まずは、比較的入手が用意なSi基板上PZT圧電薄膜について試験片の作製と原子間力顕微鏡内でのその場観察負荷・測定を行う。さらに、これらの手法と並行して、第3の手法として、(3) 表面に3次元構造を有する試験片の4点曲げを利用した局所大ひずみ勾配発生機構の開発を進める。これは、本研究室で開発中のメカニカルメタマテリアルの設計手法を応用した負荷機構である。これらの開発を並行して進めることで、研究期間内に本課題の目的を確実に達成するとともに、相助的かつ効率的に研究を推進する。 また、次年度ではペルチェ素子やピエゾ式探針を使用した熱電効果測定システムの開発も行う予定である。これは、反強磁性体に温度勾配を生じさせ、異常ネルンスト効果により発生する熱電効果を原子間力顕微鏡内で測定するものであり、本年度開発した負荷機構はこの熱電効果測定システムを組み込むことも想定して開発している。 一方で、次年度以降ではMn3Sn以外の反強磁性体ナノ薄膜の磁気特性を局所ひずみにより制御する手法についても検討の幅を広げる予定である。具体的には、本課題で開発した負荷機構によってFeRh薄膜に局所ひずみを負荷し、反強磁性/強磁性相転移を制御する手法について検討する。本課題の従来の目標であるフレクソマグネティック効果を利用した磁気分極の創出とは少し離れるが、磁気熱電素子としての利用を考えた場合、このような局所ひずみを利用した磁気相転移制御手法は革新的なナノテクノロジーとなる可能性を秘めている。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)