Project/Area Number |
23K03597
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18010:Mechanics of materials and materials-related
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
柳町 拓哉 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50768744)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 破壊力学 / ソフトマター物理学 / 非平衡ダイナミクス / 配向欠陥 / 偏光顕微鏡観察 / エネルギー散逸 |
Outline of Research at the Start |
本研究では荷重印加状態での樹脂の分子配向とき裂の生成・成長について実験的に調べ,材料の破壊について分子配向の観点から考察する.初期段階として,液晶を混合したパラフィンをモデル系として偏光顕微鏡下で引張試験を行う.液晶分子の配向はパラフィン分子の向きを反映するため,偏光顕微鏡下でき裂の周囲における分子配向を観察することができる. 実験で得られた情報から,引張試験中に生じる材料の分子配向と破壊モードとの関係を明らかにする.材料の変形・破壊の過程で生じる分子配向の不均一(配向欠陥)に着目し,欠陥の密度と物性値や温度などのパラメータを合わせることで破壊現象を特徴づけるパラメータを明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
申請者は,樹脂材料における破壊のメカニズムを分子配向の観点から明らかにするために,引張荷重を印加した状態における分子配向変化および組織の形成・成長を観察する研究を進めている.現状では(1).液晶を添加した材料の顕微鏡下における観察,(2).低荷重に対応した顕微引張試験機の開発を計画している. (1).材料観察:当該年度は組織の形成と破壊過程についてのモデルを構築するために,ネマチック液晶における欠陥形成と構造変化について実験的に明らかにした.室温のネマチック液晶に電圧を加えることでヒモ状の組織を生成し,時間とともに消滅する過程を観察した.消滅の過程において組織は液晶中を動くために,分子配向が時間とともに変化する.この時に組織に働く粘性抵抗を見積もるモデルを構築し,現象論的な粘性係数を定量化した.実験により,電圧の増加に伴って粘性係数が1桁程度急激に大きくなる現象を見出した.液晶の分子配向を数値計算によって求めたところ,粘性係数の急増が起こる電圧で組織の構造が転移的に変化していることが分かった.この結果は,材料の局所的な分子配向がエネルギー散逸に大きく影響することを示している.申請者はソフトマターにおける破壊においても組織のダイナミクスが生じると予測している.組織のダイナミクスによるエネルギー散逸過程を現象論的な粘性係数として定量化する手法を開発することができた点で,当該年度の成果は重要であるといえる. (2).引張試験機:高専に既設の引張試験機を利用することを想定していたが,金属材料の試験に使用される装置のため,低荷重の実験へ利用できるかどうか明らかではないことが分かった.そこで装置を内製することを検討し,必要な部材の選定と情報収集を行った.THK製アクチュエーター(SKR2602A)で14 kg程度の荷重を加えることが可能であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では材料の観察におけるデータ解析に向けた実験と,引張試験機の製作に向けた検討を並行して進めている.当初計画ではR6年度を目途にして論文の出版を計画していたが,予定を前倒ししてデータ解析に関連する査読付き学術論文を出版した.引張試験機については,部材の選定と購入に時間を要したために遅れている.一方で温度制御ユニットの試作を前倒して進めることができたので,研究計画全体の遅れは生じていない. (1).材料観察:液晶物質を混ぜた固体(パラフィン)について研究を進めるにあたり,引張条件下における組織のダイナミクスをエネルギー散逸の観点から議論することが必要である.当該年度は単純なネマチック液晶を題材として組織の顕微鏡像からエネルギー散逸について定量化する手法を構築し,査読付き学術論文として出版した(T. Yanagimachi, PRE., 109, 044703 (2024).).また,従来の理論モデルでは円形の組織を仮定してモデルが構築されていることに注目し,楕円形の組織にも適用できるように運動方程式を拡張した(柳町,小松,日本物理学会2024年春季大会,口頭発表18pM2-7.).これらの結果により,単純な実験系における組織のダイナミクスとエネルギー散逸の関係について理解を深めることができた. (2).引張試験機:実験装置を自作するにあたり,設計に向けての情報収集と部材の購入を進めた.検討の結果THK製アクチュエータを利用して引張試験機の製作が可能であることが分かり,アクチュエータ本体,電源,コントローラ等の部材を購入した.部材を選定し,発注操作をしたところ納品が1月末となった.納品が遅くなったため年度内の装置製作は断念した.一方で,次年度以降に製作予定であった温度制御ユニットを前倒しして試作し,室温近傍で温度変化をさせながら液晶の相転移を観察することに成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
(1).材料観察:電圧印加時の液晶に生じる楕円形の組織について,ダイナミクスを記述するために拡張運動方程式の構築と検証を行った.室温の液晶についてデータを蓄積したので,結果をまとめて査読付き学術論文として出版する予定である.これまでの研究により材料内における組織のダイナミクスとエネルギー散逸を関連付ける基礎的な知見を得たので,今後は液晶を混合した固体(パラフィン)を用いて引張試験を中心とした実験を行う予定である.来年度以降にポリエチレンなどの高分子についても同様の研究手法を適用し,一般的な樹脂材料への展開を進める.また,液晶性高分子など分子の凝集による組織形成を自然に含む樹脂材料についても展開する予定である. (2).引張試験機:部材の購入をしたので実際に装置の試作を行う.製作した装置を利用してパラフィンの引張試験について初期的な検討を行い,実験結果を学会で発表する.現状では試料の一端を固定して,もう片方の端に荷重を加える装置構成とする.今後,顕微観察を進めるためには,試料上の観察する領域が顕微鏡の視野に対して固体された状態になることが好ましい.試料の動きを抑制するために,引張試験機をもう一台自作し,左右逆向きに荷重を加えられるように装置を拡張する.また,高精度な画像を取得するために現状のUSBカメラを対物レンズつきのCCDカメラに換装する.CCDカメラを利用することによって,対物レンズの交換による像の拡大が可能になるなど,実験条件について細かく検討することが可能になると期待される. 上記(1),(2)を統合し,樹脂材料の破壊過程について分子の凝集構造・配向の観点から明らかにする.研究内容について査読付き学術論文としての出版を計画している.
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)