Project/Area Number |
23K03607
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18020:Manufacturing and production engineering-related
|
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
武澤 英樹 工学院大学, 先進工学部, 教授 (40334148)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 細穴放電加工 / 加工液噴射圧 / 放電不安定状態 / 主軸降下量 / 電極消耗率 / 加工速度 |
Outline of Research at the Start |
冷却穴などアスペクト比の高い細穴加工では,非接触加工である放電加工が選択されることが多い.ただし,放電加工でも加工深さが深くなると加工粉の排出が滞ることで放電状態が不安定となり,加工速度が低下することが多い.これまで,パイプ電極の外周部に溝形状を施すことで,加工速度の低減を回避する効果があることを確認してきた.この研究において通常パイプ電極を用いても,噴射する加工液のポンプ圧を低減することで,加工速度の低下が生じない場合があることを経験した.そこで本研究では,深穴放電加工において加工液噴射圧を加工状態により制御することで,深穴加工時の加工速度低下を解消するシステムの構築を目指すものである.
|
Outline of Annual Research Achievements |
パイプ電極を用いて加工液を噴射しながら加工が進行する細穴放電加工において,加工深さが深くなると放電状態が不安定となり加工速度の低下や電極の引き上げ動作が頻発する.これまで,加工粉の排出が滞ることで短絡や異常放電の発生により,放電不安定状態が誘発されると考えられてきた.これまで申請者らは,放電波形の観察から放電状態を予測して,放電不安定状態の発生について検討してきたが,初年度はそれに加えて,穴加工近傍の工作物壁面温度のリアルタイム計測手法を確立して,放電不安定状態発生との関係を調べた. その端緒として,高さ100mmおよび125mmのステンレス鋼に対して,直径1mmの黄銅パイプ電極で穴加工を行った際,前者は実深さ95mm前後で不安定状態が生じるのに対して,後者は実深さ110mm前後で不安定状態が生じる.この場合.後者では実深さ95mm程度では安定的に加工が進行していた.そこで,ある加工深さで加工粉の排出が滞ることのみが,放電不安定状態誘発の原因だけではないことが推察された.そこで,加工部位近傍の深さ方向温度分布の計測システム構築を進めた.熱電対を用いた手法とサーモカメラを用いた手法の2通りで計測を行った.その結果,加工物の高さが異なっても残り材料厚さが5mm程度になると,その近傍壁面温度が上昇していることが分かった.つまり,高さ125mmの加工においては,実深さ95mm程度では残り25mm程度の厚さの材料が残っており,素材の熱容量が大きいため温度上昇は少ないが,材料の残り厚さが5mm程度になると温度上昇が大きくなる.そのため,加工粉の排出が滞ることに加えて,材料内部温度も放電不安定性を誘発する要因の一つと推察された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ステンレス鋼の高さ75mm,100mm,125mmに対して,直径1mmのパイプ電極を用いた深穴放電加工を行い,放電不安定状態の再現実験を繰り返し,アスペクト比で決定される,ある加工深さで再現されるわけではないことを明らかとした.不安定状態が発生する状況として,残り加工深さ(残り材料厚さ)が5mm前後になると発生することが分かった.そこで,加工中の工作物壁面の深さ方向温度分布を計測できるシステムを構築し,実加工中の壁面温度計測を行った.温度計測は,深さ方向に配置した熱電対を用いる手法と,非接触で観察できるサーモカメラによる手法の2種類で観察した.その結果,残り加工深さ(残り材料厚さ)が5mm程度になると,材料の熱容量が少なるためか壁面温度が上昇していることが分かった.つまり,これまで細穴放電加工における放電不安定状態の発生は,加工粉の排出が滞り異常放電が発生することがきっかけと考えられてきたが,それに加え材料温度の上昇も要因の一つであろうことが推察された.このような知見は,これまでの細穴放電加工における論文報告ではなされたことがなく,本研究による新たな成果と考えられる. これらの結果を,国内学会4件(うち2件学生発表),国際学会ポスタ発表1件として成果発表しており,初年度の成果としてはおおむね順調に研究が進んでいると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
細穴放電加工中の,工作物近傍壁面の深さ方向温度分布の計測が可能になり,放電不安定発生に材料温度もかかわることが推察された.そこで,加工液噴出ポンプ圧を変更する,放電条件を変更する,材料外周の温度制御を行うなどを実施し,その時の材料壁面温度と放電不安定状態発生との関連を追及する. ポンプ圧制御においては,メーカによる経験則ではポンプ圧を上昇させることで放電不安定状態を回避する手法がとられているが,研究者らの実験では,ポンプ圧を下げた場合において不安定状態が発生しないことも経験している.その場合,主軸降下量の時間に対する傾きは小さくなり,つまり加工速度は低下するが不安定状態が発生しないため結果としてポンプ圧が高い場合に比較して短い時間で貫通穴加工が終了する.このような現象の違いについても,工作物壁面温度分布のデータおよび放電波形の観察による放電状態の把握と合わせて,放電現象の理解を進める. 各種条件変更と工作物壁面温度の関係から,放電不安定状態を発生させないような条件が見つけられれば,積極的に各種条件を制御することで,放電不安定状態を発生させずに加工時間が短い加工法の確立を追及する
|