Project/Area Number |
23K03632
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18020:Manufacturing and production engineering-related
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山口 拓人 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (20530041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 慶吾 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (20911027)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
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Keywords | レーザ加工 / 付加加工 / 指向性エネルギー堆積法 / ポロシティ / 可視化計測 |
Outline of Research at the Start |
レーザメタルデポジションは,金属粉末をレーザ照射部に供給し,処理対象物の表面に肉盛層を形成する技術であり,機械部品の補修や表面改質に利用されている.肉盛層に発生するポロシティ(気孔欠陥)は,機械的特性の低下を招くことからポロシティ抑制手法の確立が望まれている.ポロシティは,溶融金属内の気泡に由来すると考えられているが,その生成メカニズムについては不明な点が多い.本研究では,レーザメタルデポジション中における溶融金属内部をインプロセスで観察するシステムを構築する.溶融金属内における気泡の挙動を直接観察することによって,気泡の発生を支配する因子を解明し,ポロシティを制御する技術を確立する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ポロシティ(気孔欠陥)を含まない肉盛層の形成を可能とするレーザメタルデポジション技術の確立のため,溶融池における気泡の発生過程とその支配因子を明らかにすることである.レーザメタルデポジションにおけるポロシティ抑制のためには,レーザ照射中の溶融池内部における気泡の挙動を理解する必要がある.本研究では,溶融池内部をインプロセスで直接観察することで,レーザメタルデポジション特有の気泡発生理論を構築する. 今年度は,溶融池内部を観察するシステムの構築を行った.これは,石英ガラスで挟み込んだ基材上でレーザメタルデポジションを行い,石英ガラスを通して溶融金属の内部を高速度カメラで観察するものである.溶融池の表面に突入する粉末粒子の挙動や,溶融池内部の気泡の動きを捉えることのできる撮影速度や解像度を備えた高速度カメラを導入し,観察光学系および撮影条件を最適化することにより,溶融池内部の観察技術を確立した. 本観察システムを用いて,Ni基超合金(インコネル625相当)や超硬合金(WC-Co)の粉末を用いたレーザメタルデポジション中の溶融池内部の観察を行った.その結果,Ni基超合金では粒子が突入する際に気泡が発生する挙動が,また超硬合金では溶融池内部において気泡が成長および合体する挙動が観察された.以上のように,材料の違いによって気泡発生挙動が異なることを解明でき,本観察システムの有効性を実証することができた. さらに,Ni基超合金では溶融池に粉末粒子が供給される際の,粉末粒子の運動エネルギーによって気泡発生挙動が異なることや,超硬合金では酸素と親和性のある元素の添加によって気泡の成長速度を低下させることを見出し,次年度以降の取り組みであるポロシティ抑制技術の確立に向けた指針を明確にした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,初年度は溶融池内部の観察システムの構築および観察手法の確立を目標としていた.本研究課題の申請に先立って,入念に予備検討を重ねていたことから,小型高速度カメラの導入完了後,速やかに観察システムの構築に着手することができた. また,研究分担者が過去に取り組んできたアーク溶接現象の可視化計測で培った観察技術を応用することで,いち早く観察光学系や撮影条件の最適化を完了させることができた. これにより,次年度以降で計画していた,溶融池内部における気泡発生の支配因子の解明に向けた実験を前倒しで行うことができた.その結果,Ni基超合金では溶融池に粉末粒子が供給される際の,粉末粒子の運動エネルギーによって気泡発生挙動が異なることや,超硬合金では酸素と親和性のある元素の添加によって気泡の成長速度を低下させることを見出し,これらの成果について学会発表を行った.上記内容については,研究代表者が論文にまとめて国際学術誌に投稿し,現在査読中である. 以上を踏まえて,当初の計画以上に進展していると評した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度構築した溶融池内部の観察システムを活用して,気泡発生の支配因子の解明に取り組む.まずは,Ni基超合金等の金属材料を対象として,溶融池に粉末粒子が突入する際に形成されるキャビティ(空洞)に由来する気泡に着目する.液体に固体粒子が突入する際のキャビティの形成は,粒子速度,粒子径,液体の密度や表面張力によって支配され,これらは無次元数であるWeber数を用いて整理される.Ni基超合金粉末を用いたレーザメタルデポジションにおいて,粉末粒子の溶融池への供給状態を詳細に観察し,粒子速度や粒子径の解析および溶融池への粒子の突入状態の観察を通して,Weber数によってNi基超合金粉末粒子が溶融池に突入するしきい値を見出す. また,WC粒子を含む超硬合金のレーザメタルデポジションにおいては,溶融池内部でのガス反応に起因する気泡発生を既に確認している.超硬合金粉末の粒子表面に添加材を付着させた造粒粉を作製し,その添加成分によって気泡の成長速度の変化を観察することで,ガス発生の抑制に効果的な添加元素の探索および添加量の最適化を行い,気泡抑制技術の確立を目指す.
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