X線残留応力測定装置を利用した金属薄膜による応力測定に関する研究
Project/Area Number |
23K03643
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18040:Machine elements and tribology-related
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小野 勇一 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (50335501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森戸 茂一 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (00301242)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 応力・ひずみ計測 / 実験応力解析 / めっき法 / 金属疲労 |
Outline of Research at the Start |
本研究の全体構想は,金属薄膜の粒子成長を利用して,疲労破壊の起点となるような機械要素の微視的領域に発生する繰返し応力を計測できる測定法を確立することである.その中で,本研究では,金属薄膜として銅薄膜とニッケル薄膜を対象として,成長した粒子の結晶学的特徴を持ち運び可能なX線残留応力測定装置にて取得することで,従来よりも格段に簡便に主応力を計測できる手法について検討する.すなわち,残留応力測定装置から取得できるデバイ環の特徴を定量化することで主応力を計測できる較正式を導出する.
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Outline of Annual Research Achievements |
金属薄膜の粒子成長を利用した繰返し応力測定法において,本研究では,金属薄膜として銅薄膜とニッケル薄膜を対象として,成長した粒子の結晶学的特徴を持ち運び可能なX線残留応力測定装置にて取得することで,従来よりも格段に簡便に主応力を計測できる手法について検討する.本年度は銅薄膜を対象として,残留応力測定装置から取得できるデバイ環の特徴を定量化することで主応力測定の可能性を検討した.すなわち,電着により銅薄膜を作製し,炭素鋼製平滑試験片に接着し,種々の二軸応力比C(-1≦C≦0)にて繰返し負荷試験を現有の疲労試験機により常温で実施した.試験終了後,X線残留応力測定装置により各条件で発生した成長粒子のデバイ環を取得した.デバイ環には隔たりが確認でき,成長粒子には優先方位があることが示された.また,隔たりのピーク値におけるデバイ環方位角αは二軸応力比Cの増加とともに0°付近から180°付近へ遷移していくことも確認でき,優先方位の二軸応力比依存性も確認できた.そこで,α=0°付近の回折強度の総和とα=0°と180°付近の回折強度の総和との比率を新たなパラメータとして用い,二軸応力比Cとの関係を表す較正式を確立した.この較正式を用いれば,X線残留応力測定装置を用いることで主応力の測定が可能となる.さらに,優先方位が二軸応力比依存性を示す根拠を検討するために,EBSD法により成長粒子の結晶方位を解析した結果,二軸応力比の増加とともに優先方位が(110)から(111)へ遷移することが確認できた.したがって,デバイ環の隔たりに二軸応力比依存性が認められた原因は,この成長粒子の優先方位の変化によると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,銅薄膜とニッケル薄膜を用いて,残留応力測定装置から取得できるデバイ環を用いた主応力測定法を確立することである.初年度は,銅薄膜に対して,種々の二軸応力条件で繰返し負荷試験を実施して,デバイ環の偏り度を表すパラメーターを決定し,偏り度と二軸応力比Cとの関係を調査したうえで,任意の偏り度から二軸応力比Cが決定できる較正式を確立することを目標としていた.当初の目標は達成できたので,おおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度から,銅薄膜と同様の研究をニッケル薄膜に対しても実施する.ニッケル薄膜は銅薄膜よりも高温雰囲気で使用できる特徴があるので,繰返し負荷試験を雰囲気温度200℃で実施し,デバイ環を取得する.得られたデバイ環の特徴をEBSD解析結果から考察し,理論的な根拠を示したうえで,主応力を計測するための較正式を確立する.さらに,金属薄膜に発生する成長粒子は雰囲気温度の影響を受け,雰囲気温度が高いほど粒成長が促進されることが知られているので,本測定法に及ぼす雰囲気温度の影響についても検討を進める.
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)