作動油中の気泡が油圧動力伝達システムに与える影響の解明と故障診断モデルの確立
Project/Area Number |
23K03649
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18040:Machine elements and tribology-related
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
田中 豊 法政大学, デザイン工学部, 教授 (70179795)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂間 清子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (70773539)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
|
Keywords | 気泡 / 作動油 / 油圧 / 剛性 |
Outline of Research at the Start |
建設機械や自動車などのアクチュエータを駆動する油圧動力伝達システムに用いられる作動油中には,空気が気泡の形で分散・含有している.こうした気泡は油圧要素機器やシステムのトラブルの原因となる.しかし油中気泡含有量とトラブルとの因果関係は定量的に明らかとなっていない.本研究では,これまで申請者らが開発した気泡を含む油の剛性から気泡含有率を精度良く同定する手法と旋回流を用いた気泡分離装置により油中気泡の含有率を精度良く調整する手法を組み合わせ,高精度な作動油中の気泡量制御システムを構築し,油中気泡が油圧動力伝達システムにおよぼす影響を定量的に解明し,油圧システムや要素機器の故障診断モデルを確立する.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,申請者らが開発した「気泡を含む油の剛性から気泡含有率を精度良く同定する手法」と「旋回流を用いた気泡分離装置により油中気泡の含有率を精度良く調整する手法」を組み合わせた高精度な作動油中の気泡量制御システムを構築し,油中に含有する気泡が油圧動力伝達システムにおよぼす影響を定量的に解明し,システムの故障診断モデルを確立することを目的とする. 令和5(2023)年度は,気泡分離装置による油中の気泡量の調整技術と油中の含有気泡量の推定技術を組み合わせ,任意に調整された気泡を含む油の生成装置を製作し,その性能を定量的に評価した.気泡量の調整は気泡分離装置の放気口側にた柔軟チューブを非円形カム機構により押しつぶして開閉量を制御して流量を調整する自作の制御弁で実現した.また調整された油中気泡含有量の推定は,油を封じ込める圧力容器と油を加圧するサーボシリンダを用いて行い,気泡量が調整された循環回路を流れる作動油を対象に,油の含有気泡量を高精度で推定し,油中気泡量の調整が精度良く行われているかを検証した. 令和5年度の実験による詳細な検討では,圧力容器に閉じ込めた任意の気泡量の油の加圧圧縮・減圧膨張過程で,加圧時と減圧時で異なる挙動が観測された.これは気泡が油中に溶解するためと油の温度が変化するためと推定され,これらの事実を確認するために実験装置の改良を実施した.また別途自作した油の剛性測定結果を用いて,気泡を含む油の剛性から気泡含有量を推定する簡易測定装置についても検証した.この装置は測定精度が十分ではなく,油漏れや温度変化などを考慮する必要があることが明らかとなった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気泡分離装置による油中の気泡量の調整技術については,放気口側を開閉する制御弁について市販のものでは対応が難しいため,柔軟チューブを非円形カム機構により押しつぶして開閉量を制御して流量を調整する自作の制御弁で実現した.この自作した制御弁の特性は十分な精度で含有気泡量を調整できることを実験的に明らかにした. 調整された油中気泡含有量の推定は,油を封じ込める圧力容器と油を加圧するサーボシリンダを用いて行い,気泡量が調整された循環回路を流れる作動油を対象に加圧圧縮と減圧膨張を繰り返すことで油の含有気泡量を推定した.しかし加圧工程で気泡が油中に溶解し,その影響が減圧膨張工程にも影響をおよぼすことが明らかとなり,実験装置を改良することでその原因の解明と定量的な評価を行う準備をした.また別途自作した手動の油の剛性測定装置を用いて,気泡を含む油の剛性から気泡含有量を推定する簡易測定法についても検証した.装置は測定精度が十分ではないものの,現場での油の剛性や気泡含有量をある程度同定できることが明らかとなった.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6(2024)年度~令和7(2025年)度では,油中含有気泡量の制御調整方法や精密測定方法の成果を踏まえ,高精度な含有気泡量の作動油を生成する装置の設計手法を確立する.また油中気泡の含有量を高精度で任意に調整し,気泡含有量とキャビテーションや油圧要素機器の振動や騒音の因果関係を定量的に解明する. そのためには,作動油に含有する気泡量をより精度よく測定する必要がある.現在,油中気泡量の正確な同定に支障となっている気泡の油中への溶解と油温変化の影響を補正できるような修正モデルを構築する必要がある.また昨年度の実験装置の改良により,これらの数学モデルの修正を可能とする測定データの収集と解析が行える体制が整っている.これらの知見を踏まえ,高精度な含有気泡量の作動油を生成する装置を設計する. また実機の運転パターンを想定して作動油中の気泡含有量を調整した作動油を用いて連続運転を行い,一定時間ごとに採取した油や油圧要素の標本から,気泡含有量が油や機器の劣化度合いに与える影響を定量的に明らかにすることが可能となる.最後にこれらの結果を踏まえ,作動油における気泡含有量が機器やシステムの性能に与える影響を数学モデルや解析モデル,あるいは強化学習モデルにより推定評価する故障診断手法を確立する予定である.
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)