Three-Dimensional Diffusion Measurement near the Fluid-Solid Interfacial Boundary based on an Advanced Particle Tracking using Total Internal Reflection
Project/Area Number |
23K03664
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19010:Fluid engineering-related
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
白井 克明 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00634916)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 拡散係数 / 壁面近傍 / マイクロ・ナノスケール流れ / マイクロ粒子追跡 / 近接場光 / アインシュタインの関係式 / 三次元粒子計測 / 波長・時間分割多重 / 拡散の異方性 / 固液境界面近傍 / 三次元粒子追跡 / エバネッセント光 |
Outline of Research at the Start |
流体に不溶性粒子が分散した流れは流体工学に限らず広く工学分野で応用される.粒子を伴うマイクロ・ナノスケール流れでは電気運動学および熱力学的作用が重要度を増し,粒子運動の影響が顕在化する.粒子運動は固体界面から離れた領域で等方的だが,界面近傍で界面垂直方向の運動が抑制される異方性を呈する.本研究では,全反射型蛍光顕微計測を高度化した三次元粒子追跡を実現する.顕著な変化を伴う界面垂直方向に十分な空間分解能を実現し,界面近傍で粒子の三次元拡散を調べる.具体的には,界面近傍での三次元粒子速度計測の実現と分解能検証,計測システム構築と実験条件の検討,界面近傍での異方性挙動の評価と検証の3項目に取り組む.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究には,固体壁面近傍での粒子運動と,粒子速度の三次元計測実現を要する.本研究では,ガラス壁面での全反射で生成されるエバネッセント(EW)励起光を採用し,計測領域を壁面近傍に限定する. 1年目の研究では,倒立型蛍光顕微鏡を用いたマイクロ粒子追跡(MicroPTV)に基づく速度計測と単一波長のEW励起光による全反射粒子追跡計測(EWPTV)を実現したほか,過去の研究で構築したEW光の干渉に基づくレーザードップラー計測(EWLDV)を併用した. 試験流路の構築と改良を進め,高アスペクト比の流路断面を有する二次元矩形流路で完全発達した層流流れを実現した.MicroPTV計測では,複数計測地点で境界面に平行な速度二成分を壁面垂直方向に走査して流路内部の流速分布を求めた.流路壁面が非加熱の場合,理論的に予測可能な完全発達した二次元流れの形成を確認した.他方,試験部の温度境界条件確立を進め,試験流路を水平方向に配置し下面壁面を一様加熱した場合,三次元対流の形成が確認され,数値解析を併用して解明を進めている. EWPTV計測では,固液境界面近傍での粒子追跡を実施した.境界面垂直方向の粒子位置には,壁面からの距離に応じて指数関数的に減衰するEW励起光の性質を利用した.壁面付着粒子の輝度値を参照して粒子速度分布を推定した.想定した分布傾向が得られた反面,単一波長のEW励起光に基づく位置推定では十分な性能実現が難しく,複数波長によるEWPTV計測の必要性が示唆された. EWLDV計測では,流れ方向流速のみの計測に限定されるが,周波数計測に基づくため,一般的に信頼性が高い.二次元矩形流路の層流流速分布を仮定して,計測で得られた流速から粒子の追加位置を推定した.粒径500nm程度の粒子を用いて複数の流量条件で計測した結果,大部分の粒子は壁面から500~850 nmの範囲を通過したこと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の研究では,実績欄に記述のとおり,主として計測システムの構築と計測条件の検討を進めた.当初の計画では,三次元粒子速度計測の実現と分解能評価を目標にした.当初予定した複数波長でのEWPTVに関しては十分な検討を進められていないが,単一波長でのEWPTV計測では,複数の蛍光粒子径の条件で,三次元粒子速度計測を試行した.壁面付着粒子の輝度に基づく粒子の通過位置推定の結果,概ね予期された流速分布が得られた.しかし,その一方で,粒子のブラウン運動とともに位置推定の不確かさに起因すると考えられるばらつきが見受けられた.このことから,当初計画のとおり単一波長のEWPTVでは不十分であり,2年目に複数波長によるEWPTV計測実現の必要性が確認された.2年目には新たな光源の導入と波長分割光学系を導入することで粒子通過位置の特定性能向上をはかる. 他方,当初計画で2年目に想定した計測条件の検討を一部先取りして実施できた.試験部の流動条件評価ではMicroPTVによる速度分布計測を実施し,高アスペクト比の流路断面を有する場合,二次元の矩形流路と見なせる完全発達流の実現が確認された.また,試験部の温度境界条件確立に向けて試作を進めた.そして,水平配置の場合に下面壁面加熱で形成される三次元対流に関して,形成過程の解明をMicroPTVと数値解析の両面から進めている.現時点では国際会議と国内学会での口頭発表に留まり論文発表に至っていないが,次年度には査読付き論文の発表を目指している.さらに,過去の研究で開発したEWLDVによる計測を併用して壁面からの粒子位置推定を進め,後にEWPTVとの比較検証に必要な参照データの取得を進めている. これらのことから,当初の研究計画に対して一部で遅れはあるものの,当初計画以上に進展している部分もあるため,本研究は概ね順調に進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の研究では,現在までの進捗状況に記載のとおり,単一波長のEWPTVによる三次元粒子速度計測を試行し,試験流路の構築と計測条件の検討を進めた.2年目以降には,以下の推進方策を予定する. まず,複数波長のEWPTVによる計測の検討を進め,計測システムを構築し,三次元粒子計測を実現する.実現に向け,現在の波長に加えて新たな波長の光源と波長合成光学系を導入し,複数波長のEW励起光を生成し,分散粒子には複数波長で励起され複数の蛍光を発する粒子を導入する.さらに波長分割光学系を導入し,蛍光波長域毎の粒子画像を補足し,粒子通過位置の特定性能を評価する.複数波長のEW励起光を使用することにより,単波長EWPTVに対して粒子の通過位置特定の性能向上を図る. また,試験部の二次元矩形流路での温度境界条件の確立を更に推進する.水平配置での下側壁面加熱の場合に三次元対流発生要因の解明を進め,計測条件の確立に繋げる.さらに,過去の研究で構築したEWLDVを併用し,壁面からの粒子通過位置の特定を複数粒径の粒子を用いて実施し,EWPTV計測による結果との比較検証を進める. 3年目の研究では,構築または確立した計測システムと試験流路および計測条件に従い,固液境界面近傍における粒子の拡散係数の異方性評価に取り組む.三次元EWPTV粒子追跡を実現し,Stokes-Einsteinの関係式を通じて界面平行面内と垂直方向それぞれの拡散係数を算出し,各拡散係数の界面垂直方向分布を求める.それにより固体界面に向かって拡散係数の異方性がどのように進行するのか,実験的に明らかにする.粒径の異なる複数の蛍光粒子で実験を進め,試験部の温度設定条件を変えることで,粒径と温度の影響を調べる.計測結果に対してEWLDVでの結果に加え,既存研究との比較・検証を通じ,境界面近傍領域での拡散挙動の異方性挙動を多角的な議論を進める.
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)