Project/Area Number |
23K03674
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19010:Fluid engineering-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片岡 武 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20273758)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 航跡波 / 指数漸近解析 / 水面波 / 内部重力波 / 慣性重力波 / 巨大波 / 数理モデル / 漸近解析 |
Outline of Research at the Start |
一定速度で航行する船の背後に形成される波のように,物体や地形と流れの相互作用によって,その後方に定常的に形成される波を総称して「航跡波」と呼ぶ.持続的に励起される波であることから工学的にも気象学的にも影響力があり,船波は船のエネルギー消費の大半を占め,風下波は長期的な気候変動に影響を及ぼす.一方で,物体や地形と流れの相互作用を含む複雑で非線形性の強い現象であるため,未だ簡便な数理モデルが確立されておらず,計算負荷の高い数値計算(CFD)に依存している.そこで本研究は,指数漸近解析と呼ばれる強非線形理論を駆使し,航跡波の強非線形現象を記述できるシンプルな数理モデルの構築を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,大気・海洋中の航跡波を記述するための新しい理論である「指数漸近解析」の理論体系を発展させることに注力した.本理論は,強い非線形性を示す航跡波の振舞を記述する上で欠かすことのできない数学理論であるが,過去にそのような理論は存在しないため,ゼロから新たに理論体系を構築する作業に取り組んでいる.本研究の申請を行う前年度までに,我々はfKdV方程式およびfKP方程式と呼ばれる1次元,2次元モデル方程式を基にした指数漸近解析を考案した(前者は前年度4月,後者は初年度の4月に論文が掲載).本年度はこの指数漸近解析の理論体系を,以下の2点で発展させた.(i)上記理論の1次元ヴァージョンを,水面波の支配方程式系に適用可能とした.(ii) 以上の理論は,外力振幅が小さい場合(地形や山脈の高度が小さい場合)を対象としていたが,外力振幅が大きい場合にも適用可能な,強非線形の指数漸近解析を新たに考案した. さらに,室内実験にも取り組んだ.具体的には,水槽(3m)の底部にレールを敷き,その上を外注した地形をモータで引っ張り走らせることで,航跡波を励起し測定した.その結果,1による理論解が室内実験結果とも一致することを,ある限られたパラメータの範囲内であるものの示すことができた.これらの結果のアウトプットに関しては,1については次年度(今年)4月に既に論文を発表した.2については,2本の論文を投稿すべく,現在取組んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大気・海洋中の航跡波を正しく記述するためには,これまで一般に用いられてきた線形理論では全く役に立たないことが分かっている.実際,線形理論を利用したシミュレーションでは実際現象と一致せず,現在構築中の指数漸近解析ではこれまでの予測とは全く異なる大波が出現する場合でもよく一致する傾向を示している.したがって,本理論の適用性に関しては問題なく,あとは本理論をゼロから構築することの困難さを乗り越えるだけである.その点に関して,既に有限振幅の外力に対する理論も構築し終えたことから,予定通り順調に進めていると判断した..
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Strategy for Future Research Activity |
次の研究目標は,初年度に考案した有限振幅の外力に適用可能な強非線形の指数漸近解析(伝播方向1次元)を,実際の水面波,内部重力波,慣性重力波に対して適用可能な形に発展させることである.成功すれば,大気海洋中において頻繁に観測される,原因の不明な大波出現について,そのメカニズムを本理論を基にして完全に説明することができる.その後,2次元モデルに対して今年発表した指数漸近解析の理論を,実際の水面波に対して適用可能な形に発展させる.それにより,船舶背後にできる航跡波であるケルビン波について,その振幅や造波抵抗を正しく記述することができるようになる. 室内実験に関しては,これまでは地形を動かすことにより航跡波を励起し,観測,測定していたが,水槽の長さ(3m)の制約により,ある限られたパラメータ以外ではその定常性に問題があるため,新たに地形を固定し,水を流すことによる回流水槽型の装置を作成予定である.完成すれば,定常性の問題は完全に解決され,より広いパラメータ範囲で実験が可能となる.
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