Project/Area Number |
23K03712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19020:Thermal engineering-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
福田 充宏 静岡大学, 工学部, 教授 (70199222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本澤 政明 静岡大学, 工学部, 准教授 (50516185)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | テスラタービン / 膨張機 / 無潤滑 / 冷凍サイクル |
Outline of Research at the Start |
冷凍空調システムでは膨張機を用いることで,膨張エネルギー回収により性能を改善することができる.一方,潤滑油が必要な場合,潤滑油の混入が冷凍サイクル性能の低下をもたらし,熱交換器の設計の自由度も低くなる.このため,無潤滑で小型高性能な膨張機の開発が望まれている.本研究ではこれらの問題を解決し,冷凍空調システムの性能向上に向けて,テスラタービンを応用した無潤滑膨張機の開発を試みる.テスラタービンの試作を行い,その基本性能を把握するとともに,冷凍サイクルにおける二相膨張特性を明らかにする.さらに,タービン内部の流動状態に基づき,性能向上策を施すことで小型高性能な無潤滑膨張機の実現を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
テスラタービンは1913年にニコラ・テスラによって発明され,回転部はドーナツ状のディスクが等間隔で重なっており,流体の粘性により,ディスク間を通る作動流体の運動エネルギーを軸出力に変換する.テスラタービンは低コストでシンプルな構造と,機械的な摺動部が無く無潤滑で運転できる特徴から,小規模で発電機を駆動する膨張機としての関心が高まっている. 2023年度は,テスラタービンを試作し,空気を作動流体としてテスラタービンの基本性能に関する実験と考察を行った.入口圧力が増加すると,作動流体の持つ運動量は大きくなり作動流体とディスクの間で行われる運動交換量が増加するため,入口圧力の増加とともにトルクは増加する.角速度の増加は,作動流体とディスクの相対速度の減少を示すため,角速度が増加するにつれトルクは減少する.出力はトルクと角速度の積であるため,角速度に対してある角速度で出力が最大となる放物線的に変化する.入口圧力が増加するにつれ,出力が最大となる角速度は大きくなる.ディスク外周速度とノズル出口での流速の比として速度比を定義すると,いずれの入口圧力においても,タービン出力が最大となる角速度において,速度比の値が等しくなった.出力は角速度が600~800 rad/sで最大となり,入口圧力が20 kPaにおいて,出力は最大でおよそ2.1 Wとなった. 効率に関しては,入口圧力を増加させると効率は増加したが,これは入口圧力が増加すると作動流体がディスク間を通る際の渦巻状の流路が長くなることで,伝達される運動量が増えると考えられる. ディスク間ギャップに関しては,ディスク間ギャップが境界層厚さの2倍となるときテスラタービンの効率は最大となることが報告されており,本研究ではディスク間ギャップが0.5 / 0.8 mmの場合の効率は,0.3 / 1 mmの場合に比べ高くなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年はテスラタービンの設計,製作,及び基本性能を把握するための試験装置の構築を行い,テスラタービンを製作して運転することができ,基本性能として,入口圧力および回転数を変化させてトルクと動力を測定した.入口圧力が増加すると,タービン入口と出口の圧力差が増加することにより作動流体の持つ運動量は大きくなり,作動流体とディスクの間で行われる運動交換量が増加するためトルクが増加しする.一方,角速度の増加は作動流体とディスクの相対速度の減少を示すため,角速度が増加するにつれ作動流体とディスクの間で行われる運動交換量が減少し,トルクは減少するなどの,基本性能を確認することができた. ディスク間ギャップに関しては,ディスク間ギャップが0.5 / 0.8 mmの場合の効率は,0.3 / 1 mmの場合に比べ高くなり,最適なディスク間ギャップが0.5 ~ 0.8 mmにあったが,ディスク間ギャップが境界層厚さの2倍となるときテスラタービンの効率は最大となることが報告されており,今回の試験においては境界層厚さが 0.25 ~ 0.4 mmであると考えられる.ただし,ディスク間ギャップを狭くする際に,ロータ全体の幅の減少に合わせてノズル断面積を変更したことにより,入口条件が一定でなかったため,今後はディスク間ギャップを狭める際にディスク枚数を増やした条件で試験をする必要がある. 以上のように,2023年度はテスラタービン及びその試験装置を構築し,その基本性能を把握することができたため,概ね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に把握することができた基本性能はまだ低いため,性能の向上に取り組む.2023年度はディスク間隔についてディスク枚数を固定した検討を行ったが,ディスク枚数も含めたディスク間隔の最適化を行う.また,ノズル形状の検討により,テスラタービン入口において小流量高速化による高効率化を図ると共に,出口における運動エネルギー回収による出力アップを試みる. 一方,ディスク間の流れを可視化することにより,設計パラメータがタービン内の流れに及ぼす影響を検討し,テスラタービンの設計指針につながる知見を得ることを目標とする.また,冷凍サイクルへの適用を念頭に,作動流体が気液二相流となった場合の作動流体の挙動と性能の把握を試みる.
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