Project/Area Number |
23K03749
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 20010:Mechanics and mechatronics-related
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
黒田 雅治 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (60344222)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 非整数階微積分 / PID制御 / 非線形系 / ロバスト性 / LQR制御 / 磁気浮上系 / サーボコントロール / LQI制御 / ロバスト安定性 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題「非整数階制御法の確立によるPID制御からFOPID制御への発展」では、非整数階微積分演算を取り入れた振動制御系の解析・設計を古典制御理論に基づいて行う。従来の古典制御理論では伝達関数の次数は整数に限られるが、非整数階微積分を導入することで非整数の次数を持つ伝達関数も扱えるようになる。しかし、非整数階制御器は、フィードバックゲインの値だけでなく、微積分の階数をも設計パラメータとして含むため、その設計が従来の制御器より大幅に困難となる。そこで本研究では、古典制御理論における重要な解析ツールの1つであるナイキスト線図を導入して、設計式に基づく容易な非整数階制御設計法を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
制御対象は既存の吸引力型磁気浮上系を用いた。整数階PD(IOPD)制御を非整数階PD(FOPD)制御へと発展させた。FOPD制御器は、IOPD制御器同様、比例ゲインと微分ゲインの2つの設計パラメータに加え、非整数の微分階数を3つ目の設計パラメータとして含む。そのため、設計条件式として、ゲイン交差周波数に関する条件式、位相余裕に関する条件式、ゲイン変動に対するロバスト性の条件式の3つを与えた。設計者はゲイン交差周波数と位相余裕を設定して、前記の3条件式から、微分ゲイン、比例ゲイン、そして微分階数を求める。具体的には、微分ゲインを微分階数の関数としてグラフ化し、最適な微分ゲインと微分階数を決定する。それらの値から、比例ゲインの値が算出できる。FOPD制御とIOPD制御との間で、磁気浮上物体の平衡点への追従制御において、ゲイン交差周波数の適用可能範囲、オーバーシュート量、そして整定時間を比較した。FOPD制御の方がIOPD制御よりも、制御器設計可能なゲイン交差周波数の適用可能範囲を大幅に広く確保できた。さらに、整定時間ではFOPD制御が優れており、オーバーシュート量ではIOPD制御が優れている制御結果となった。 また、整数階LQR制御を非整数階LQR制御へと発展させた。磁気浮上系の不安定平衡点を安定化するだけでなく、浮上物体の目標値への追従制御を可能にするため、積分フィードバックを追加してサーボLQR(あるいはLQI)制御系へと拡張した。非整数階状態量等を推定するための非整数階状態オブザーバも構築した。 さらに、Tamas Kalmar-Nagy教授(Budapest University of Technology and Economics, Hungary)との間で、カスケード型の多自由度マス・ばね・ダンパ系の動特性を非整数階微積分を用いてモデル化する共同研究も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、実験対象として柔軟片持ち梁等を構築する予定であったが、既存の磁気浮上装置を実験対象として流用することによって、整数階PD制御を非整数階PD制御に発展させるだけでなく、整数階LQR制御の非整数階LQR制御への発展を先取りすることができた。そのため、研究成果をまとめて口頭発表、誌上発表が複数可能となった。しかし、今年度中に中途半端に新たな実験対象の試作作業に取り掛かるのは、時間と労力と研究予算の無駄使いになりかねないと判断した。そのため、新しい実験装置の構築は次年度に回すことにした。 新たな実験装置の構築を目指して、2リンクのフレキシブル・ジョイント・マニピュレータ(FJM)や多自由度で柔軟な塔状構造物についてサーベイを行った。また、スライディング・モード制御や状態依存リカッチ方程式(SDRE)法への非整数階微積分の応用についても検討した。その結果、強い非線形性を有し、非整数階制御系のロバスト性を検証できる実験対象を構築すべく構想を練ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
磁気浮上装置の実験は成功したので、次は試行錯誤しながら新しい実験装置の構築に時間と労力と研究予算を割く。そのために、2リンクのフレキシブル・ジョイント・マニピュレータ(FJM)や多自由度で柔軟な塔状構造物に関するサーベイは済ませてある。そして、非整数階PID制御や非整数階LQR制御の従来制御法に対する優位性を実験的に検証すると共に、なぜ優位なのかその理由についても理論的な解明を進める。 さらに、非整数階スライディング・モード制御や非整数階状態依存リカッチ方程式(SDRE)法など、非整数階制御法を新たな応用先に展開する。
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