Project/Area Number |
23K03792
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21010:Power engineering-related
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
川島 朋裕 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70713824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 義信 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10342495)
穂積 直裕 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (30314090)
栗本 宗明 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (70580546)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 機械学習 / 部分放電 / 波形特徴量 / 劣化 / 絶縁システム / 深層学習 / 状態診断 |
Outline of Research at the Start |
部分放電(PD)発生位相角分布パターン認識は,電力機器の劣化状態診断の強力なツールの一つとして認知されているが,パターンの類似性による定性的な劣化の評価が殆どである。一方で,本来のPD波形の特徴量は劣化状態を色濃く反映した貴重な情報である。波形そのものから,定量的に劣化の状態を読み取れる可能性がある。本研究では電気トリーを対象として,可能な限り広帯域計測したPD波形そのものの特徴量を統計的かつ時系列的に解析し,放電メカニズムに則って解釈する。電気トリーの状態を波形そのものから定量的に読み取る。深層学習による識別過程で得られる知見を援用して,波形特徴量と電気トリーの状態の関係に迫る。
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Outline of Annual Research Achievements |
PD電流波形(放電点における本来のPD電流波形)の有する特徴量(立上りや立下り時間,あるいは周波数スペクトルなど)は,放電空間における電子なだれの挙動を反映している。放電による絶縁体の抵抗率変化を簡易な試料系でモデル化し,放電波形の特徴量のみを用いて定量的に抵抗率を推定できることを報告してきた。 近年の機械学習技術の進歩は目覚ましく,PD波形とノイズの分離,PD発生源の推定などの報告も多い。人間の目では見分けることが困難な問題を扱う場合が殆どである。一方で,本研究では機械学習を単なる弁別器として扱うだけでなく,弁別の過程で得られた情報を放電メカニズムに則って解釈することで,絶縁劣化と波形の関係を定量的に考察することが可能になるものと考えた。本年度はPD波形そのものを用いて,LSTMを用いて絶縁体の劣化状態の識別を試みた。 時間領域のPD波形をそのまま入力とした場合のF1スコア(学習データ:0.68)は低く,十分な識別性能が得られなかった。時間領域のPD波形は,波形を特徴づけるパラメータが多く,波形をそのまま用いた識別は困難になるものと考えた。時系列データから読み取れる特徴(放電間の過電圧率など)を別途抽出し,PD波形と組み合わせて学習するなどして,ネットワークに入力するデータの改善が必要である。 PD波形の時間-周波数スペクトルを入力することでF1スコアは,学習データが0.93,試験データが0.92となった。時間領域のPD波形をそのまま用いた場合に比べて,識別性能は改善された。一方で,劣化に関係するパラメータとして,例えば抵抗率の変化を周波数スペクトルと直接紐づけることは難しい。時間領域のPD波形の前処理を工夫することで,波形特徴量から識別試験の結果を解釈できると共に,機械学習による定量的な劣化状態の識別も可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来のφ-q-nパターンに代表される入力データは,PD波形の計測の段階でフィルタにより波形が本来有する劣化に関する情報が希薄になる。したがって,得られる分布パターンは劣化に対して似通ったものになる場合が多い。 一方で,本研究で用いたPD波形は計測系の工夫により本来のPD波形に近いものが得られていると考えている。したがって,波形特徴量から劣化に関する情報を定量的に読み取ることも可能である。また,放電物理に基づいて説明が可能なPD波形を機械学習の入力データとして用いることにより,識別結果の解釈性が改善されると共に,その結果ら劣化とPD波形の特徴量の関係に迫る新たな情報も得られる可能性がある。 本年度の成果は,ネットワークに入力するPD波形の前処理に課題を残すが,PD波形のみを用いて機械学習により劣化状態の識別に成功している。機械学習を用いて放電物理によりある程度の説明が可能な劣化状態の識別に近づいたものと考えられる。時間領域のPD波形の前処理の方法の改善についても,本年度の結果から幾つか知見が得られたため,当初の計画通りおおむね順調に進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
PD波形の前処理の改善を進める。PD波形の立上りには電子なだれの進展過程,立下りにはイオンのスイープアウト過程が反映されていると考えている。特に,立上りは劣化の状態に対して変化が顕著であることから,PD波形を分割して入力データに用いるなどの工夫を行う。識別精度とPD波形特徴量の関係を診ることで,劣化と波形の関係に迫る新たな情報を抽出する。 また,誤識別した波形と正しく識別した波形が有する特徴量の違いを統計的な分布の差として改めて評価する。これにより,放電が本来有するばらつきと機械学習による識別の関係を明らかにする。
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