準ミリ波・ミリ波用直交偏波共用広帯域・マルチバンド平面アンテナに関する研究
Project/Area Number |
23K03849
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21020:Communication and network engineering-related
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
木村 雄一 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (90334151)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 平面アンテナ / マイクロストリップアンテナ / 2周波共用アンテナ / 広帯域アンテナ / 偏波共用アンテナ / 広帯域平面アンテナ / Lプローブ給電マイクロストリップアンテナ / マルチバンドアンテナ / 準ミリ波・ミリ波アンテナ / 直交偏波共用アンテナ |
Outline of Research at the Start |
第5世代移動通信システムなどの将来の無線技術では、広い周波数帯域を有する準ミリ波やミリ波を利用して一層の高速・大容量通信の実現が求められている。平面アンテナは小型・薄型・軽量等の利点を有し、かつ、プリント基板加工技術により低コストで生産性にも優れた特長を有しているが、一般に単周波で動作し、狭帯域特性であることが欠点であった。そこで、本研究では直交偏波共用特性及びマルチバンド特性・広帯域特性を兼ね備え、さらに、アレーアンテナへの応用も可能とする機能性の高い平面アンテナを製作が容易な構成で実現し、準ミリ波およびミリ波帯でその特性を実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、小型・薄型・軽量等の利点を有し、かつ、プリント基板加工技術により低コストで生産性にも優れた平面アンテナの特長を活かしつつ、直交偏波共用特性・マルチバンド特性・広帯域特性等の性能を兼ね備えた機能性の高い新しい平面アンテナを開発することである。 2023年度は2周波数帯で広帯域特性を有する平面アンテナの直交偏波共用設計について検討を加えた。提案するアンテナは3層構造の誘電体基板により構成され、最上層と中間層の2層にリング形パッチ導体、最下層に直交する向きの2個のLプローブが配置される。給電用の同軸コネクタは地導体の背面に取り付けられ、中心導体とLプローブがそれぞれ接続される。電磁界シミュレーションにより、パッチ導体とLプローブの寸法及び誘電体基板の各層の厚さを各々適切な値に設定した。なお、設計周波数は4.5 GHzおよび6.5 GHz近傍の2周波帯とした。また、誘電体基板は比誘電率2.6のPTFE基板とした。このアンテナを試作した結果、反射特性については、反射量-10 dB以下となる比帯域幅は4.5 GHz帯で21%、6.5 GHz帯で14%の広帯域特性を示すことが確認された。また、ポート間アイソレーション特性は各々の周波数帯において12.5 dB以上、16.0 dB以上となることが確認された。なお、利得については、4.5 GHz帯で5.4~7.2dBi、6.5 GHz帯で5.4~7.1dBiであった。さらに、上記のアンテナのポート間アイソレーション特性を改善するため、パッチ導体の中央にビアを装荷する構成についても検討した。その結果、4.5 GHz帯のポート間アイソレーション特性は16.5 dB以上になることが確認された。 以上のことから、提案する平面アンテナは良好な2周波・広帯域特性および直交偏波共用特性を示すことが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は28 GHz帯および39 GHz帯の2周波を想定して4.5 GHzおよび6.5 GHzの2周波を設計周波数とする広帯域特性かつ直交偏波共用特性を有するマイクロストリップアンテナを設計・試作し、実験により設計されたアンテナ特性を確認した。はじめに、電磁界解析シミュレータHFSSを用いた電磁界シミュレーションにより、アンテナの各種パラメータがアンテナ特性に与える影響について検討した。その結果、パッチ導体およびLプローブの寸法および誘電体基板の各層の厚さを適切に設定することにより、所望の2周波帯で広帯域特性が得られること、直交する向きに配置されたLプローブにより良好なポート間アイソレーション特性を示すこと、2周波帯における利得および放射パターンは良好な特性を示すこと等がシミュレーションおよび実験から明らかにされた。しかしながら、低周波側のポート間アイソレーション特性は高周波側と比較するとやや劣化が見られること、アンテナ正面方向の交差偏波はやや大きいことが課題として確認された。そこで、次に提案するアンテナのパッチ導体の中央にビアを装荷する構成について検討した。このビアによりパッチ導体に励振される電磁界のモードの対称性が改善し、2個のLプローブ間の結合が低減すると考えられる。このビアを装荷したアンテナについて、電磁界シミュレーションによりビアの寸法やビアの装荷位置がアンテナ特性に与える影響について検討した。その結果、パッチ導体の中央になるべく細いビアを装荷した場合にポート間アイソレーション特性やアンテナ正面方向の交差偏波特性に改善が見られることがシミュレーションおよび実験の両面から確認された。これらの結果は2周波・広帯域特性かる直交偏波共用特性を有する平面アンテナとして優れたものであり、本年度の研究の進捗状況は当初の目標を達成し、十分な成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、提案するアンテナにキャビティ構造を装荷し、表面波の抑制を図ることである。提案する2周波・広帯域アンテナは厚さの大きい誘電体を用いるため、表面波の影響によりアンテナ特性の劣化が懸念される。また、このアンテナを複数配列してアレーアンテナとした場合も表面波の影響により素子間相互結合が増加し、アレーアンテナとしての特性が劣化することが懸念される。この表面波の対策として、アンテナの周囲を取り囲むように複数のビアを設置し、アンテナの周囲にキャビティ構造を構成する。このキャビティ構造により誘電体基板の表面を伝搬する表面波を阻止すると同時に、安定したアンテナ特性の実現を目指す。このときキャビティ構造がアンテナの2周波・広帯域特性に影響を及ぼすことがないように、ビアの位置や本数、間隔等を適切に設定する。 次に、提案する2周波・広帯域アンテナの構成の簡易化を検討する。このアンテナを2周波数帯で広帯域に動作させるには3層構造の誘電体基板を用いる必要がある。一般に多層構成になるほど製作コストや製作精度の面で難易度が増加する。そこで、アンテナの製作を容易にするため、下層のパッチ導体と給電用Lプローブを同一面に配置した2層構造のアンテナ構成を検討する。2層構造とした構成においてパッチ導体とLプローブの寸法および誘電体基板の各層の厚さを適切に設定し、2周波帯において広帯域特性が得られるようアンテナを設計する。この場合、どの程度の広帯域特性およびポート間アイソレーション特性が得られるかについてシミュレーションおよび実験の両面から明らかにする。また、2層構造のアンテナにパッチ導体の中央にビアを装荷し、ポート間アイソレーション特性の改善についても検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(19 results)