Project/Area Number |
23K03862
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21020:Communication and network engineering-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉井 一駿 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (30907100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋本 薫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80235639)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 無線通信 / 短波通信 / フェージング / 電離層 / 電子密度 |
Outline of Research at the Start |
本研究では電離圏電子密度プロファイル推定の時間分解能向上により電離層フェージングの低減を実現することを目的に、無線局が通信経路上の電子密度プロファイルをリアルタイムに推定する手法を提案する。さらに、国際短波通信を用いた電離圏観測システムを構築する。短波帯は電離層反射により広域に伝搬するが、電離層からの影響によりフェージングが発生し通信品質が安定しないためにその利用範囲が限られている。これまでの研究により、電離圏電子密度プロファイルを基に送信局で位相・電力制御を行えばフェージングを抑制できることが示されている。電離層の状態は時間とともに大きく変動するため、分解能の高い推定手法が必要である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では電離圏電子密度プロファイル推定の時間分解能向上により電離層フェージングの低減を実現することを目的に研究開発を実施している。令和5年度は当初の計画の通り、研究開発項目(a)「対流圏・電離圏統合全球モデルによる電波伝搬シミュレーションシステムの構築」及び、研究開発項目(c)「実システムへの適用検討」について研究開発を行った。 研究開発項目(a)では、レイトレーシング法を用いた電波伝搬シミュレータを開発した。さらに対流圏・電離圏モデルを適用することで地球上の任意の地点から計算が可能な電波伝搬シミュレーションシステムを構築した。このシミュレーションシステムは令和6年度以降に研究開発を行う電子密度プロファイル推定手法の開発基盤として活用する。 研究開発項目(c)では、国際短波通信を用いた電離圏観測システムの一部として、グローバルな電離圏状態を把握することを目的とした短波通信の観測システムの構築を行った。アマチュア無線のデジタルモードの一種であるFT8を対象として観測することで送受信点の位置情報を自動的に収集できる他、伝搬に適さない経路を推定することが可能となった。さらに、開発したFT8の受信ソフトウェアを全世界に公開・配布することで交信データの収集を進めている。電離圏電子密度プロファイルは季節や時間帯などの要因により周期的に変動することが知られている。短波通信の観測データの蓄積は、本研究で推定を目指す電子密度プロファイルの時間・空間分解能について検討を進めるための基礎データとなり得る。 以上の研究成果をそれぞれとりまとめ、国際学会・国内学会で成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はおおむね順調に進展している。 研究開発項目(a)については、対流圏・電離圏統合全球モデルによる電波伝搬シミュレーションシステムの構築を行った。開発したシミュレーションシステムは、対流圏伝搬・電離圏伝搬を含む短波帯の電波の伝搬経路を解析することができる他、電離層吸収や多重経路による干渉等を再現する。さらに、電離圏電子密度プロファイルを時間的に変動させることで伝搬経路の変化や受信レベルの変動をシミュレーションすることが可能である。 研究開発項目(c)については、アマチュア無線のデジタルモードの一種であるFT8を利用した短波通信の観測システムの構築を行った。FT8は世界中で交信が盛んなモードである他、グリッドロケータと呼ばれる送信局のおおよその位置を示すコードが通信に付加されている。コールサインの国別コードに加えてグリッドロケータを分析することで高い精度で無線局の位置を特定できる。これらの交信情報を用いて電離層状態の推定へ向けた検討を進めた。これらの観測で得られた情報はデータベースで管理している。蓄積された観測データを活用して提案方式の実システムへの適用に向けた検討を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した電波伝搬シミュレーションシステム及び、短波通信の観測システムを基盤として電離圏電子密度プロファイルの推定に向けた研究開発を進める。TECの変動と伝搬経路の変化に着目して、推定の対象を伝搬経路の近傍に限ることで従来の手法と比較して高い時間分解能で推定を行うことを目指す。また、国際短波通信を用いた電離圏観測システムの構築に向けた取り組みを進める。さらに、推定手法の実装・評価により提案手法の有効性を検討していく。
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