Project/Area Number |
23K03907
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21040:Control and system engineering-related
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 博 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (70274561)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 制御工学 / 非線形システム / 非対称性 / 消散理論 / ダイナミクス安定論 |
Outline of Research at the Start |
ディジタル化によって時々刻々と更新するデータの活用が進んでいる。データ活用の自動化で生じるダイナミクスに安全性と効果を保証するのがシステム制御学であったが、多様で大規模な今日の問題には解が見つからない事が多く、とりあえず、理解を繰り返し試行に置き換える機械学習を使うのが科学技術の現状である。本研究は、このシステム制御学の限界がベクトル空間の上に築かれていることから生じることを突き止め、空間対称性をダイナミクス設計論から取り除く。現象空間に適合する蓄積関数による消散理論を新整備し、非対称供給率でモジュールを接続する方法論を独自に開発し、予測・保証できる無駄のないダイナミクスの設計の道を拓く。
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Outline of Annual Research Achievements |
あらゆるものディジタル化により科学技術対象が複合化している。従来の電気電子機械のように狭い動作領域ではなく、現代社会では広範囲・大規模な接続・連成によって非一様性が主となって生まれるダイナミクスへの対応・設計問題に立ち向かうシステマティックな解決手順の開発が求められている。この背景の下、本研究は、従来のシステム制御の公式では「解なし」であった状況に「解決」の提供を目指している。そこで、多くのダイナミクスが非対称な空間で発展することに焦点を当て、非線形ゲイン概念の超え、非対称性を操るようなシステム統合論を追究するのが本研究の独創性である。1年目は、近年の現場では複雑化への理解を諦め、繰り返し試行に置き換える機械学習を適用する風潮において、その限界がベクトル空間の上に手法が築かれていることから生じていることを明らかにすることから始めた。空間対称性をダイナミクス設計論から取り除くことの有効性を説くため、感染症制御という個別問題に取り組んだ。その目指す先が数値改善のような小さな研究ではなく、溢れる多様・大規模性に対応できないシステム制御学の現状へのブレークスルーとなることを、従来からのシステム制御数値計算論や機械学習では到達し得なかった、大域的な感染抑制という成果を提示により明らかにした。同時に、基礎理論の構築を開始した。これまでベクトル空間で展開されてきた消散性数理を対称供給率という視点で統一して分類し、非ベクトル空間上のダイナミクスには非対称供給率を開発すべきであることを唱えた。非対称供給率の一つ目として非対称ゲインを提唱し、その判定や演算体系などの数理基盤を開発した。さらに、非対称ゲインの弱点を数理的に調査し、混合非対称ゲインなどの供給率を提案した。また、それらを感染症制御にも適用し、非対称供給率の大きな効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の中身は当初の計画以上に進んでいる。その成果公表については、それに比べると早くは出来なかったものの、おおむね順調に進展している。数理開発は、予想を超えた速度で大きな発見があり、体系化度の高い基盤構築が進んでいることを強調したい。1年目の4月から感染症制御問題に非対称リアプノフ関数の活用する研究を始め、非対称数理展開が可能にする設計効果を成果として世に実演した。それは、外部からの摂動に頑強な大域的な感染拡大抑制という、感染症数理の分野でこれまでない大きな成果である。そこで到達した数学的発見にヒントを得て、非対称ゲインの基礎数理祈願の開発を行い、判別法を十分条件と必要条件の両方からの整理に成功した。これを基に、非対称ゲインが適用できるダイナミクスのクラスを明らかにし、さらには、それを感染症制御に適用して成果を得た。抗体低下のあるウイルスの扱いを、外部からの摂動に頑強な大域的な感染拡大の抑制において可能にした画期的な成果となった。上述の非対称ゲイン数理の開発初期部分の速報はシステム制御論で世界最高の12月の国際学会発表を目指したが、結果が明確でない時期が初版投稿締め切りだっため、魅力的な整理ができず、発表計画は採択されなかった。研究を進展させて整理した成果は翌年3月の国際学会発表で行ったが、時期的に世界最高レベルの場の発表とできなかったことは残念だった。感染症制御の具体例研究成果は9月に国際学会発表し、さらに、それを超えて発展させた抗体低下の成果を、システム制御論で最高と言われる論文誌に12月に投稿した。伝統的に査読が厳しいため、まだ初回査読結果が出ていない。この2つの論文への整理が、新しい非対称供給率の発案へとつなげることを可能にした。4月までにの独自・発見性がとても高く、体系化度の高い基盤数理開発に成功し、複数の国際学会発表へ投稿している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度に行う予定の主な作業の一つは、2023年度の繰り返し思考と試行により2024年2月に格段の進歩を遂げることが出来た独自の非対称供給率を、システム論を基礎部として完成させることである。この段階で大切にするのが、その有用性を確実に説き広める周辺研究を行うことである。本研究課題は既存や流行りのトピックの上に数値・効果改善するような小さな研究ではなく、トピックや発想、全てが新しい数理基盤の開発でシステム制御学にブレークスルーの与えるものであるから、説き広めを怠ったり適切でないと、いくら数学的革新的でも注目されずに活用されない成果になってしまう。応用の視点からは、上述の数理成果の進歩を使えば、2023年にシステム制御論最高論文誌で稿査読中の成果を、またさらに超える成果を感染症制御に与えることが確実である。これを分野に十分なインパクトを与える形で整理を完成させることが目指している。そのためにも、前段階の論文の査読結果に早く対応し、多くの所で発表や交流会、セミナーを行って、本研究者のトピックの重要性やアイディア方向性を世界に広める計画である。また、その一部として、4月までに開発に成功した独自・発見性・体系化度が高い基盤数理成果は、既にいくつかの国際学会発表へ投稿しており、査読中である。本研究者の独自の研究の成果は、一流の学術雑誌などへの投稿するだけでなく、世界的の分野への広がりと分野発展の駆動力の一つとなるように、2023年度には実現できなかった外国研究協力者への訪問も行う。超円安と物価高騰を考え、海外渡航が容易ではないため、遠隔の調査交流も活用する。国内では、講演会等での速報と勉強会を使って普及活動を行う。また、多くの研究者が有用性を実感・体験できるように、具体的研究も進め、計算機シミュレーションも多く行って発表していく。
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