Research on high temperature spin cluster glass by disorder engineering
Project/Area Number |
23K03937
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21050:Electric and electronic materials-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山原 弘靖 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (30725271)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | スピンクラスターグラス / スピングラス / 秩序度 / エピタキシャル薄膜成長 / 磁性材料 |
Outline of Research at the Start |
スピングラス(クラスターグラス)はランダムな磁気相互作用の競合(フラストレーション)によって低温でスピンが凍結した状態を取る物質である。光誘起磁性やエージングメモリ効果の特徴的な記憶性質を示し、脳型記憶素子の応用に向けて精力的な研究が為されている。本研究では高温スピングラスの実現と脳型記憶素子応用を目的とし、スピングラスの核心であるランダムネス(無秩序)の制御に焦点を当てる。従来の磁性元素の自然拡散による無秩序に対して、エピタキシャル薄膜成長技術を駆使することにより秩序度エンジニアリングを実現し、新規高温スピンクラスターグラスを創造する。
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Outline of Annual Research Achievements |
スピングラスはランダムな磁気相互作用の競合によって低温でスピンが凍結した状態を取る物質である。光誘起磁性やエージングメモリ効果の特徴的な記憶性質を示し、脳型記憶素子の応用に向けて精力的な研究が為されている。本研究では高温スピングラスの実現と脳型記憶素子応用を目的とし、スピングラスの核心であるランダムネス(無秩序)の制御に焦点を当てる。従来の磁性元素の自然拡散による無秩序に対して、エピタキシャル薄膜成長技術を駆使することにより秩序度エンジニアリングを実現し、新規高温スピンクラスターグラスを創造することを目的とする。 エピタキシャル歪みによる構造制御として、これまでにバルクでは立方晶の希土類鉄ガーネット(R3Fe5O12, RIG)に対して、基板と薄膜の格子不整合を調整することで薄膜に圧縮歪みを加えた結果、コヒーレントに歪んだ正方晶と格子緩和した立方晶の間の臨界膜厚付近に段階的に格子緩和する傾斜歪み構造の作製に成功している。圧縮歪みに加えて、引張歪みによる磁気効果を明らかにするため、圧縮歪み系SmIG/GGG(格子不整合f=1.2%)及び引張歪み系LuIG/SGGG(f=-1.8%)における磁気構造解析をX線磁気円二色性分光(XMCD)により実施した。XMCDスペクトルの膜厚変化を系統的に計測し、sumルールによりスピン・軌道モーメントを算出した。その結果、圧縮歪み系・引張歪み系ともに転位の発生が予想される臨界膜厚付近において、軌道モーメントの存在が示唆された。磁性に寄与するFe3+イオンにおいてd5軌道はhalf-filledとなり、バルクでは結晶対称性により軌道モーメントが消失する。本研究で観測された軌道モーメントの存在は、格子歪みによる結晶対称性の低下により軌道磁気モーメントのクエンチが解けた結果と考えられ、格子歪み・傾斜歪みによる磁気効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
格子歪みと磁気特性の相関について振動試料型磁力計(VSM)や量子干渉磁束計(SQUID, MPMS)による磁性測定に加え、大型放射光施設(SPring-8)でのXMCD測定を様々な膜厚試料に対して系統的に評価することにより、格子歪みによる磁気異方性や結晶対称性の破れによる軌道磁気モーメントの存在が明らかになっている。さらに、従来の磁性元素の自然拡散によるスピングラス挙動についても、理論計算に基づいた物質設計により作製した試料において、室温を超えるスピングラス挙動が示唆されており、高温スピングラスの実現が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
理論計算に基づいた物質設計により作製したスピングラス試料に関して、予備実験で作製した試料において室温を超えるスピングラス挙動が示唆されている。置換元素の最適化によってスピン凍結温度の高温化を進めるとともに、理論計算との整合性を検証する。また、秩序度制御として多層膜の作成と磁性評価を進めている。
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Report
(1 results)
Research Products
(17 results)