共鳴トンネル発振器を用いた周波数ΔΣ変調方式走査型プローブ顕微鏡
Project/Area Number |
23K03970
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21060:Electron device and electronic equipment-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
前澤 宏一 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (90301217)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ΔΣ変調 / THz / センサ / 共鳴トンネル / 走査型プローブ顕微鏡 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、共鳴トンネルTHz帯発振器を用いた周波数ΔΣ変調(FDSM)方式に基づく新しいセンサ技術を開拓するものである。FDSM方式は、高ダイナミックレンジを特徴とするΔΣアナログ-デジタル変換器のコアであるΔΣ変調器を、電圧制御発振器(VCO)を用いて実現する方法である。このVCOを外部物理量で周波数が変化する発振器に置き換えれば、高性能なデジタル出力センサが実現できる。このセンサの性能は、発振周波数に強く依存するため、共鳴トンネル素子を用いればこれまでにない高性能化が期待できる。ここでは、特に、THz領域の走査型近接場顕微鏡の実現を重要なターゲットとして研究を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、共鳴トンネルTHz帯発振器を用いた周波数ΔΣ変調 (FDSM) 方式に基づく新しいセンサ技術の開拓である。FDSM 方式は、高分解能・高ダイナミックレンジを特徴とするΔΣアナログ-デジタル変換器のコアであるΔΣ変調器を、電圧制御発振器(VCO) を用いて実現する方法である。フィードバックデジタル-アナログ変換器を必要とせず、高速動作、高帯域化に適している。このVCOを何らかの物理量で周波数が変化する発振器に置き換えれば、シンプルな構成で高性能なデジタル出力センサが実現できる。このセンサの性能は、発振周波数に強く依存する。我々は、これに共鳴トンネル素子を基盤としたTHz帯発振器を用い、超高性能なセンサ技術を開拓する。特に、THz領域の走査型近接場顕微鏡 (Scanning Near-Field THz Microscopy, SNTM) の実現を重要なターゲットとする。 研究初年度は、これまで実績のある空洞共振器とHEMTを用いた発振器をベースにマイクロ波領域 (~10GHz) の走査型近接場顕微鏡を設計・試作し、本提案の基本動作の確認を行った。プローブには銅ワイヤの一端を研磨し、もう一端をループ状に加工したものを用い、空洞共振器の端面に設けた空孔を通して設置しTE111モードと結合させた。これをピエゾモーターステージ上にセットし、10円硬貨の表面像測定を行った。クリアな表面形状像を得ることができ、本提案の基本動作を実証した。分解能はギャップによって変化し、ギャプ10-15umのとき、50um以下の微小パターンの測定が可能であった。この分解能はチップ先端径 (~100um) で決まっており、先端径を小さく加工することで向上可能と考えられる。なお、その他、将来のRTDの採用を目指した要素技術についても検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本提案の中心課題の一つである、周波数ΔΣ方式を用いた走査型近接場顕微鏡の動作を実験的に実証できたことは大きな進展である。また、これに伴い、ピエゾモーターステージやFDSM信号処理系など今後の実験に必要なシステムの構築も行った。これらの成果により、順調に研究は進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、基本動作が実証されたHEMTと空洞共振器を用いたFDSM走査型近接場顕微鏡についてさらに検討を行い、分解能やノイズレベルなどに関する詳細を明らかにする。また、TE111モードとの結合の大きさとSN比の関係について調べる。さらに、ピエゾモーターステージの動作とFDSMデータ処理系のタイミングを同期することにより、走査速度の大幅な改善を図る。 次に共鳴トンネル発振器を用いたFDSM走査型近接場顕微鏡のプロトタイプデバイスの設計、試作を行う。まず、RTDチップをプリント基板 (PCB) 上に実装し、ワイヤボンディングによりPCB上に設けた共振器、プローブチップと接続する方法で実験を行う。ここではワイヤの影響を抑えるため、1GHz程度の低周波発振を用いる。これを前年度作製したピエゾーモーターステージに実装し、基本動作を実証する。次に、発振回路を半導体基板上に集積化するための回路・パターン設計を行う。これをクリーンルームで試作し、より高い周波数での実験を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)