環境外力を回避する環境親和型トランスフォーマブルブリッジの開発
Project/Area Number |
23K03983
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22010:Civil engineering material, execution and construction management-related
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
後藤 文彦 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (10261596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 龍 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 准教授 (00626955)
青木 由香利 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (70780154)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 床版開閉式木橋 / ドリフトピン継手 / ジャイロセンサー / タブレット端末 / 固有振動数 / 応力伝播法 / モード解析 / トランスフォーマブルブリッジ / 携帯タブレット / 折り畳み床版 / 加速度センサー / オンサイト木橋 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、冬季間だけ雪を落とせるように床版を折りたたむなど、構造形式を変換することで冬季のみに倍増する環境外力をかわせるトランスフォーマブルブリッジを開発する。これにより、環境親和性は高くても剛性の低い木質構造物では、山間部の豪雪といった環境外力に耐えられないというトレードオフも解決することができる。一方、構造形式の変換では回避できない腐朽等の常時の生物学的外力に対しては、タブレット等の安価な携帯デバイスを利用して、特に専門的技能のない行政の職員でも簡易に現場で作業できるような点検システムを構築する。こうした負担軽減は、必要なメンテンナンスが確実に実施される体制づくりにつながる。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨今、二酸化炭素やプラスチックの環境への放出が解決すべき大きな問題となる中で、カーボンニュートラルでかつ完全な生分解性材料である木材が注目されており、土木分野でも木質構造物の普及・推進を加速させる動きが高まっている。しかし、木橋等の木質構造物では、この環境親和性が高いという長所が、同時に腐朽しやすさや剛性の低さといった環境外力に対する弱点になるという特有のトレードオフを抱えている。研究代表者はこれまで、豪雪山間部の登山道に自然景観に馴染む木橋を架けたいといったニーズに応えるため、現地まで部材を運びやすく、現地で組み立てやすく、積雪3mに耐える剛性を保持し、腐朽した際の部材交換もしやすいオンサイト木橋の開発に関わってきた。オンサイト木橋では、豪雪地帯の想定外の雪荷重に対しては、剛性を高くした木・鋼ハイブリッド構造で荷重に正面から抵抗しようとしていたため、冬季の雪対策のために、登山道の歩道橋としてはオーバースペックな構造となっており、そのぶん環境親和性を犠牲にしていた。本研究の目的は、木質構造物特有のトレードオフを根本的に解決する手法を開発することで、自然環境に暴露される木質構造物の利用範囲を拡大し、多分野(特に土木分野)での木材利用を普及・推進することである。そこで、環境外力のうち積雪等の力学的環境外力の変化に対してはトランスフォーマブルブリッジ等の構造形式の変換で対応し、腐朽等の常時の生物学的外力に対しては、定期点検を特別な道具が不要なタブレット等の手軽な手法で行えるようにすることで、環境外力に対する弱点を抱える木材であっても、厳しい自然環境の中で環境親和型の材料として利用できるような手法を開発し、その有効性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トランスフォーマブルブリッジの開発も携帯デバイスによる劣化診断の構築も、それぞれ一定のプロセスを踏む必要があるので、初年度から、それぞれの計画に並行して着手した。 トランスフォーマブルブリッジの具体的提案である床版開閉式木橋の開発に関して、2023年度は、2022年度までの検証試験をもとに、スパン6mと3mの実寸試験体を作成し、折りたたみ機能試験や積雪暴露試験等を実施した。また、3Dモデルを作成し、冬季折りたたみ状態で部材に最もダメージを与える(一部だけに大量の雪が残るような)積雪状態等を数値シミュレーションから推定した。また、10m以上の長スパン化にも対応できるように、ドリフトピン継手を導入したモデルの試設計と解析を行い、次年度に性能試験を行うためのスパン9mの試験体の制作に取り掛かった。 携帯デバイスによる劣化診断に関して、2023年度は、ジャイロセンサーを搭載した安価なタブレットを複数個用いて、秋田市内の形式の異なる複数の木橋の固有振動数を測定すると同時に、3Dモデル作成のために必要な木質部材の材料定数を応力伝播法等により測定した。作成した3Dモデルに測定した材料定数を与えてモード解析を行い、異なる形式の木橋に対して本手法が一定の測定精度と実用性を有することを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
床版開閉式木橋の開発に関しては、スパン6m程度のモデルであれば、開閉式床版の可動部等の詳細な構造の設計・制作のノウハウが蓄積され、暴露試験により落雪性能も確認できているため、今後は、スパン10m以上のモデルに拡張するために、ドリフトピン継手を導入したモデルについて、継手付近に開閉式床版を取り付けるための設計変更の影響、長スパン化に伴い増大する力学的負荷の影響などを、詳細な3Dモデルによる数値解析や、実物プロトタイプによる組み立て試験、載荷試験を実施して確かめていく。 また、携帯デバイスによる劣化診断に関しては、複数の異なる形式の木橋に対する測定データと3D数値モデルとの比較により、この手法が一定の精度と実用性を有することを確認できてはいるが、本手法の信頼性をより確実なものとするために、県外木橋も対象として、形式や経年・樹種の異なる木橋に対して本手法が一定の妥当性を有するかについて更なる検討を続ける。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)