アルカリ骨材反応を生じたコンクリート構造物の調査に基づく診断・対策評価技術の開発
Project/Area Number |
23K03993
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22010:Civil engineering material, execution and construction management-related
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 始 富山県立大学, 工学部, 教授 (10553133)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | コンクリート / アルカリシリカ反応 / 診断・対策評価システム / 応力解放法 / コア削孔試験 / 抜取りコア / ASR膨張速度 / 内部除湿法 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、北陸地方等のコンクリート構造物の維持管理上、大きな問題となっているアルカリシリカ反応(ASR)で劣化した構造物を対象に、ASR膨張の根本的な原因である内部の水分にも着目して、現場試験・調査から将来予測、対策効果までを統合的に診断・評価できる予測システムを構築することである。 研究では、コア削孔による応力解放法を主軸にした現場での測定法の確立、測定値からASR劣化コンクリートの解析に適用可能な入力値への換算法の確立を実施する。これらの成果を踏まえて、湿気移動と応力解析に基づき、現時点の内部ひずみ推定、劣化進行した場合と対策した場合の将来予測が可能なシステムを構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アルカリシリカ反応(ASR)で劣化したコンクリート構造物を対象に、現場試験・調査から将来予測、対策効果までを統合的に診断・評価できる予測システムを構築することである。そのために3つの課題を設定して下記のことを実施している。 【課題①(現場試験による測定法の確立)】では、ASR劣化コンクリートの自由膨張ひずみ、圧縮強度などを効果的に得るためには、現場試験としてコア削孔試験などをどのように組み合わせればよいかの問いを設定している。 ASR構造物の表面で生じるひずみ勾配を模擬した角柱供試体のコア削孔実験の結果から、偏心荷重によるひずみ分布は3連タイプの埋込みセンサを用いた内部ひずみ測定法によって測定できること、ひずみの測定位置からコア半径分の深さを削孔することで蓄積していた弾性ひずみは解放されることを確認した。抜取りコアの圧縮強度試験から、ヤング係数が設計式に比べて1~3kN/mm2小さくなること、低応力域の割線弾性係数が通常の値に比べて8割程度となることを確認した。 【課題②(解析入力値への換算に用いる関係式構築)】では、現場試験の測定値から解析入力値に適切に換算するためには、どのような関係式を適用すればよいかの問いを設定している。ASR膨張速度と質量増加率の検討結果から、ASR膨張はある一定の水分量が吸収されることで大きく進展することを確認した。ASR膨張量を変えた圧縮破壊試験の区間弾性係数の算出から、ASR劣化が進展した場合でもひび割れが圧縮載荷により閉合し骨材が噛み合うことで、圧縮力への抵抗性を保持できることを確認した。 【課題③(予測システムの確立)】では、劣化予測シミュレーションのために、湿気拡散等の解析法をどのように連携させ、劣化/対策シナリオをどう解析に反映すればよいかの問いを設定している。2023年度は内部ひずみと応力分布に関する応力解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況として、3つの課題が次のようであるため、全体では「おおむね順調に進展している」に区分する。 【課題①(現場試験による測定法の確立)】については、おおむね順調である。2023年度にASR構造物の表面で生じるひずみ勾配を模擬した角柱供試体のコア削孔試験と、抜取りコアの圧縮強度試験を主に実施した。コア孔内の検討が若干遅れている。 【課題②(解析入力値への換算に用いる関係式構築)】については、おおむね順調である。2023年度にアルカリ量や湿度環境を変えた供試体のASR膨張速度と水分量の測定試験、ASR膨張量を変えた圧縮破壊試験を主に実施した。 【課題③(予測システムの確立)】については、おおむね順調である。2023年度は内部ひずみと応力分布に関する応力解析を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、3つの課題に対して次のことを実施する。 【課題①(現場試験による測定法の確立)】については、2024年度にASR膨張を模擬した膨張材を用いた供試体でコア削孔試験を実施予定である。パラメータとして、膨張量とコア削孔径、センサの埋込みのタイミングを予定している。さらに湿度勾配を与えたASR角柱供試体が所定の膨張量に達したときに、コア削孔試験を実施する。加えて、コア削孔実験にあわせて、抜取りコアの各種試験とコア孔内の測定試験を実施予定である。これらのデータを分析し、学術論文を執筆予定である。 【課題②(解析入力値への換算に用いる関係式構築)】については、2024年度に膨張速度と水分量の測定試験に関するデータ分析を深め、学術論文を執筆予定である。圧縮破壊試験は、応力軟化領域のための供試体の促進養生を開始し、継続的に測定を実施する。 【課題③(予測システムの確立)】については、2024年度に【課題①】のコア削孔実験を模擬した内部ひずみと応力分布に関する応力解析を継続する予定である。加えて、湿気移動と自由膨張ひずみについて解析を行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)