Project/Area Number |
23K04002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22020:Structure engineering and earthquake engineering-related
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
宮下 剛 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (20432099)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 限界状態設計法 / 合成桁 / 補修 / CFRP / FEA / 鋼橋 / 維持管理 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,正曲げを受ける合成桁を対象として,鋼橋を構成する部材の部分的な塑性化を考慮した橋梁設計ならびに補修設計に資する研究を目的とする.具体的な検討項目は,a) 新設設計に対する限界状態ならびに照査式の提案,b) 限界状態を踏まえた補修設計法の提案,とし,これまで関係機関との共同研究を通じて実施した合成桁の実験データをベースに,有限要素法による再現解析ならびにパラメトリック解析を中心に検討を進める.
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでの鋼橋設計は,許容応力度設計に基づき,これらの部材から構成されることで構造全体の安全性を担保してきた.しかし,許容応力度設計では,部材の塑性化を許さないことから,例えば,大規模地震によって,部材の一部に座屈による変形が生じたりすると,構造全体としては供用に問題がないと思われる場面でも,長期間にわたりその使用が制限されてしまう. 一方,わが国の社会基盤構造物は,高度経済成長期に急ピッチで建設されたことから,急速な高齢化が進む.国土交通省が公表している2021年度の道路メンテナンス年報によると,2014年度から義務化された橋梁点検の結果,修繕が必要とされ,次回点検までに措置を講じなければならない地方公共団体が管理する橋梁のうち,35%が措置に未着手である.これは,地方公共団体では,橋梁の維持管理に十分な予算を割り当てられないことが大きな要因と言えるが,現行の補修設計にも問題がある.なぜならば,補修設計でも部材の塑性化が許容されないため,結果として,過度な補修が必要とされ,コスト増加へと結びつき,補修が先送りされる. 計算機の演算処理能力の向上は目覚ましく,複雑な三次元立体構造を有する橋梁全体のシミュレーションも可能となり,許容応力度設計にもとづく橋梁設計は十分に成熟した.しかし,上記の社会情勢や少子高齢化によって逼迫する財政状況を鑑みると,降伏以降も大きな伸び変形性能を有する鋼材から構成される鋼橋の利点を活用した新たな鋼橋設計法を構築する段階と言える. そこで,本研究では,鋼橋を構成する部材の部分的な塑性化を考慮した橋梁設計ならびに補修設計に資する研究を目的とする.今年度は,新設設計に対する限界状態ならびに照査式の提案として,正曲げを受ける合成桁を対象に検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,新設設計に対する限界状態ならびに照査式の提案として,正曲げを受ける合成桁を対象に検討を行った.具体的には,2017年から,関係機関との共同研究を通じて,純曲げならびに曲げせん断を受ける合計11体の合成桁の載荷実験を実施しており,これらを対象に,限界状態ならびに照査式の検討を行った.合わせて,今後のパラメトリック解析に向けて,一部の供試体について,有限要素法を用いた数値シミュレーションによる再現解析を実施した. 鋼桁にSBHS500を用いた2体のうち1体の供試体を除いて,初めに部材の降伏は下フランジ下面で起こり,床版の圧壊によって最大荷重を迎えた.10体の供試体について,計算から求まる降伏荷重(限界状態1の候補)ならびに全塑性モーメントに相当する載荷荷重(限界状態3の候補)と実験の載荷荷重の比の平均値はそれぞれ1.05と0.946となり,予測精度が高い結果となった. 次に,限界状態2では部材の部分的な塑性化を許容する.そこで,この限界状態に到達する断面について,初めに下フランジが降伏ひずみに達し,そして引張を受ける腹板の一部が降伏ひずみに達し,その上で,RC床版上端が圧縮強度(圧縮ひずみ0.2%)に達したと仮定する.このとき,降伏ひずみに達した腹板の高さが未知数となる.応力分布にもとづいて力の釣合いからこの未知数が求まり,モーメントも求まる.試算の結果,10体の供試体について,載荷荷重に対する計算値の比の平均値は0.961であり,高い精度で安全側の予測が可能であった.これは,今後の議論が必要ではあるものの,限界状態2の候補となり得る. また,有限要素法を用いた数値シミュレーションについても,荷重-変位関係のみならず,下フランジの降伏や鉄筋の降伏,床版ひずみが0.2%に達する状態,床版の圧壊による最大荷重といったイベントも含め,実験結果を再現することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,限界状態を踏まえた補修設計法の提案についての検討を進める.この背景として,従来の補修設計では,弾性域で,損傷した部材の性能を,元の状態に回復させる.ここで,腐食損傷により断面欠損した部材に,CFRPシートを用いた接着補修を考える.CFRPには活荷重しか作用しないのに対して,既設部材には死活荷重が作用する.このため,断面欠損した既設部材を死活荷重でも降伏させないように,CFRPの積層数を決定する.死活荷重比率が大きくなるにつれ,死荷重でCFRPシートの積層数が決定され,その数が過剰となる.一方,限界状態を踏まえた補修設計では,構造部材の部分的な塑性化を許容するため,補修設計を限界状態2に対して行う.つまり,死活荷重が作用する既設部材の部分的な塑性化を許した上で,CFRPの積層数が決定され,補修の合理化に結び付く. これまで,関係機関との共同研究を通じて,合成桁の等曲げ区間の下フランジに人為的な断面欠損を与え,CFRPシートによる補修を下フランジに施した供試体(以下,補修供試体)を対象に,有限要素法を用いた数値シミュレーションによる再現解析の試算を実施してきた.この解析検討では,鋼桁に接着貼付したCFRPシートを含む非線形解析となり,接着界面が数mmと非常に薄いことやCFRPシートの最大荷重以降における脆性的な挙動の扱いが技術的な課題となる.ここでは,接着界面にインターフェース要素を使用し,CFRPシートの非線形性も考慮した実験の再現解析を実施しているものの,接着層やCFRPシートの破壊基準を含むモデル化や物性値の決定方法について不明確な点が残る.本研究では,実験結果の再現解析を通じて,現象を精緻に再現することが可能な解析手法を構築する.その後,パラメトリック解析を通じて,限界状態を踏まえた補修設計法の構築に結び付ける.
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