A study on ductile steel joint with seismic resistant performance, productivity and sustainability
Project/Area Number |
23K04111
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23010:Building structures and materials-related
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
伊藤 拓海 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (50376498)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
|
Keywords | 鋼構造 / 接合部 / 構造実験 / 復元力特性 / 力学特性 / 施工試験 / 暴露試験 / 鉄骨 / 耐震性 / 生産性 / 持続可能性 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題は、鉄骨接合部の耐震性・生産性・持続可能性を複合的に扱い、トレードオフにある関係から最適な構法・工法を設計するためのスキームを示す。そこで、1) 接合法の体系化、2) 接合部の提案と開発、3) 生産性と持続可能性の実証的検討、4) 設計法の提案、に大別して進める。 1)は文献・資料の収集と整理により、データベース化・マトリクス化を目指す。2)は具体的な接合部を示し、各種構造実験により力学特性や弾塑性挙動を明らかにする。3)は鉄骨骨組の施工試験や屋外暴露試験などを通じ、生産性や持続可能性を実証的に検討する。4)はマルチ・クライテリアに対する接合部の設計法を示す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、鉄骨構造物の接合部について、耐震性に加えて、施工性や持続可能性を志向した、多様な性能を備えた具体的な工法を考案し、その有効性を検討することを目的としている。溶接による鉄骨接合部は、工場加工などにより安定した高い品質を得ることができるが、建設時の施工管理、建物使用後の解体や復旧等における多様な技術や高い管理基準が要求される。また、高力ボルトによる剛接は、多数のボルトを用い、工数の多い施工と管理が求められる。すなわち、これらの性能はトレードオフの関係にあることが多い。 そこで本研究では、耐震性、施工性、持続可能性を同時に達成する具体的な接合工法を対象として、その有効性や適用性を検証するものである。初年度は、構造実験による力学挙動や復元力特性の検討、試験体や試験建屋の設計・加工・施工におけるモックアップ・施工試験による施工性・生産性の検討を行った。 構造性能や力学特性の基本性状を把握する目的で、要素試験体による構造実験を実施した。実験結果より、応力伝達機構を明らかにし、溶接による剛接の耐力や剛性に劣るものの、十分な接合性能を有することを示した。さらに、実験結果に基づき、耐力と剛性の評価式を示し、実験結果との比較によりその有効性を確認した。 テストフィールドにおいて、この接合部を使った鉄骨骨組の試験建屋を設計し、具体的に実地盤上に施工・建設した。構造実験用の試験体や、この試験建屋の工場加工・製作の過程で、モックアップ試験を行うことができたが、試験建屋の建設において、実際の施工現場での作業を記録することができたため、作業能率や生産性の検討が可能である。 なお、試験建屋の鉄骨骨組は2023年10月に完成し、いわゆるこの接合部は実環境下における屋外暴露の状態にあるため、耐久性とともに、数年後の解体時に作業や部材の再生・再利用などを検討することができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
比較的容易に組み立てや解体が可能な本工法の鉄骨接合部を対象として、構造実験、工場加工ならびに施工試験を実施することができた。 構造実験では、基本性状を把握する目的で、要素試験体の実験を実施したが、耐震性に関わる構造特性を明らかにすることができた。さらに、有限要素法による解析的検討を行い、解析方法・条件の有効性を確認することができた。実験と有限要素法解析の結果に基づき、耐力や剛性の評価に関わる構造計算法を提案し、有効性を確認することができた。この実験と解析・計算の結果に基づき、鉄骨骨組の接合部、すなわち、継手と仕口の曲げ載荷試験を計画しており、2年目に実施できる見込みが立った。特に、有限要素法の解析技術が確立できたことから、継手と仕口の試験体の設計や計測計画の立案にいかすことができる。 テストフィールドでの試験建屋の施工試験は、以前より構想はあったものの、この接合部を使った鉄骨骨組の設計・施工を実施することができた。これにより、具体的な鉄骨建屋の設計・加工と運搬、施工、工事を実環境下で検討することができた。鉄骨工場や構造実験室でのモックアップ試験と合わせて、フルスケールの施工試験を実施できたことの意義は大きい。これらのデータに基づき、施工性や生産性、作業能率の分析が可能となった。 また、この試験建屋は、今後数年間にわたって各種研究を構想している。実環境下での暴露試験により、経年変化や耐久性を検討することができる。さらに、数年後の解体にあたり、その解体工事や使用後の廃材のリユース・リサイクルを追跡することで、サステナビリティを検討することが期待される。 以上、初年度の研究により耐震性と施工性を検討することができ、試験建屋の建設により、持続可能性を検討する環境を整えることができた。研究をスタートした当初に想定していた以上の成果が得られ、研究環境を整備することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
構造実験による耐震性、試験体製作やテストフィールドの試験建屋を使った施工性と持続可能性の検討を進めていく。 鉄骨骨組の主たる接合部、すなわち、継手と仕口を対象とし、実スケールに近い試験体による構造実験を進める。さらに、実験的検討に加えて、有限要素法と力学モデルによる解析的検討を同時に進め、構造性能と力学特性に関する多角的な分析を行う。すでに、これらの実験計画は立案し、試験体の製作を進めている。2年目の早い時期に実施することができれば、実験結果の分析と解析的検討で様々な検討が可能である。これらの研究成果は、国内外の学会での発表と、学術論文への投稿を計画している。 テストフィールドでの鉄骨骨組の試験建屋を設けることができたため、引き続き、現場で接合部の工事・施工の機会を設けながら、施工試験を計画する。また、実環境下での経年変化と耐久性を観察するとともに、震度計や加速度計・変位計などによる微動測定や地震・振動計測を行い、振動特性を分析する計画もある。経年変化による鉄骨骨組の振動特性の変動をとらえることができれば、継続使用の判定や補修・補強の要否、取り壊しなどの判定方法に関わる知見を得ることが期待される。 以上より、実験室とテストフィールドでの振動・構造・施工の各種試験と、数値解析により、多角的に研究を進めていく。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)