Project/Area Number |
23K04122
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23010:Building structures and materials-related
|
Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
麻里 哲広 前橋工科大学, 工学部, 教授 (90250472)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 敦則 前橋工科大学, 工学部, 教授 (80250471)
佐藤 良介 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (80710730)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
|
Keywords | 減衰定数 / 自由振動実験 / 小型模型 / 非接触変位計 / 加速度計 / 錘 / 建物 / 減衰モデル / 非線形応答 |
Outline of Research at the Start |
建築構造物の応答解析には一般的に、剛性比例型減衰やレイリー減衰などの比例減衰モデルが用いられる。しかし、こうした減衰モデルは、弾塑性性状に伴って剛性が変化する系に対して、減衰力を適切に表現できず、応答の過小評価に繋がる場合があると指摘されている。この課題に対して、さまざまな減衰モデルが提案されているが、観測データや実験データが極めて少ないため、その妥当性が十分に検証されていない。 本研究では、建築構造物の挙動を模した実験を実施して、剛性が変化する場合に減衰がもたらす影響を検証するための実データを蓄積する。また、現在一般的に使用されている減衰モデルの適用範囲や限界を数値解析により比較・検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
減衰定数を正確に算出できうるかの確認のため、今年度は主に、小型模型を作成し自由振動実験を行った。柱材の可撓長さを300mm、400mm、500mmと変更したほか、柱材に過大な強制変形を与えることにより一度塑性化させ残留変形を与えた試験体を加えた。また、試験体上部に、錘を付加することで上部質点重量を変化させた試験体も加え、今年度は計6体の試験体を作成した。自由振動実験により得られた変位波形から算出した減衰定数を比較・検討し、以下の知見を得た。 a)減衰の散布図に対し、1次近似の線を引き決定係数R^2の分布を調べたところ、減衰に振幅依存性がないことが分かった。 b)減衰定数は、1度目の加振に対して、2回目の加振で得た減衰定数の比はほとんど変わらないため、実験回数による影響がない。 c)正側の片振幅に対して、負側の片振幅から求めた減衰定数の比は、0.9~1.3倍と大きくなった。原因としては、柱材に残留変形などの初期不整を与えた場合、試験体が傾き、波形が0線に対して非対称になってしまう、かつ、変位波形が対数的に収束していないことが影響したことが考えられる。 d)減衰定数を算出する際に、使用した半波数mの数による違いは見られなかった。 e)加速度波形を線形加速度法で積分し、レーザー変位計で計測した変位との相互相関係数を求めたところ、0.987を示したため、加速度計でも精度がほとんど変わらない変位波形が得られることが分かった。ただし、加速度計を取り付けると接続コードの影響で、剛性や減衰定数が増加するため注意が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既往の振動台実験を参考に、両端固定の1層1スパンの4本柱の一質点系の小型模型を作成し実験対象とした。柱材はアルミ材(A6063)を使用し、断面寸法2×20mmとし、上部(質点を模した)鋼板の質量は大凡6kgとした。その他、可撓長さ他のパラメーターは上記の通りである。 両端完全固定と仮定した予備計算により、固有周期および水平剛性を予め求めたが、これらの値と加振実験により得られた計測値との差違が大きかった。また、加振後の試験体を観察するとアルミ製の柱材に残留変形が見られ、弾性範囲内に留める計画に反する結果が生じた。 早急に原因を突き止めるべく種々の検討を行った結果、試験体の工作精度、特に外注ではなく自作したパーツの精度が劣ったこと、柱脚や柱頭の固定が完全固定と見做すには緩く半固定端となっていたこと、柱材の剛性(曲げ、座屈)に対して上部重量が大きすぎたため重力効果により与えた以上の変形が柱材に生じたため変形が塑性域に入り残留変形が生じたこと、などが明らかになった。また重力効果に伴う負剛性の影響で初期弾性剛性が計算値よりも小さく、固有周期が計算値より長くなることもわかった。 時間的に新たに試験体の設計、製作を行うことが難しいと判断し、現状そのままの試験体を用いた振動実験を実施し、その計測結果から減衰定数を算出することとした。試験体上部に取り付けた糸を引っ張ることで初期変位を与え、糸を切り離すことで自由振動を発生させた。実験は各試験体で2回ずつ実施した。 結果について要点のみまとめると、減衰定数は実験回数(1回目or2回目)、減衰定数を求める基となる波数による違いは小さかったが、振動の正側と負側の違いは大きかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述した試験体の問題点を修正すべく、柱材板厚の変更、上部重量の軽減、工作精度の向上(できる限りすべて外注する)、および柱端部固定の詳細設計について見直すことととする。 特に重力効果については慎重に予備検討を行い、試験体を塑性化させないよう、また重力効果による剛性の低下について予め正確に把握できるよう努める。 以上の試験体修正を行った上で、研究計画に記述したように、別途減衰機構を付与した試験体、基礎を固定させずロッキング振動する試験体の設計と製作を行う。また自由振動試験だけでなく、振動による強制加振実験を実施するよう準備を開始する計画である。ただし、本学が所有する振動台はかなり大がかりなオーバーホールが必要な状況であることを把握しており、現状の見積もりでは多額の費用が必要となる。そのため他機関での実験実施も視野にいれた計画も考慮する。 やや遅れている進捗を取り戻すよう昨年度以上にエフォートを注ぐ予定である。
|